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第37回:社名の由来に対するイメージ調査

長年親しんでいる企業の社名。ですが、その社名の由来についてはあまり知られていないのではないでしょうか。社名といえば創業者や関係者が夢や理念、強い願いをもって考えに考えられたものになっているはずです。社名の由来や意味について知ってみるとその会社に対するイメージも変わってくるかもしれません。今回はそんな社名の由来に対するイメージを聞いてみました。

創業者の姓「松田」と、古代オリエントの叡智の神の意をあわせもつ-マツダ(株)

マツダ社名の由来

まずはMAZDAと記載される広島県安芸郡に本社を置く自動車メーカー、マツダ株式会社です。イメージについては「発想が面白い」は50%、「この企業のイメージに合っている」が20%、「この企業の夢や願いが伝わる」が19%となっています。

1927年、社名を東洋コルク工業から変更した東洋工業の創業者、松田重次郎が三輪トラック「マツダ号」を発売したのは1931(昭和6)年のことです。このトラックの命名は重次郎の姓「松田」と、自動車の原形といわれる馬車や牛車が発祥した古代オリエントの叡智・理性・調和の神を意味するアフラ・マズダー(Ahura-Mazda)の発音が近いことから二つの意味を併せ名づけられたとされています。表記のMAZDAはこのアフラ・マズダーから来ているのですね。1984年に社名もマツダ株式会社と変更されました。二つの意味を併せもち、表記も創業者の姓から一ひねり。この発想の面白さが支持されたようです。

先に大ヒットした数値・記号用印字プリンター「EP(Electric Printer)-101」。「EP」+「SON(息子のような製品群を世に送り出したい)」-セイコーエプソン(株)

セイコーエプソン社名の由来

1964年の東京オリンピックではそれまでの機械式ストップウォッチに代わるデジタルストップクロックと供に記録を紙に残すための「プリンティングタイマー」が活躍。そのプリンティングタイマーはプリンターへと発展しオリンピック4年後の1968年、「諏訪精巧舎」が世界初のミニプリンター「EP(Electric Printer)-101」を開発しました。子会社の信州精器はEP101の大ヒットを受けてプリンターの道を歩むことになります。1975年に誕生したそのブランド名が「エプソン」。「EP」+「SON(息子のような製品群を世に送り出したい)」という意味で名づけられ後に社名化されました。

「発想が面白い」(39%)、「この企業の夢や願いが伝わる」(28%)、「この企業のイメージに合っている」(21%)と続きます。「SON」の言葉に願いを託すネーミングに夢を感じた人は少なくなかったようです。

カルシウム(カル)とビタミンB1(ビー)を子供にとって欲しいと命名-カルビー(株)

カルビー社名の由来

戦後、広島で菓子メーカーを経営していた創業者の松尾孝。当時日本人はカルシウム(カル)ビタミンB1(ビー)が不足していると言われていたそうです。これを何とかしたいという思いで社名をカルビー製菓に改称(1973年には本社を東京に移し、現社名には改称)。この社名に込めた思いを「かっぱえびせん」として製品化したとのことです。

「発想が面白い」(40%)のほか、「この企業の夢や願いが伝わる」(29%)、「この企業をより身近に感じる」、「この企業への好感が増した」(ともに25%)、「この企業の理念が伝わる」(24%)となっており、社名に込められた思いに共感を覚えた人が多いようです。また「誰かに伝えたい」は15%ながら5社中最も高い数値となりました。多くの人にとって子供の頃から身近な企業ですが、その由来は意外に知られてないのではないでしょうか。由来に共感できる分、誰かに伝えたくなるのかもしれませんね。

「サン=聖なる」「リオ=河」スペイン語の合成。文化は文字通り「聖なる河」のほとりに生まれるという意味。-(株)サンリオ

サンリオ社名の由来

次は「人類が最初に住み始めたと言われる河のほとりに聖らかな文化を築きたい」思いをもって会社を設立、「其処に集まる人々がお互いに思いやりを持ち、仲良く暮らせるコミュニティ(集団)を作りたい。」という願いをこめて運営を続けているという今年設立50年を迎えるハローキティで有名なサンリオです。ソーシャル・コミュニケーション・ギフト商品や音楽、映像などのライブエンターテイメントをコミュニケーションの手段として提供し「人と人との心をつなぐ」ソーシャル・コミュニケーション・ビジネスを展開しているとのことです。永きに渡って目にしているキティーちゃんにそんな大きな役割があったとは。企業の思いを知るとなんだか新鮮に見えてきますね。

「発想が面白い」(50%)、「この企業のイメージに合っている」(22%)と続きます。「発想が面白い」がマツダと並んで高いのは、合成語の意味にキティーちゃんを越えた意味深さと意外性を感じる人が多かったからかも知れません。

「man(男性)」と「domain(領域)」の合成語で「男の世界」。さらに「human(人間の)」「freedom(自由)」の新しい意味を付与。-(株)マンダム

マンダム社名の由来

「丹頂」、「マンダム」、「GATSBY」と男性化粧品シリーズでヒットを記録してきたマンダム。社名も丹頂株式会社、株式会社マンダムと変更してきました。もともと「マンダム」は「Man Domain」で男の世界を意味していました。しかし1984年に女性化粧品市場にしたのを機に「Human & Freedom」の意味を付与しました。この「Human & Freedom」には「人間尊重と自由闊達な風土の中で、豊かな創造性が発揮される人間集団」の精神を基本として、ひとり一人のゆとりと豊かさを実現し、安全ではたらきやすい職場環境を確保するとともに、人格・個性を尊重する」という思いがあるそうです。

今回の5社の中で「この企業のイメージに合っている」(34%)が最も高く、「発想が面白い」(32%)、「この企業の理念が伝わる」(27%)となっています。

合成した造語で社名を定め、その意味を時代の流れに合わせて変更する。考え抜かれた企業の思いを感じますね。「企業のイメージに合っている」が一定の数値を得ていることからも、社名の由来が支持されていると言えるでしょう。

一言に社名の由来といってもそれらは創業者の名前や当時の屋号からとったもの、神話や物語の主人公から取ったもの、故事や格言からとったものから造語、そして社名にこれまでにない新しい意味を持たせたものまで様々な成り立ちでできています。いずれにしても創業者や当時の関係者の強い願いや夢が詰まっているに違いありません。これまで馴染みのある企業もその社名の由来を知ってみるとまた新たな親しみが湧いてくるかもしれません。

【参考】本間之英(著)、誰かに教えたくなる社名の由来、講談社、2002年

調査概要

全国の20〜59歳男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2010年3月10日~3月11日
調査内容 社名由来に対するイメージを聞いた
調査対象 企業5社の社名由来(マツダ(株)/セイコーエプソン(株)/カルビー(株)/(株)サンリオ/(株)マンダム)の企業名由来に対し、8つのイメージ項目(この企業への好感が増した/この企業への信頼が増した/この企業をより身近に感じる/この企業の夢や願いが伝わる/この企業の理念が伝わる/この企業のイメージに合っている/発想が面白い/誰かに伝えたい)の中から複数回答式で回答を得た。
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