かつて、Web創成期の頃、Webサイトを担った方々の中には経営者に比較的近い立場の方が少なくなかった。彼らはWebサイト全体を統括し、その価値を社内外に知らしめる重要な役割を担ってきた。
今日では機能細分化が進み、それぞれが会社のWebサイトの一部分のみを担当しつつ、全体を統括する機能が希薄化しつつあるように感じられる。
一方、企業内でWebサイトに何らかの形で携わる方は増える一方にある。本来、当企業で総額いくらの資源が投下され、それに対してどれだけの成果を生み出したかが議論されるべきだが、多くの企業の現状はそうなっていない。各部署に細分化された小さな予算を個々に議論しても大きな価値を巡る議論は起こりにくい。
Web担当者が経営者に近い存在になるためには、経営者との共通言語を確立し、同時に社内各所から頼られる存在としてのポジショニングを確立しなければならない。
Web担当者が社内で一目置かれる存在になる第一歩として、顧客をよく理解することが重要である。
アクセスログはユーザー行動を教えてくれる有益なものだが、残念ながらそのユーザーが誰かを知ることは難しい。近年、さまざまなツールが独自のデータと推定ロジックを用いてユーザーの推定属性を提供するようになっている。しかし、そうしたツールから出される推定値より、自分たちが来訪者に直接尋ねた方が、はるかに納得感があって確からしいものが得られる。
費用がかかるということで調査を嫌う担当者は多いが、来訪者アンケートを定期的に行い、ユーザーを知ることは、Web担当者が社内に対して説得力を持つための重要な前提条件であろう。