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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

ブランドなんでもランキング

第13回:丼ものチェーン店ランキング

なんでもランキング第13回は、丼もののチェーン店に焦点を当ててみました。

丼もののはじまりは、江戸時代。芝居小屋で食べるためのうな丼で、ご飯とおかずをひとつに盛ったコンパクトさと、味の良さから人気が出たそうです。さっと食べられて、おいしい。丼ものは今も昔も変わらぬファストフードですね。

主要な丼ものチェーンについて、9個のイメージを聞き、その結果を元に、コレスポンデンス分析で、各店舗のイメージカテゴリーを抽出し、各カテゴリー別でランキングを行いました。

下記は、その結果を分布図としてまとめたものです。

【図1】丼ものチェーン店分布図

【図1】丼ものチェーン店分布図

この図に示されるように、まったく違うメニュー構成のチェーン店も、同じようなメニュー構成のチェーン店も、きれいに棲み分けができているようですね。老舗の吉野家はオールマイティなイメージ、てんやはオリジナリティや安心感で強く、すき家は庶民的が売り、松屋は付加価値よりも実を取っている感じでしょうか、なか卯はいろいろな面で2番手的存在と言えそうです。

では、その内訳を細かく見ていきましょう。

総合力は「吉野家」がダントツ

【表1】総合力ランキング

【表1】総合力ランキング

まず、「おいしい」「入りやすい」「顧客ニーズの対応に熱心だ」「店員の態度に好感が持てる」「経営態度に信頼がおける」「安全な食材を使っている」など多角的なイメージを集計し、「総合力」としてランキングしたものが右記の表です。この値がいちばん高かったのは、吉野家で、103ポイント。なかでも、「おいしい」という値が非常に高く45ポイント。そして、「入りやすい」も34ポイントと高得点です。

次いで松屋の73ポイント。ここも「おいしい」が最高値で32ポイント。3位はすき家で、58ポイント。ここも「おいしい」が最高値で27ポイント。また、「入りやすい」も、2位の松屋は25ポイント、3位のすき家は23ポイントとランキング順になっており、「おいしい」「入りやすい」が総合力ランキングに大きく影響を与えていることが分かります。ちなみに、総合力4位はなか卯の50ポイント(「おいしい」は23ポイント、「入りやすい」は19ポイント)、5位はてんやの44ポイント(「おいしい」23ポイント、「入りやすい」は14ポイント)となりました。

天丼のてんやは付加価値で差が出た

【表2】付加価値ランキング

【表2】付加価値ランキング

提供するメニューを「丼もの」と限定する店ともなると、他チェーン店とどう差を出していくかが問題になります。「衛生的だ」「オリジナリティがある」、この2つのイメージを集計したものを付加価値ランキングとしました。

このランキングで1位になったのは、てんや、そして2位はなか卯。てんやは19ポイントで、内訳は「衛生的だ」が7ポイント、「オリジナリティがある」が12ポイント。なか卯は、16ポイントで「衛生的だ」が4ポイント、「オリジナリティがある」が12ポイントでした。以下、3位すき家は計14ポイント、4位松屋は13ポイント、5位吉野家は6ポイントと、総合力ランキングとは、まったく逆の結果になりました。

ちょっと意外だったのが、吉野家の「オリジナリティがある」が6ポイントと低い点です。吉野家はどこよりもはやく24時間営業の牛丼のファストフード店を始めた老舗なのですが、現代では牛丼がファストフードとして定着したことの裏返しのように思われます。そして牛丼を提供する店は、親子丼やカレーもある、というようにメニュー構成が似ているのも一因なのかもしれません。天丼をメニューの中心に据えているてんや、うどんにも力を入れているなか卯にオリジナル性を感じるのでしょう。

また、もうひとつ注目したいのが、「衛生的だ」は総じて値が低いことです。最高値が7ポイントで、吉野家にいたっては0ポイントとなっています。丼ものチェーン店に対して、「衛生的だ」というイメージはあまり強くないようです。

メニューが多いというイメージでは、松屋が一番

【表3】バラエティランキング

【表3】バラエティランキング

また、「メニューが豊富だ」というイメージを集計したものを、バラエティランキングとしました。こちらのトップは松屋で24ポイント。次いで16ポイントのすき家となか卯、9ポイントのてんや、5ポイントの吉野家となりました。実際は松屋よりも、まぐろ丼や、麻婆茄子丼なども提供するすき家の方がメニューは豊富なようですが、この順位は知名度、店舗数なども影響しているのかもしれません。また、吉野家に関しては、どうしても牛丼のイメージが強いのかもしれませんね。

江戸の昔から、現代に至るまで軽食として人気を誇る丼もの。上記のようにきちんとした棲み分けができているからこそ、各人好みの店が存在するのでしょう。

調査概要と結果

全国のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2008年1月8日(火)〜1月9日(水)
調査対象 吉野家/松屋/すき屋/なか卯/てんや
調査項目
(イメージ)
おいしい/メニューが豊富だ/オリジナリティがある/衛生的だ/入りやすい/顧客ニーズの対応に熱心だ/店員の態度に好感が持てる/経営態度に信頼がおける/安全な食材を使っている。
イメージの分類と
ランキング方法
各社ごとのイメージをコレスポンデンス分析により3グループに分類。グループに適した名前を付け、イメージ(%)を合計して高いほうから順位を付けた。
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