テレビ番組の視聴率は以前に較べ近年は下がる傾向にあるようです。パソコンやスマホ、オンラインゲームなど自宅での時間の使い方が多様化しているのでしょう。それでも懐かしい番組、復活して欲しい番組、タイトルを聞くだけで当時を思い出す番組というのも少なからずあるのではないでしょうか。今回は続編またはシリーズ化してほしいテレビドラマと復活してほしいテレビ番組についてたずねました。
もっとも高かったのは架空の警察署、七曲署を舞台にした刑事ドラマ「太陽にほえろ!」(日本テレビ)です。石原裕次郎さんが演じる「ボス」をはじめ「ゴリさん」や「ジーパン」「テキサス」「ラガー」と出演する刑事たちにニックネームがつき、刑事の視点から展開するドラマとして日本の刑事ドラマの代表作となりました。ジーパン刑事こと松田優作さんの殉職シーンは「なんじゃこりゃ」のセリフと共に多くの人の記憶に残っており、リアルタイムでドラマを見たことがない人もご存知なのではないでしょうか。
2位は近年稀に見る高視聴率を叩きだした「家政婦のミタ」(日本テレビ)です。夫と息子を失ったことを自らの責任と常に無表情で笑うことのない松嶋菜々子さん演じる主人公の三田灯が母親を失い崩壊寸前の阿須田家の家政婦になったことで、家族が再生していく姿を描いています。当ランキング6位の「やまとなでしこ」で一世を風靡した女優松嶋さんがロボットのように機械的で命令されれば「承知しました。」と犯罪行為ですらやってのける意外性で話題になりました。放送されたのは2011年秋のことで東日本大震災が起こった年です。また自殺者が年間3万人にも上るといわれている現代において、このドラマの根底には「サバイバーズ・ギルト(災害や事件、事故などで生き残った人が「自分だけが助かって良かったのか」と自責の念にさいなまれる罪悪感)を残された人がどう乗り越えていくか」というテーマをも捉えたことが社会現象にまでなった一因とも言われています。
続いて3位はSMAPの木村拓哉さん演じる茶髪でジーパン姿の型破りな検事、久利生公平と松たか子さん演じる事務官の雨宮舞子を中心に繰り広げられる社会派コメディー「HERO」(フジテレビ)です。検事の仕事はデスクワークが主というイメージの中、実際に捜査に出て独自の視点で問題を解決していく久利生検事と東京地検城西支部メンバーのテンポの良い掛け合いに気分は爽快です。
4位は「3年B組金八先生」(TBS)です。中学校を舞台に武田鉄矢さん演じる坂本金八先生が体当たりで様々な問題に立ち向かっていく学園ドラマシリーズで32年に渡って放送されました。校内暴力、いじめ、発達障害や性同一性障害、また出会い系サイトでの問題などドラマで扱われるテーマには時代を反映したものも多く、時代背景は変わっていく中でも金八先生の変わらない生徒に対する愛情に共感した人も多かったかもしれません。
5位は江口洋介さん演じる「あんちゃん」、福山雅治さんの「チイ兄ちゃん」を始め離れ離れになっていた兄妹たちが再び一緒に暮らし始める涙あり、笑いありのホームドラマ「ひとつ屋根の下」(フジテレビ)、6位は松嶋菜々子さん演じるお金持ちと結婚するために合コンに励む客室乗務員、神野桜子と堤真一さん演じる貧乏で不器用だが一途に桜子を愛する中原欧介との異色の恋愛ドラマ「やまとなでしこ」(フジテレビ)でした。キャッチコピーは「愛は年収」。お金持ちを探す徹底したキャラクター設定が話題になりました。
以下、水戸藩主・徳川光圀の漫遊記、「水戸黄門」や仲間由紀恵さん主演の「ごくせん」も僅差で続きました。
続いては復活してほしい番組です。
最も高かったのは「ザ・ベストテン」と「8時だョ!全員集合」です。「ザ・ベストテン」は1978年~1989年まで続いたTBSのランキング形式の歌番組です。黒柳徹子さんと久米宏さん(初代男性司会者)の司会で始まりました。ランキングは毎週、レコードの売上のほかラジオやハガキでのリクエストが反映され、ランキングされた歌を登場した歌手が生放送で歌うという画期的な番組でした。
同じくTBSの「8時だョ!全員集合」は1969年から1985年まで毎週土曜日20時に放送されていました。ザ・ドリフターズのコントやゲストとのミニコント、ゲストの歌などで構成されており、これだけの内容が基本的に生放送で行われていたというのですから驚きです。コントからは数々の流行語も飛び出しました。じゃんけんのときの掛け声「最初はグー」は志村けんさんのギャグだということをご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんね。人気絶頂のアイドルや多彩なゲストが毎回コントに挑戦する姿は近年ではなかなか見ることができないのではないでしょうか。
続いては「ニューヨークに行きたいか!」「罰ゲームは怖くないか!」の掛け声で始まる「アメリカ横断ウルトラクイズ」(日本テレビ)です。「知力、体力、時の運」を合言葉に日本全国から集まった参加者が次々に問題を解きながらアメリカを横断し、ニューヨークを目指すという1977年から1992年まで年に一度、制作されていた番組です。世界を股にかけて行なわれるスケールの大きさ、成田空港まで行っても半分近くの人が飛行機に乗れなかったり、アメリカに行くために会社を辞めて来たりとそれまでのクイズ番組にはないドラマが随所で見られたようです。ところで、携帯できるパソコンも出回っていない当時、問題などに疑問が出てもすぐに調べられるように、とスタッフはいつも辞書や辞典を多量に持ち歩いたそうです。海外ロケでの自然との闘い、2万人を超える参加者への対応など放送では見ることのできなかった撮影秘話も面白いに違いありません。1998年に「今世紀最後!! 史上最大! アメリカ横断ウルトラクイズ」として一度限りの復活を果たしたそうですが、一度と言わず21世紀においても復活してほしいと思います。
続いて4位となったのは「進め!電波少年」(1992年-1998年)と続編の「進ぬ!電波少年」(1998年-2002年、日本テレビ)です。「進め!電波少年」はCGアートを背景に顔だけが映し出された司会者の松本明子さん、松村邦洋さんが印象的なバラエティ番組です。当時はあまりなかったアポなしロケやヒッチハイクで話題になりました。お笑い芸人の有吉弘行さんが当時組んでいたコンビである猿岩石がブレイクしたのもこの番組のユーラシア大陸をヒッチハイクする企画コーナーからでした。現在も深夜に当時の「進め!電波少年」が放送されています。
5位の「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ)は1991年~1997年まで放送されたコント番組です。この番組でダウンタウンさんのファンになり、今田耕司さん、板尾創路さん、ほんこんこと蔵野孝洋さんやタレントのYOUさんなどの名前を知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じく5位に1981年~1996年まで放送された長寿番組「なるほど!ザ・ワールド」(フジテレビ)も並びました。愛川欽也さん、楠田枝里子さんが司会の紀行・クイズ番組です。毎回国内外の様々な情報をレポートしクイズとして出題されました。4組の回答者はそれぞれ階段状に並べられた4つの座席に座り、1番席より回答権利が順に移り、正解により座席を移動するという形式でした。また番組スポンサーは旭化成グループの一社提供でした。番組内には近年のクイズ番組とはまた違った独特の世界があったように思います。
以下、みのもんたさんとV6メンバーによる学校をテーマとしてバラエティ番組「学校へ行こう!」(1997年-2005年、TBS)、2001年~2010年まで毎年12月に放送されていた漫才コンテスト決勝戦「M-1グランプリ」(テレビ朝日)が続きました。
近年は10%を超えると高視聴率番組だと言われますがこれらの番組では当時30%を超えたものも多く、社会現象や番組から流行語が生まれるなど大きな影響力がありました。上位の番組には生放送や海外ロケを行なったものも多く、労力と予算をかけ、妥協を許さない制作者側の心意気も垣間見えます。また長寿番組となったものには「家族」や「学校教育」といった普遍的なテーマを扱ったものも少なくありません。これらの番組の意志を受け継ぐ番組をまた見てみたいと思います。
調査概要
全国35歳以上男女のインターネットユーザーから回答を得た
サンプル数 | 100 |
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調査期間 | 2013年3月19日~3月20日 |
調査方法・内容 | 続編またはシリーズ化を希望するテレビドラマ(「おしん」/「太陽にほえろ!」/「ひとつ屋根の下」/「やまとなでしこ」/「HERO」/「ごくせん」/「水戸黄門」/「家政婦のミタ」/「3年B組金八先生」/「渡る世間は鬼ばかり」)、復活してほしいテレビ番組(「8時だョ!全員集合」/「オールスター家族対抗歌合戦」/「クイズ面白ゼミナール」/「ザ・ベストテン」/「アメリカ横断ウルトラクイズ」/「なるほど!ザ・ワールド」/「ダウンタウンのごっつええ感じ」/「進め!電波少年・進ぬ!電波少年」/「M-1グランプリ」/「学校へ行こう!」)についてそれぞれ選んでもらい回答(複数可)を得た。 |