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第92回:Z世代のサステナビリティへの意識について

近年、TVや雑誌などで目にすることが多くなった「SDGs」。ひと昔前まで一般人にはあまりなじみがなかった「持続可能性」という概念ですが、最近では学校などの教育機関でも学ぶ機会が増えているようです。
異常気象による自然災害、感染症、少子高齢化やこどもの貧困、様々な差別の問題など、私たちにとって身近なものだけでも多くの社会課題が顕在化している今、「持続可能な社会の実現」は理想ではなく、未来のために必ず達成すべき「目標」といえるかもしれません。今回は、これからの時代を担うZ世代にサステナビリティへの意識を尋ねてみました。
(注:Z世代…1990年代中盤以降に生まれた世代。2021年現在で凡そ15-25歳くらいの年齢層を指す)

サステナビリティへの認知状況

【図1】はサステナビリティに関連する用語について認知状況を尋ねた結果です。

認知度が最も高かったのは「SDGs」(Sustainable Development Goals)でした。
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」ですが、最近はテレビや雑誌などで取り上げられる機会も増えました。2021年の日本テレビ「24時間テレビ44」が「想い~世界は、きっと変わる」を掲げ、様々な企画を実施していたことは記憶に新しいのではないでしょうか。Z世代の60%近くが「言葉の意味や内容をよく知っている/少し知っている」と回答しています。次いで「ダイバーシティ」「フェアトレード」「サステナビリティ」などの認知度が高くなっています。

さて、2018年11月、なんでもランキング第83回「企業の社会的責任と活動について」においても「SDGs」の認知状況を尋ねています。当時の認知率はおよそ20%とそれほど高いとは言えませんでした。あれから3年、「SDGs」の概念は急速に浸透しつつあるようです。

Z世代の意識や行動

【図2】はサステナビリティに関する意識や行動について当てはまるものを答えてもらった結果です。

「エコバッグやマイ箸、マイボトルなどを積極的に利用している」「環境や社会に配慮した製品を購入したい」「再利用・リサイクルを心掛けている」「水・電気など自分が使用する資源の量を意識している」はいずれも50%以上が「当てはまる」「やや当てはまる」と答えており、日常的に地球環境を意識し行動している人が多いことが伺えます。
一方で「企業のサステナビリティの取り組みについて情報収集することがある」「企業が行うべきサステナビリティの取り組みについて自分なりの意見をもっている」「サステナビリティの取り組みについて注目している企業がある」など自ら進んで情報を収集し、自分なりの意見を持つ人は20%程度に留まっています。
多くの課題を抱える現代では、社会も経済も「持続可能であること」が重要な前提となります。これからの時代を支えるZ世代が「持続可能性」について確かな知識と意見を持ち社会を動かすことができるよう、教育機関、企業、政府など様々な立場から啓発を進めていく必要があるのではないでしょうか。

意識向上に向けての働きかけ

下図はサステナビリティへの意識向上に向けて有効だと思う働きかけ(媒体)【図3】および(発信主体)【図4】について尋ねたものです。


「媒体では「SNS(Twitter、Instagram、YouTube等)を通じた啓発」が60%近くと最も高くなっています。発信主体では「芸能人・著名人・インフルエンサー」の有効度が高く、Z世代にとってインフルエンサーのSNSでの呼びかけは効果がありそうです。
また、メディア以外では「教育機関主導による啓発」も比較的高くなりました。最近では授業で「SDGs」や「フェアトレード」を取り上げることも多く、これらの認知度が高いのも頷けるものがあります。

企業の取り組みに対する印象

次に、企業のサステナビリティや社会貢献への取り組みをいくつか提示し、その印象を尋ねてみました。【図5】は各取り組みの印象について項目別に回答割合を積算したものです。

全体的に山崎製パンの「大規模災害時の緊急食糧支援」で評価が高くなりました。中でも「社会に貢献している企業だと感じた」が高くなっています。「大規模災害発生時の緊急食糧の供給は、食品企業としての当社の社会的使命」として、東日本大震災はもとより熊本地震などにおいても避難所が閉鎖されるまで長期におよび緊急食糧供給活動が行われました。今年8月の西日本を中心とした豪雨災害でも迅速に大量のパンが差し入れられたとのこと。岡山県総社市市長の感謝のツイートが話題となりました。

次いで評価が高かったのはセブン&アイホールディングスとソニーの取り組みです。
セブン&アイホールディングスではセブン‐イレブンなどグループ店舗の店頭で回収したペットボトルを快適な着心地の肌着『セブンプレミアムライフスタイルボディクーラー』として再生、商品化しました。
ソニーでは、グループ環境中期目標「Green Management 2025(GM2025)」で小型新製品の「プラスチック包装材の全廃」が掲げられており、モバイル製品でも取り組みが進められています。2021年発売の「Xperia 1 III」ではフィルムラミネートを耐摩耗ニス加工に変更、スマートフォン用ボックス内のトレイに工場で端材として廃棄される紙を再利用するなどプラスチック削減の取り組みが進んでいます。
これらの取り組みについては、特に「企業の将来性を感じた」において高い評価となりました。Z世代にとっても身近な商品にまつわる取り組みであること、またリサイクルの技術そのものに企業の発展性を感じた人が多かったのかもしれません。

「印象に残っているサステナビリティの取り組み、プロモーション、教材」

最後に、これまでの体験の中で印象に残っているサステナビリティについての取り組みや、プロモーション、教材などを自由意見で尋ねてみました。
自身の体験について多かったのは、学校での授業や講義、ボランティア活動など教育現場での出来事でした。
またテレビ番組の特集や芸能人・有名人の発信について挙げた人もいました。

企業の取り組みとして多く挙がったのはファストファッション店でのリユース・リサイクル活動やファストフード店やコンビニのトレイ再利用や紙ストロー採用、などです。身近な消費に対する企業の取り組みは印象に残るケースが多いようです。

そのほか「思っていた以上に多くの企業がサステナビリティの取り組みをしていた。」といった意見・感想も複数聞かれました。

感受性の豊かな10代、学生から社会人へ生活ステージが変化する20代、Z世代はまさにこれから人生の基礎が確立される世代でもあります。
未来を担うZ世代に対し、教育機関や企業、政府・地方自治体など先人が積極的にサステナビリティの考え方や重要性を伝え、彼らとともにより高い意識を持って持続可能な社会を目指していくことで、その先、彼らが作る未来はより明るいものになるのではないでしょうか。

調査概要

首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)在住15~25歳・男女(各140名)のインターネットユーザーから回答を得た。

サンプル数 280
調査期間 2021年9月9日~9月10日
調査方法・内容 1.用語(サステナビリティ(持続可能性)/CSR(企業の社会的責任)/SDGs(Sustainable Development Goals)/ESG/CSV(共通価値の創造)/企業市民/ESG投資/エシカル消費/カーボンオフセット/ダイバーシティ/フェアトレード/シェアリングエコノミー/ディーセント・ワーク))の認知とその程度について(【言葉の意味や内容をよく知っている/言葉の意味や内容を少し知っている/言葉だけ知っている/知らない】より)それぞれ単一回答、この後サステナビリティについて簡単に説明し、2.サステナビリティへの意識や行動として(環境や社会に配慮した製品を購入したい/環境や社会に配慮した企業に投資したい/環境や社会に配慮した企業に就職したい/企業のサステナビリティの取り組みについて情報収集することがある/サステナビリティの取り組みについて注目している企業がある/企業が行うべきサステナビリティの取り組みについて自分なりの意見をもっている/企業のサステナビリティの取り組みについて周囲と意見を交わすことがある/エコバッグやマイ箸、マイボトルなどを積極的に利用している/できるだけ簡易な包装の製品を選ぶようにしている/再利用・リサイクルを心掛けている/水・電気など自分が使用する資源の量を意識している/社会やコミュニティをより良くするモノやコトを考えるのが好き/サステナビリティについて周囲と話すことがある/サステナビリティについて自身の意見についてSNSで発信することがある)について(【当てはまる/やや当てはまる/どちらともいえない/あまり当てはまらない/当てはまらない】より)それぞれ単一回答、3.意識向上に向けての働きかけ(政府や地方自治体主導による啓発(広告・イベント・Webコンテンツなど)/民間企業主導による啓発(広告・イベント・Webコンテンツなど)/教育機関主導による啓発(授業・特別講義・イベントなど)/TV番組を通じた啓発/新聞や雑誌の記事を通じた啓発/ニュースサイトや情報サイトを通じた啓発/SNS(Twitter、Instagram、YouTube等)を通じた啓発/サステナビリティについての専門家の発言/芸能人・著名人・インフルエンサー(ユーチューバー、インスタグラマーなど)の発言/家族・友人・知人の発言)について(【非常に有効である/多少有効である/どちらともいえない/あまり有効でない/全く有効でない】より)それぞれ単一回答、4. 企業の取り組みそれぞれ指定URLを閲覧してもらい
・大規模災害時の緊急食糧支援(山崎製パン)https://www.yamazakipan.co.jp/shakai/saigai/index.html
・『Kaji×Kajiハッピーシェア』家庭内の家事分担ギャップ問題解決を支援する取り組み(ライオン)https://www.lion.co.jp/ja/csr/kajikaji/
・『サステナブルジャーニー』(Webマガジン)を通じ、サステナブルなライフスタイルのヒントを提供(大和ハウス)https://www.daiwahouse.com/sustainable/sustainable_journey/
・『パナソニックキッズスクール』子供たち向け次世代支援プログラム(パナソニック)https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/pks.html
・計18ヶ国とフェアトレードコーヒー・紅茶を取引、各国で生産者の支援を行う取り組み(ゼンショーホールディングス)
https://www.zensho.co.jp/jp/social_contribution/fairtrade/
・すべてのパッケージで、プラスチックの使用をやめるために。Xperiaはプラスチックを使わないパッケージへ(ソニー)https://www.sony.com/ja/SonyInfo/csr/eco/products/Xperia.html
・グループの店頭で回収したペットボトルが「肌着」に。『セブンプレミアムライフスタイルボディクーラー』(セブン&アイホールディングス)https://www.7andi.com/sustainability/g_challenge/action/plastic_20210521/index.html
に対する印象について(【企業のビジョンや活動内容に共感した/企業の将来性を感じた/社会に貢献している企業だと感じた/企業の新たな一面を知ることができた/企業への理解が深まった/企業への信頼が深まった/企業に対し共感を覚えた/この企業の商品・サービスを利用したいと感じた/当てはまるものはない】より)それぞれ複数回答、5.これまで見たり聞いたり体験した中で、印象に残っているサステナビリティについての取り組みや、プロモーション(CM、記事、番組、イベントなど)、教材などについて自由回答により回答を得た。
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