付加価値の高い商品がわれわれ消費者にもたらす満足感、使用に対する快適さは商品そのものが提供する価値(その商品でできること)=「機能的価値」とその商品を持つ(使う)ことで得られる心理的価値=「情緒的価値」で成り立っていると言われます。それは製品やサービスに対するイメージ(「ブランドイメージ」)に対しても同じであると考えられます。
一般に化粧品やアパレルでは情緒的価値が大きいといわれています。それではパソコンのように機能性の大きな製品はどうでしょうか。世帯普及率が8割を超えていると言われる現在、消費者はパソコンについてどのような価値をイメージしているのでしょうか。今回は各社ノートパソコンについて聞いてみました。
まず機能的価値と各メーカーに対する信頼性の関係について見てみましょう。機能的価値評価の高い富士通(FMV)、NEC(LaVie)の信頼性が高く、機能的価値が大きければ信頼性が高いといった関係が見られます。このことから機能的価値を高めることがブランド価値向上に強く結びついているように見えます。
今度は視点を変えて、機能的価値と情緒的価値を合わせたイメージ合計をみてみましょう。
ソニー(VAIO)156Pt、アップル(MacBook)153Pt、NEC(LaVie)130Pt、富士通(FMV)121Pt、東芝(dynabook)120Ptの順となりました。必ずしも信頼性評価が高いとは言えなかったソニー(VAIO)やアップル(MacBook)が上位に来ています。機能的価値に対する評価が全体イメージと逆比例しているのが面白いですね。
それでは機能的価値と情緒的価値の関係性について見てることにしましょう。ソニー(VAIO)、アップル(MacBook)は情緒的価値の評価が非常に高く、機能的価値の評価はそれほど高くないことがわかります。一方、NEC(LaVie)、富士通(FMV)、東芝(dynabook)は機能的価値に対する評価が非常に高くなっていますが情緒的価値はそれほど高くありません。
このように機能的価値が中心と思われがちなパソコンのような製品でも機能的価値の高さが全体イメージを押し上げるとは限らない一方、情緒的価値の役割は大きく、時にはブランド価値全体を大きく左右する要因として働いていると見ることができます。
通常、情緒的価値は品質や性能といった機能的価値とは違い、スペック一覧などで比較ができません。しかしそれだけに他社からの追随を受けにくく、差別化には大きな力を発揮すると考えられます。「消費者は「『商品』ではなく『(それを持つ、使う)経験』を買う。」-パソコンのような高性能商品にもこの言葉は当てはまると言えそうです。
-
NEC(LaVie) 富士通(FMV) 東芝(dynabook) ソニー(VAIO) アップル(MacBOOK) 機能的価値 86 83 80 70 57 情緒的価値 44 38 40 86 96 信頼性 51 55 40 44 28
【機能的価値】:携帯性が良い/操作性が良い/拡張性が高い/コストパフォーマンスが良い、【情緒的価値】:知的な感じがする/かっこいい/魅力的だ/持つことに喜びを感じる、【信頼性】:メーカーが信頼できる
調査概要
全国の20〜59歳男女のインターネットユーザーから回答を得た
サンプル数 | 100 |
---|---|
調査期間 | 2009年11月27日~11月28日 |
調査内容 | ノートパソコン5社製品に対するイメージを聞いた。 |
調査対象 | ノートパソコン5社製品(NEC LaVie/富士通 FMV/東芝 dynabook/ソニーVAIO/アップル MacBook)に対し、8つのイメージ項目(【機能的価値】:携帯性が良い/操作性が良い/拡張性が高い/コストパフォーマンスが良い/【情緒的価値】:知的な感じがする/かっこいい/魅力的だ/持つことに喜びを感じる)と信頼性に対する項目(メーカーが信頼できる)の中から複数回答式で回答を得た。 |
「ブランドなんでもランキング」一覧はこちら
印刷する