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第25回:企業の環境ニュースに対するイメージ調査

環境への配慮は多くの企業にとってますます避けることができないものとなっており、各社とも様々な努力をしています。さて、環境に対する企業の取り組み情報は消費者からどのように受け止められているのでしょうか(環境に対する取り組み情報は【表1】をご覧下さい)。

企業名 ニュース内容
ファミリーマート ■ファミマ、おむすび、寿司、弁当全製品を無洗米に
【出所:ファミリーマートニュースリリース(08年11月4日)】
株式会社ファミリーマートは、米飯製造(炊飯)に関わる環境負荷に着目し、2008年11月4日(火)からおむすび、寿司、弁当の全品に使用する米を研ぎ洗いの必要がない無洗米に順次変更する。まずは東京都の一部及び神奈川県の一部で先行導入し、2008年度中に全店舗にて切替える計画。これにより年間2億5千万リットルの水、840トンのCO2が削減を見込んでいる。
サッポロビール ■サッポロ ビール缶にCO2排出量を明記
【出所:サッポロビールニュースリリース(08年6月19日)】
サッポロビール株式会社は、主力商品であるサッポロ生ビール<黒ラベル>350ml缶を日本で初めて「カーボンフットプリント」(以下「CF」)(*製品の製造・流通・廃棄に関わるCO2排出量を算定・表示する仕組み)をあしらった商品として順次全国規模で通年販売する見込み。国際規格に準拠した商品単位CO2排出量の算出経験を基に、具体的な製品に表示することを決定したのは同社が初。CF商品の市場展開を一早く実現することで、CO2の「見える化」による国民が主役の環境対策推進を図る。
JR東日本 ■JR東日本、主要400駅を省エネ化、200億円規模の省エネ投資
【出所:東日本旅客鉄道ニュースリリース(08年11月6日)】
JR東日本グループは、地球温暖化防止への取り組みとして「駅・オフィスにおける使用エネルギーを3年間で4.5%削減(2010年度目標)」する目標を設定している。具体的な取り組みとして、山手線目白駅と中央線市ヶ谷駅においてCO2 排出量削減を目的とした、駅における省エネルギー化((1)駅の使用電力量を用途別に把握する計測装置の導入/(2)ホーム照明等の配置を工夫し、照度を均一化/(3) 照明設備をエリア別に点消灯できるように、配線のつなぎ替え/(4) 照明を自動制御する装置の導入/(5)エネルギー効率の高いLED 照明やLED 案内掲示器の導入/(6) 旧基準品の変圧器をエネルギー効率の高い新基準品に交換など)の試行に着手する。また、導入後の省エネ効果を評価し他の駅への拡大を検討する予定。
グーグル ■グーグル本社は最先端のエコオフィス
【出所:日経エコロミー】
グーグルでは07年6月にソーラーパネルの設置を発表。現在、米カリフォルニア州マウンテンビューのグーグル本社では1.6メガワットの電力を生産し、ピーク時の30%の電力をまかなっているという。同時に室内灯は電球型蛍光灯を用い効率的に照明を配置することで、通常のオフィスと比べ25〜35%の省エネを達成した。またオフィスの建材となる木材やカーペットなどもリサイクル品を利用し、環境に優しいオフィスを目指す。
日清食品 ■カップが何度も使えるカップヌードル 日清リフィルシリーズ発売
【出所:日清食品ニュースリリース(07年1月22日)】
日清食品株式会社は、「楽しく食べて、エコスタイル」をコンセプトに、新しい食スタイル、食シーンを提案する環境配慮型商品の第1弾として「カップヌードル リフィル (詰め替え用)」「カップヌードルシーフードヌードル リフィル (詰め替え用)」及びリフィル専用オリジナルカップ「マイヌードルカップ (プラスチック製リユースカップ)」とリフィル各1食をセットにした「カップヌードルリフィル スターターパック」を、07年3月26日(月)より関東地方1都9県のコンビニエンスストア、百貨店、バラエティーストア並びに通信販売で発売した。
【表1】各社のニュース内容

注目度、購入意欲への貢献度が高いのは日清食品

(単位:%)
n=100 日清食品
この取り組みに対して興味を持った 44.0
この企業に対して興味を持った 10.0
環境問題の解決に努力している 39.0
環境問題の解決に成果を挙げている 10.0
環境に対する取り組みが効果的に伝わる 13.0
この企業の製品・サービスに興味を持った 24.0
この企業に対して好感を持った 16.0
この企業の今後に期待できる 16.0
この企業に対する信頼が増した 6.0
この取り組みの趣旨に共感できる 21.0

まず、「カップが何度も使えるカップヌードルを販売」した日清食品を見てみましょう。「この取り組みに興味を持った」が44%、次に「環境問題の解決に努力している」が39%となりました。そして「この企業の製品・サービスに興味を持った」も24%と、他の企業の場合よりも高い結果となりました。「マイカップ」「マイ箸」などが世の中に浸透して来つつある中、「マイカップ容器」に対しても受け入れやすく、消費者からの高い注目度や製品興味度につながったものと考えられます。

分かりやすさがポイントになったファミリーマート

(単位:%)
n=100 ファミリーマート
この取り組みに対して興味を持った 40.0
この企業に対して興味を持った 14.0
環境問題の解決に努力している 33.0
環境問題の解決に成果を挙げている 5.0
環境に対する取り組みが効果的に伝わる 18.0
この企業の製品・サービスに興味を持った 21.0
この企業に対して好感を持った 22.0
この企業の今後に期待できる 13.0
この企業に対する信頼が増した 6.0
この取り組みの趣旨に共感できる 29.0

次に、「販売するおむすび、弁当などの全製品を無洗米に」したファミリーマートを見てみましょう。「この取り組みに興味を持った」(40%)、「環境問題の解決に努力している」(33%)が高いほか、他の企業の場合と比べて「この取り組みの趣旨に共感できる」(29%)人が多いという結果となりました。無洗米=とぎ汁が出ないため、汚水を削減できる、または節水という普段からよく耳にする内容に共感が得られたのかもしれません。

サッポロビールはCO2排出量「見える化」で信頼度アップ

(単位:%)
n=100 サッポロビール
この取り組みに対して興味を持った 30.0
この企業に対して興味を持った 14.0
環境問題の解決に努力している 39.0
環境問題の解決に成果を挙げている 6.0
環境に対する取り組みが効果的に伝わる 17.0
この企業の製品・サービスに興味を持った 9.0
この企業に対して好感を持った 18.0
この企業の今後に期待できる 10.0
この企業に対する信頼が増した 12.0
この取り組みの趣旨に共感できる 24.0

同じく食品関係で「ビール缶にCO2排出量を明記」のサッポロビールを見てみましょう。「環境問題の解決に努力している」(39%)、や「この取り組みに対して興味を持った」(30%)が多いほか、他の企業の事例と比べて「この企業に対する信頼が増した」(12%)人が多いことが注目されます。CO2排出量は最近テレビなどさまざまなメディアで盛んに取り上げられ一般消費者の意識に上る機会が増えているテーマです。自分自身が直接手にするビール缶に、一目で量がわかるよう表示することで消費者の理解を得やすくするという企業姿勢が、高い評価につながったようです。

計画の具体性が期待度を高めたJR東日本

(単位:%)
n=100 JR東日本
この取り組みに対して興味を持った 33.0
この企業に対して興味を持った 16.0
環境問題の解決に努力している 41.0
環境問題の解決に成果を挙げている 8.0
環境に対する取り組みが効果的に伝わる 20.0
この企業の製品・サービスに興味を持った 4.0
この企業に対して好感を持った 17.0
この企業の今後に期待できる 20.0
この企業に対する信頼が増した 7.0
この取り組みの趣旨に共感できる 23.0

そして次は「主要400駅を省エネ化、200億円規模の省エネ投資」のJR東日本です。多いのは「環境問題の解決に努力している」(41%)、「この取り組みに対して興味を持った」(33%)ですが、さらに「この企業の今後に期待できる」(20%)が他社よりも高い割合となっています。同社が発表した計画ではでは、いつまでに、駅のどの箇所をどのように省エネ化するのかを具体的ににしています。こういった点が高く評価され、消費者の期待に結びついたようです。

グーグル本社のエコオフィスは親近感と共感を喚起

(単位:%)
n=100 グーグル
この取り組みに対して興味を持った 33.0
この企業に対して興味を持った 16.0
環境問題の解決に努力している 36.0
環境問題の解決に成果を挙げている 14.0
環境に対する取り組みが効果的に伝わる 15.0
この企業の製品・サービスに興味を持った 6.0
この企業に対して好感を持った 29.0
この企業の今後に期待できる 12.0
この企業に対する信頼が増した 5.0
この取り組みの趣旨に共感できる 31.0

いち早く環境問題に取り組んでいたグーグルはどうでしょうか。「環境問題の解決に努力している」(36%)、「この取り組みに対して興味を持った」(33%)が多いほか、「この取り組みの趣旨に共感できる」(31%)、「この企業に対して好感を持った」(29%)が他社と比べて最も高くなっています。「本社は最新のエコオフィス」というイメージが、また親近感や好感につながったのではないでしょうか。

日清食品やファミリーマートの例に見られるように、消費者が身近に感じるもの、理解しやすいものはより興味を集めているようです。

一方「環境問題の解決に成果を上げている」が各社とも低いのは、多くの企業において環境活動への取り組みは開始からまだ日が浅いものであり、成果を挙げるまでに至っていないと判断されたからではないでしょうか。しかし、各社の活動内容は異なるものの「環境問題の解決に努力している」点で高く評価されていることは共通しています。消費者は企業の環境配慮の努力には敏感に反応を示すようです。

調査概要

全国の18〜59歳男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2008年11月19日〜11月20日
質問内容 5社の環境に対する取り組みについてイメージを聞いた。
調査対象 5社の環境に対する取り組み情報(ファミリーマート/サッポロビール/JR東日本/グーグル/日清食品※企業ニュースの内容については前述の表1を参照)に対し、10のイメージ項目(この取り組みに対して興味を持った/この企業に対して興味を持った/環境問題の解決に努力している/環境問題の解決に成果を挙げている/環境に対する取り組みが効果的に伝わる/この企業の製品・サービスに興味を持った/この企業に対して好感を持った/この企業の今後に期待できる/この企業に対する信頼が増した/この取り組みの趣旨に共感できる)の中から複数回答式で回答を得た。
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