Webサイトのビジネス貢献度として直接把握できるものとして、フォームなどによる問い合わせの件数がある。そこで、これをサイト運営者の目標指標とする企業は広く見られる。
しかし、グラフが示すように、問い合わせ一つ取っても、実際には、Web上に用意されたもの以外の手段によるものの方がはるかに多く、それはたいていWeb運営者には伝わってこないものである。
【図1】サイト閲覧後の行動_全サイト平均
【図2】ターゲット層に占める各行動者の割合
しかし、もっと重要なことは、問い合わせよりもはるかに多くの人がBtoBサイトを閲覧し、その中のかなりの割合が購入検討に至っているという事実である(図1※)。
Webサイトは営業チャネルではない。あくまで営業を補完するものである。この点を踏まえ、問い合わせという一点に絞るのではなく、アクセス、ニーズ充足、購入検討という段階に着目して事業貢献度を評価すべきである。
グラフはターゲットユーザーの行動の推移を示したものである(図2)。
ターゲットユーザー全体(100%)が、アクセス、ニーズ充足、購入検討、問い合わせと段階を経るにしたがってどのような割合で推移したかを示している。ただし、ここでの問い合わせには、Web上の手段のほか、Web以外の手段によるものも入っている。
昨年と比べ、各段階で意向者ないしは行動者が増加している状況が読み取れる。
ただし、問い合わせの段階まで来ると行動者が急速に減少するのは昨年と同様である。
このように、問い合わせ件数の絶対数や増加率などを基準にしたWebサイトの事業貢献度の評価だけでは判断を誤る可能性がある。もっと、問い合わせの前段階として情報収集と購入検討という段階があり、これらとWebサイトとの関わりも考慮しなければ、Webサイトの営業補完的役割とその貢献状況を正しく判断することはできないのである。
※複数回答
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