ブランド戦略通信 │トライベック・ブランド戦略研究所

ブランドなんでもランキング

第21回:企業のタグラインのイメージ調査

企業のロゴマークに隣接して書かれている言葉のことを、「タグライン」といいます。その企業のコンセプトや理念、メッセージをキャッチフレーズやスローガンとしてコンパクトに表現するのが一般的です。つまり消費者などに対し、自社の思いを“一言”で表したものがタグラインなのです。テレビCMなどの最後のシーンでも挿入されるケースが多く、皆さんにとってもお馴染みの存在ですよね。

さて、そのタグラインの「思い」は、果たしてどのように消費者に伝わっているでしょうか。今回のなんでもランキングでは、代表的なタグラインを対象に、そのイメージをインターネットユーザーに聞いてみました。

今回調査対象としたタグラインは以下の通りです。

  • あしたのもと AJINOMOTO(味の素)
  • ideas for life(Panasonic)
  • すべてはお客さまの「うまい!」のために。(アサヒビール)
  • 自然と健康を科学する(ツムラ)
  • The Power of Dreams(ホンダ)

イメージ項目は、「個性的である」、「インパクトがある」、「分かりやすい」、「覚えやすい」、「センスがよい」、「語感がよい」、「企業の姿勢が伝わる」、「企業のイメージに合っている」、「好感が持てる」の9項目に、「イメージがわかない/当てはまるものはない」を加えました。そのうち、それぞれのタグラインについて当てはまるものを、複数回答で挙げてもらいました。各タグラインのイメージ分布は以下のとおりです。(図1)

【図1】各タグラインに対するイメージ項目(要素)

【図1】各タグラインに対するイメージ項目(要素)

今回は調査結果をもとに、因子分析を実施し、ランキングしてみました。因子分析で抽出された3つの因子のうち、第1因子を「分かりやすい/覚えやすい/語感がよい」などの【認知性の要素】、第2因子を「企業の姿勢が伝わる/企業のイメージに合っている/好感が持てる」などの【共感性の要素】、第3因子を「個性的である/インパクトがある/センスがよい」などの【新鮮味の要素】とし、それぞれのタグラインの因子得点を見てみました。

認知性では「あしたのもと AJINOMOTO」がダントツ!

まずは、【認知性ランキング】です。認知性の要素において、因子得点が最も高かったタグラインが「あしたのもと AJINOMOTO」。半数以上が「覚えやすい」と回答しているのが大きな特徴です。そのほかに「語感がよい」、「分かりやすい」という項目も約30%と比較的高い割合を示しています(表1)。「あしたのもと」というイメージしやすい平易な言葉を、平仮名で使っていることが分かりやすさに繋がり、言葉遊びによるフレーズと会社名の近似性が語感のよさの要因となっているようです。そしてそれらの相乗効果によって、全体的に「覚えやすい」キャッチフレーズになっており、極めて認知性に優れたタグラインであることがわかります。

順位 キャッチフレーズ 因子得点
1 あしたのもと AJINOMOTO 0.678
2 すべては、お客さまの「うまい」のために。 0.207
3 自然と健康を科学する -0.127
4 The Power of Dreams -0.276
5 ideas for life -0.482
【表1】認知性ランキング

共感性は「すべては、お客さまの『うまい!』のために。」がトップに

一方で、「企業の姿勢が伝わる」、「企業のイメージに合っている」、「好感が持てる」を要素とした【共感性ランキング】では、「すべては、お客さまの『うまい!』のために。」が1位になっています(表2)。

このタグラインは、「企業の姿勢が伝わる」と「好感が持てる」が各38%、31%と高いのが特徴(図1)。一目で企業の熱い「思い」が伝わり、さらに「お客さま」という言葉を使うことで、「自分たちのことを思ってくれている」というイメージを醸成し、それが、「好感」につながっているといえそうです。結果として、共感性が非常に高いタグラインとなりました。また2位の「自然と健康を科学する」は、「企業の姿勢が伝わる」、「企業のイメージに合っている」が高く、これが上位にランクインする要因となっています。

順位 キャッチフレーズ 因子得点
1 すべては、お客さまの「うまい」のために。 0.461
2 自然と健康を科学する 0.288
3 The Power of Dreams -0.013
4 あしたのもと AJINOMOTO -0.262
5 ideas for life -0.473
【表2】共感性ランキング

新鮮味ではホンダの「The Power of Dreams」が1位

さらに、【新鮮味ランキング】も算出してみました。要素は、「個性的である」、「インパクトがある」、「センスが良い」です(表3)。1位は「The Power of Dreams」、2位は「ideas for life」と上位はいずれも英語表記となりました。その中で、ホンダの「The Power of Dreams」は、「センスがよい」(17%)、「語感がよい」(23%)が高く、その反面「イメージがわかない/当てはまるものはない」も30%と多い。これは、Panasonicの「ideas for life」と同じような結果となっており、英語表記のメリット・デメリットを物語っています。ただし、「ideas for life」と比べて、「企業の姿勢が伝わる」(21%)、「企業のイメージに合っている」(23%)、「好感が持てる」(17%)が高いことも注目点です(図1)。これは、「Power」や「Dreams」など、力強く魅力的な言葉を使っていること、頭文字を大文字にすることで、その言葉の力をアップさせていることなどが要因として推測できます。英語表記も、工夫次第でプラス面を増やせることがこの結果から読み取れます。

いずれも、得手・不得手の部分があるようです。例えば、「あしたのもと AJINOMOTO」は認知性ランキングではダントツのトップですが、共感性ランキングでは4位とふるいません。「すべては、お客さまの『うまい!』のために。」は共感性ランキングでは1位ですが、新鮮味ランキングでは、最下位となっています。

タグラインのクリエイティブでは、ケースバイケースですが、各因子及び要素(項目)をバランスよく考慮し取り組むことも、1つの手ではないかと考えられます。

順位 キャッチフレーズ 因子得点
1 The Power of Dreams 0.253
2 ideas for life 0.193
3 あしたのもと AJINOMOTO -0.025
4 自然と健康を科学する -0.099
5 すべては、お客さまの「うまい」のために。 -0.322
【表3】新鮮味ランキング

調査概要

サンプル数 100
調査期間 2008年7月9日〜7月10日
調査内容 5社のタグラインについてイメージを聞いた。
調査対象 5つのタグライン(あしたのもと AJINOMOTO/すべては、お客さまの「うまい」のために。/自然と健康を科学する/The Power of Dreams/ideas for life)に対し、10のイメージ項目(個性的である/インパクトがある/分かりやすい/覚えやすい/センスがよい/語感がよい/企業の姿勢が伝わる/企業のイメージに合っている/好感が持てる/イメージがわかない・当てはまるものはない)の中から複数回答式で回答を得た。
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