BtoBサイト調査では、各サイトの改善に役立てるため、サイトの問題点をユーザーに指摘してもらっている。
質問形式には選択式ものと自由回答のものの両方が用意されているが、ここでは選択式の回答を紹介したい。
BtoBサイトの問題点として最も指摘が多かったのは、「旧製品や代替品の情報が少ない」であった (図1)。
多くの企業では現在販売中の製品・サービスについては熱心だが、既に販売していない製品・サービスについてはあまり多くの考慮を払わないケースが少なくない。そのような提供者側の姿勢に対して不満を感じているユーザーは少なくないようである。
次いで指摘が多かったのが「事例が少ない」である。情報システムのソリューションのように、サービスプロバイダーでは事例が非常に重要となる。しかし、実績として何社に導入したとか、導入企業の業種別割合などの情報はあっても、事例そのものは全く見当たらないというサイトは少なくない。営業訪問時に個別に紹介したいという趣旨かも知れないが、そもそも営業訪問の成功確率が上がりにくいのではないかと懸念される。
さて、不満が多かった旧製品情報について、各社別に整備率を調査し、業種別平均としてまとめた(表1)。
製品サービス分野 | 整備率(%) |
---|---|
全体平均 | 16.7 |
計測機器 | 50.0 |
電子部品・材料 | 22.2 |
FA(制御機器等) | 66.7 |
サーバー・ストレージ | 25.0 |
ソフトウエア・ミドルウエア | 0 |
通信・ネットワーク | 4.2 |
情報システム | 4.2 |
建設機械 | 0 |
建材、住設機器 | 11.4 |
オフィス機器 | 50.0 |
印刷用機器・資材 | 16.7 |
医療機器 | 0 |
医療用医薬品 | 8.3 |
金融サービス | 0 |
さすがにニーズ充足度が高いFA(制御機器等)の業界は整備率が高い。
一方、製品の改廃が多い、旧製品の代替品に対する需要がある、旧製品のユーザーが多い、中古市場がある、などのいずれかの条件に合致する製品では、旧製品に対する情報ニーズはかなり高いと考えられる。しかし、こうした条件に合致する製品・サービスであっても必ずしも関連する情報が整備されているとは限らない。たとえばは上記の条件に合致するものとして建設機械があるが、該当する情報を整備している企業サイトは少なくとも調査時点では見当たらなかった。このように、ユーザーが指摘する問題点に取り組むことによって、ニーズ充足度を向上させる余地は各社とも小さくないものと考えられる。