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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

Web Equity調査結果分析2004

WebEquity2004結果分析 第1回:Webサイト価値測定、結果発表

Webサイト価値測定結果グラフ

日本ブランド戦略研究所は、日本の有力企業約250社のWebサイトの金銭価値を測定した。その結果、最もWebサイト価値が大きかったのはトヨタ自動車で985億円となった。そのうち727億円が売上に貢献している「売上価値」で、情報発信効果をあらわす「情報価値」は約258億円。また売上価値のうち大半の690億円が間接売上価値、つまりインターネットで商品の情報を発信し、それが店舗(ディーラー)などでの売上につながっていることによる価値だった。

2位はマイクロソフトで935億円。同社は情報価値が362億円で250社中でトップだったが、売上価値は4位の567億円でトヨタ自動車より大きく下回ったため、合計ではトヨタ自動車に及ばなかった。また同社のサイトは情報価値(特に広報宣伝価値と顧客満足価値)も大きく、249社中で最も大きいという特徴も併せ持っている。

3位は859億円の全日本空輸(ANA)。同社は売上価値が755億円と250社中で1位。これは航空チケットのインターネット予約・販売が急速に普及していることにより、直接売上価値が595億円と大きく算出されたのが要因。Webサイト価値のうち約9割が売上価値で、さらにそのうちの約8割が直接売上価値(Webサイト価値の約7割)という構造になっている。

4位はインターネットを中心にパソコンとその関連商品を通信販売しているデルで846億円。同社も直接売上価値が大きく、ANAに続いて2位の536億円となった。

5位は日本航空システム(JAL。現在の社名は日本航空だが、調査時点では正式名称が「日本航空システム」だったためにこの社名で調査した)で634億円。同社も航空チケットによる直接売上価値が437億円とWebサイト価値の7割を占めている。インターネットの予約・販売は全日本空輸とほぼ同じくらい活用されているが、JASとの合併により粗利益率が低下していたために、粗利益率の影響を強く受ける売上価値ではANAを225億円ほど下回るという結果になった。

6位はNTTドコモで571億円。同社は売上価値では間接売上価値が大半を占めている。また、情報価値では顧客満足価値が約半分を占めているが、これは同社の携帯電話を利用しているユーザーが、契約内容の変更や連絡などをする際にサイトが活用されていることによるもの。

7位は松下電器産業で547億円。間接売上価値が354億円とトヨタ自動車に次いで2番目に大きかった。ただし、松下電工のサイトは松下電器のサイトとは別に算出したために、この価値の中には含まれていない。

8位はソニーで544億円。間接売上価値は262億円で松下電器を下回ったが、直接売上価値では逆に同社を上回っている。これはソニーマーケティングなどのECサイトの貢献度が高いことによる。

9位はNECで534億円。同社は直接売上価値が186億円と松下電器やソニーを大きく上回っている。これはPCの通販サイト「NEC Direct」による価値が高いと算出されたことによる。

そして10位は新生銀行で526億円。同社は金融業界の中でもっとも高い価値と算出された。特に直接売上価値が383億円と大きい半面、間接売上価値(ネット)は5億円とその差が大きいのが特徴的。また顧客満足価値も96億円と大きい。

上位にランクインした企業のWebサイト価値を、構成している6つの価値に着目してみると、大きく3つのタイプに分けることができる。

1.直接売上価値が大きなタイプ

全日本空輸、デル、日本航空、新生銀行などが典型で、間接売上価値や情報価値より直接売上価値がはるかに大きい。このタイプの企業はインターネット(Webサイト)を商品やサービスの予約や販売のチャネルとして十分に活用できている。扱っている商品としては数値や文字などで表現しやすいものが多い。つまり写真や動画などで情緒的な情報を伝えるのではなく、価格やスペックなどのデータを伝えることが主眼となっている。が“ウリ”になっているケースが多い。上位のランキングにははいっていないが、ニッセン(24位)や千趣会(29位)などの通信販売の企業のサイトもこのタイプに属している。

2.間接売上価値(リアル)が大きなタイプ

トヨタ自動車、松下電器、ソニーなどが典型。Webサイト価値の大半を間接売上価値(リアル)が占めている。つまり、Webサイトがリアル市場における商品の販売において、いわゆる「ブランド体験」としての役割を担っており、それが企業の売り上げや収益に大きく寄与しているケースだ。

この価値が大きい企業のサイトの特徴は、サイトで写真やイラスト、動画などを用いて商品のイメージを伝えることが主眼となっている。サイト上では価格などを掲載していないケースも多く、広告・宣伝や、パンフレットなど商品説明やイメージ構築としての役割を重視している企業が多いようだ。日産(11位)、ホンダ(12位)などの自動車メーカーや、東芝(14位)、富士通(15位)、キヤノン(21位)などのIT関連メーカーにはこのタイプが多い。

3.情報価値が大きなタイプ

マイクロソフト、NTTドコモなどがこのタイプに属する。他社より情報価値の占める割合が大きいのが特徴。つまり、Webサイトは実際に商品を売るために使うより、ユーザーや潜在ユーザーに対して情報を発信したり、顧客との情報交換やサポートに活用されているケースが多い。上位以外ではキリンビール(26位)、アサヒビール(40位)、サントリー(46位)などの食品メーカーや、30位のオリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)、ヤマト運輸(25位)などがこのタイプに含まれる。

ただし、キリンビールなどの食品メーカーは販売促進価値が、オリエンタルランドは広報宣伝価値が、そしてヤマト運輸は顧客満足価値がそれぞれ最も高くなっているなど業界によって特徴が異なっている。

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