MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

ブランドなんでもランキング

第94回:デパート(百貨店)に関する意識について

新型コロナの感染状況が落ち着き緊急事態宣言が解除された2021年10月以降、それまで外出を自粛していた人々も少しずつ外に出始め、年末年始は都内や近郊のデパート(百貨店)も賑わいを取り戻していたようでした。今回はコロナ感染者数が低水準で推移していた2021年12月下旬にデパートについて尋ねた結果をお伝えします。

お中元・お歳暮の購入について

通常、クリスマスやお正月を控えた12月はデパートの売り上げが伸びる時期です。また、そうした季節のイベントに加え、お歳暮もデパートの利用機会が増える要因のひとつです。
そこでまず夏のお中元と冬のお歳暮の購入について結果を見てみましょう。
下記はお中元・お歳暮を「贈ることがある」と回答した人に、どこで購入するか尋ねた結果です(図1)。

中国の行事をルーツとするお中元と、お供え物を本家に届ける風習に由来するお歳暮は、いずれももともと日頃お世話になっている人に感謝を伝えるため贈り物をする習慣です。ただし、最近では従来の習慣とは様子が変わってきており、会社の上司や取引先だけではなく、家族や自宅用、自分へのギフト利用も増えてきているようです。

お中元、お歳暮の購入場所は「デパート(実店舗)」と回答した人が50.3%と高く、「デパート(オンラインショップ)」が31.9%と続きました。「デパート(外商)」という人も5.2%おり、多くの人がデパートを利用していることがわかります。

数々のオンラインショップが存在し、ネットショッピングが一般的になった現在ですが、お中元・お歳暮については「デパート」を利用する人が多いことがわかります。たとえ家族や自分自身に贈るものだとしても日常の買い物とは違った意味合いがあるようです。

デパートの利用理由

お中元やお歳暮に限らず、デパートを利用する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。下図はデパートを利用したことがある人に各デパートを利用する・利用したいと思う理由を尋ね、上位5項目を示したものです(図2)。
*選択肢は文末の調査概要を参照。

全てのデパートにおいて「立地が便利」「品揃えが豊富」が上位の2項目となっており、利便性と品揃えがデパート選びの大きな理由となっていることがわかります。また、「店内の雰囲気が良い」「商品が選びやすい」も上位であることから気持ちよい買い物、品物選びができる環境も重要な要素であることがわかります。

ただしその他の理由はデパートによって若干違いが見られるようです。「高級感・格式・伝統を感じる」が上位となったのは伊勢丹、三越、高島屋、「専用のクレジットカード/ポイント/割引」は西武や東急百貨店で上位に入っています。その他小田急百貨店は「店員の感じが良い/対応が丁寧」が上位に挙がるなど、それぞれのデパートが持つ特色になっているとも言えそうです。

デパートのイメージについて

それではここで普段の利用状況を問わず、一都三県在住のみなさんがもつ各デパートのイメージについて見てみましょう。下図は主に都内とその近郊に店舗のあるデパートについてそのイメージを尋ね、全体に占める回答割合を示したものです(図3)。

「高級感がある」「格式・伝統がある」「特別感がある」でトップとなったのは三越です。1673(延宝元)年に三井高利が創業した呉服店越後屋を起源とする老舗のデパートで、日本橋三越本店は日本の百貨店の始まりとされ、現在の本館の建物は国の重要文化財にも指定されています。

続いて「センスが良い/かっこいい」「賑やかな感じがする」「トレンド商品に強い」で最も数値が高かった伊勢丹です。女性客を対象とすることが多かったデパート業界で新宿店「メンズ館」はファッション感度が高い男性の集客に成功し「メンズは売れない」というデパート業界のジンクスを覆しました。伊勢丹でしか買えない商品も多く、それらはバイヤーたちが追求し、選び抜いたもの。YouTubeの公式チャンネルではバイヤーによるベストバイ商品の紹介や身だしなみ講座なども発信されています。かつて企業スローガンでもあった「毎日が、あたらしい。ファッションの伊勢丹」はさらに進化し続けているようです。

さらに「商品の品質が良い/良さそう」「サービスの質が良い/良さそう」と商品・サービスの品質では髙島屋が、「定番商品に強い」ではそごう、西武が最も高くなりました。

各デパートの「考え方」「想い」に対するイメージ

ところで各デパートはどのような考え方、想いのもと、事業を展開しているのでしょうか。普段はあまり目にすることはないかもしれませんが、デパートにはそれぞれ掲げる理念やスローガンがあります。そこで各デパートの理念やスローガンを提示し(図4)、そのイメージを尋ねてみました(図5)。


多くの項目で最も評価が高かったのは髙島屋です。経営理念の「いつも、人から。」は顧客、従業員、関係する全ての「人」を大事に考える姿を感じます。「好感が持てる」「信頼感がある」「温かみを感じる」で多くの支持が集まりました。また、企業メッセージの「`変わらない´のに、あたらしい。」は一見、相反するようではありますが、デパートという業態にとってどちらも非常に大切な「伝統」と「先進性」が調和した姿が簡潔にまとめられています。「伝統を感じる」「センスが良い」「このデパートを利用したくなる」においても最も高い評価となりました。

その他、「先進的である」は三越・伊勢丹が、「親しみを感じる」は東急百貨店、小田急百貨店が、「温かみを感じる」は髙島屋とともに、東急百貨店が最も高い評価を得ました。

各デパートの考えや想いは店舗、オンラインショップ、外商など様々な接点に置いて体現されているでしょうか。社員、スタッフ一人ひとりに浸透していれば顧客である私たちにもきっと伝わってくることでしょう。

デパートでは、スタイリストが顧客のパーソナルカラーや体型に合わせてコンサルティングしてくれたり、コンシェルジュが商品選びをアテンドしてくれるサービスも存在します。これはブランドの垣根を超え商品やサービスを提案できるデパートならではの、また店舗、顧客双方にゆっくり買い物ができる環境が用意されているからこそ実現する付加価値なのでしょう。
2022年1月現在、新型の変異株による感染急増など予断を許さない状況が続いており、今後しばらくはコロナと並走して各々の行動を考えることになりそうです。
状況を見極めながらにはなりますが、折節デパートに足を運んでみると、新しい発見やいつもと違う購買体験ができるかもしれません。

調査概要

一都三県(東京、千葉、埼玉、神奈川)在住の世帯年収600万円以上の30~60代男女(各200名)のインターネットユーザーから回答を得た。

サンプル数 400
調査期間 2021年12月24日~12月25日
調査方法・内容 内容:1.2021年10月以降(新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態合宣言解除後)の「デパート(百貨店)の実店舗」(髙島屋/そごう/西武/三越/伊勢丹/東急百貨店/東武百貨店/小田急百貨店/大丸)の利用状況と利用意向について(緊急事態宣言下でも利用しており、今も利用している/緊急事態宣言前は利用しており、これまでは利用を控えていたが、今は利用している・今後は利用したい/緊急事態宣言前はあまり利用することはなかったが、今後は利用してみたい/緊急事態宣言前は利用していたが、今後もあまり利用するつもりはない/緊急事態宣言前からあまり利用しておらず、今後も利用するつもりはない)よりそれぞれ単一回答、2.1.で過去に利用しており「今も利用している/(緊急事態宣言下は利用を控えていたが)今後は利用したい」と回答したデパートについてその理由を(店内の雰囲気が良いから/店員の感じが良いから・対応が丁寧だから/高級感・格式・伝統感じるから/品揃えが豊富だから/商品が選びやすいから/紙袋・包装紙が好きだから/商品以外のサービス(外商サービスやコスメ、ファッションコンシェルジュなど)が魅力的だから/専用のクレジットカードを持っているから・ポイントが貯まるから・割引があるから/立地が便利だから(自宅が近い、通勤途中にあるなど)より複数回答、3.髙島屋/そごう/西武/三越/伊勢丹/東急百貨店/東武百貨店/小田急百貨店/大丸のイメージについてそれぞれ(高級感がある/格式・伝統がある/センスが良い・かっこいい/賑やかな感じがする/特別感がある/定番商品に強い/トレンド商品に強い/商品の品質が良い・良さそう/サービスの質が良い・良さそう/当てはまるものはない)より複数回答、4.デパート各社のグループ、企業の理念・スローガンなどについて提示し(本文参照)当てはまるイメージについて(センスが良い/先進的である/温かみを感じる/親しみを感じる/伝統を感じる/信頼感がある/好感が持てる/共感できる/このデパートを利用したくなる/当てはまるものはない)より複数回答、5.お中元やお歳暮をどこで購入しているかについて(デパート(実店舗)/デパート(オンラインショップ)/デパート(外商)/デパート以外の実店舗/デパート以外のオンラインショップ/その他/お中元・お歳暮は贈らない)より単一回答にて回答を得た。

印刷する 印刷する