各社とも競い合うように開発している新機種。とあるグッズ誌の編集者が「毎月新製品を紹介するページがあるけど、とてもすべてカバーできない」と言うほど、大量に毎月発売になります。業界としては大変にぎわっているようですが、はたしてユーザーはどうなのでしょう。今回は携帯電話の機種変更について、聞いてみました。
デザイン重視が圧倒的
【図1】 機種変更で重視する点
まず、機種変更の際、重要視する点を聞いてみたところ、「デザインが好みかどうか」が圧倒的に多く、59パーセント。携帯電話のデザインで先行したのはau。01年にスタートした「KDDI デザイン開発プロジェクト」が母体で、深澤直人氏などとのコラボレーションを次々に生み出し、機能性重視だった当時の流れに逆らい、デザイン性を主張。その後は各社ともそれに同調するようにデザインにこだわるようになりました。「デザインが好みかどうか」を選択した人すべてがau利用者かどうかは定かではありませんが、auが業界のデザイン性を引き上げることに貢献したことは間違いなさそうです。次いで、「使い慣れたメーカーかどうか」が38パーセント。「P(パナソニック)がいい」「N(NEC)がいい」などと言っているのを耳にしますね。また、「画像がきれい」(33パーセント)というのも、写メール、映像、ワンセグが当たり前になったいまを象徴していると言えるでしょう。
二つ折がいちばん使いやすい?
【図2】 端末の形状
次に、どんなタイプの形状がいいかをたずねてみました。90度回転させるサイクロイド型、キーボードになるスマートフォンなど、使いやすそうなタイプが次々に登場していますが、一番人気は「二つ折」。なんと82パーセント。周りを見渡しても、二つ折りユーザーが多いように思いますが、これは「使い慣れたメーカーかどうか」を選んだ人が多かったことに通じそうですね。機種全体の中で、2つ折タイプが最も種類が多いこと大きな要因の一つと考えられます。新しいものより、使い慣れたものを選ぶ、ということでしょうか。
また、男性はスーツのポケットに入れる事が多いと思いますが、二つ折りもどんどん薄くなっていますね。少し厚みのある「スライド」(13パーセント)、「サイクロイド型」(5パーセント)、「スマートフォン」(4パーセント)にはかなわないのでしょう。
パナソニック、シャープが2強
【図3】 好きなメーカー
さて、次はぐっと核心に迫り、どのメーカーが好きか、を聞いてみました。これはツートップという結果になりました。「パナソニック」「シャープ」(29パーセント)です。この2社は、家電分野でも液晶の美しさを前面に出していますね。シャープの「アオクス」携帯は、利用者の数はともかく、注目を集めるに、十分なインパクトがありました。また、パナソニックは、05年の携帯出荷台数シェアが国内で第1位の携帯メーカーでもあります。
3位は「NEC」(18パーセント)で、老舗の強みといいましょうか。残念だったのが「モトローラ」(1パーセント)。今までの国産にない、斬新なデザイン、宣伝展開だったのですが、まだまだ愛着は薄いようです。
ユーザーはキャリアのサービスより機種メーカーの技術を支持
【図4】 携帯会社を変更しても良いと思う機能・サービス
各キャリアとも、独自のサービスや新機能の宣伝に熱心ですが、ユーザーはどうなのでしょうか? この機能やサービスのためにキャリアを変更しても良いと思うものを聞いてみたところ、「ホワイト家族24」が最も多く16パーセント、最下位が、「S!ループ」(2パーセント)となりました。「ホワイト家族24」は、イヌに変えられてしまったお父さん、樋口可南子のお母さん、外国人になってしまったお兄さん、そして、ソフトバンクショップに勤める上戸彩という家族を使ったCMがインパクト大。
しかし、概して言えばどのサービスも似たり寄ったりで、しかも「あてはまるものがない」(39パーセント)を大きく下回っているのが現状です。
ただ、LISMOとEZナビウォークを合わせて25パーセントという結果も出ており、魅力的なサービスの組み合わせで、ユーザーを惹きつけることもできるかもしれません。
新しいものより使い慣れたものを選択するユーザー多し
【図5】 MNP施行後の携帯会社変更経験
さて、最後に、ナンバーポータビリティー制度を利用して、キャリアを変更したかどうかをたずねたところ、「変更していない」が91パーセントでした。あれだけ物議をかもした制度だけに意外な気もしますが、その他の質問の結果からみても、ユーザーはメーカーやキャリアが思っているよりずっと保守的なのかもしれませんね。ちなみに、「Docomoからauへの変更」「WILLCOMに変更」がともに2パーセントというのが多少参考になる結果かもしれません。
以上をまとめていうと次のようなことがいえるでしょうか。単独でキャリアを変える強い動機となるようなサービスは見当たらず、市場は端末の買い替えを中心に動いているようです。また、市場を左右するものはメーカーのデザイン力を含めた技術力に移っている、といえるでしょう。多くの人が使い慣れたパナソニックと、キーデバイスの液晶でデザインを差別化する力があるシャープが2強になるのはうなずける、と解釈できそうです。
調査概要
全国のインターネットユーザーから回答を得た
サンプル数 | 100 |
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調査期間 | 2007年6月13日〜6月14日 |
調査項目 | ※「SA」=択一回答、「MA」=複数回答可
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