BtoCではネット視聴率などのデータが比較的入手しやすい。
これに対して、BtoBではこうした基本的データが入手しづらい。また、ターゲット視聴率的な考え方に基づき、ネットユーザー全般に対するリーチではなく、製品・サービスごとのターゲットに対するリーチを把握することが重要である。
ここでいうターゲットとは、組織の中で製品・サービスの選定または購入に関与する立場にある人を指す。BtoBでは選定に関与する人と購入担当者は必ずしも同一でない点に注意する必要がある。
過去1年間の業務上のアクセス経験者は、全サイト平均で2007年から2008年にかけて13.1%から20.8%へと大幅に増加したが、2008年から2009年にかけては特に変化が見られなかった(図1)。
一昨年から昨年にかけて、BtoBユーザーの間でWebサイトの利用が急速に一般化したが、昨年から今年にかけては急激な動きは収まりつつある。
ただし、これはあくまで平均値の議論であって、実際には企業によって伸びたところとそうでないところがある。このように、一律的な成長は期待できない状況で、企業側の努力が一層問われるようになっている。
製品・サービス分野別ではFA(制御機器)、計測機器、オフィス機器、ライフサイエンスが伸びた (図2)。これらは昨年もアクセス経験者が多く利用率が高い分野であったが、今年も同様の傾向が続いている。
業種名 | 2008年 | 2009年 | 増減 |
---|---|---|---|
全体 | 20.8 | 20.8 | 0 |
半導体・FPD製造装置 | 18.8 | 17.8 | -1.0 |
計測機器 | 17.9 | 21.2 | +3.3 |
電子部品・材料 | 20.1 | 20.4 | +0.3 |
FA(制御機器) | 38.7 | 43.0 | +4.3 |
サーバー・ストレージ | 32.6 | 34.2 | +1.6 |
ソフトウエア・ミドルウエア | 26.0 | 25.0 | -1.0 |
通信・ネットワーク | 15.0 | 11.3 | -3.7 |
情報システム | 17.0 | 16.8 | -0.2 |
建設機械 | 18.7 | 20.8 | +2.1 |
建材、住設機器、設備 | 20.0 | 19.8 | -0.2 |
オフィス機器 | 17.3 | 21.0 | +3.7 |
印刷用機器・資材 | ・・・ | 17.3 | ・・・ |
医療機器 | 17.1 | 18.6 | +1.5 |
ライフサイエンス | 23.9 | 28.3 | +4.4 |
金融サービス | 15.6 | 12.8 | -2.8 |
【図2】業種別アクセス経験者 経年比較
注1: 印刷用機器・資材分野は、2008年は調査対象外のため比較データなし
注2:表中の値は製品・サービス分野別の1サイト当り平均値(%)
一方、通信・ネットワークや金融サービスなど、従来より利用率が高くなかった分野では逆にアクセス者が減少している。
利用者が多い分野では各社がサービスの充実に力を入れ、その結果ますます多くの利用者を呼び込む一方、利用率が低い分野では企業側からあまり魅力あるサービスが提供されなかった結果、ますます利用が進まなくなる様子が垣間見える。このように、アクセスの動向は単にユーザーの行動特性という外生的なものではなく、企業側の努力が極めて重要な要因となっていることに注意する必要がある。
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