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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

ブランドなんでもランキング

第20回:宅配便業者に関するイメージ調査

好 感 度 利 便 性
親しみ 0.359 0.109
信頼 0.733 0.057
丁寧 0.483 0.224
時間が正確 0.446 0.351
迅速 0.349 0.429
安価 0.080 0.258
サービス 0.245 0.436
ビジネス 0.007 0.297
問合せ 0.204 0.446

クロネコ、カンガルー、ペリカン。宅配便業者では、こうした動物のキャラクターや、分かりやすい愛称を使っているケースが多いようです。では、その効果はどのくらいあるのでしょう?今回のなんでもランキングでは宅配業者のキャラクターや愛称が消費者イメージにもたらす効果について調べてみました。

宅配業者5企業と、その5企業のサービス名についてのイメージ9項目(「親しみやすい」「信頼できる」「取り扱いが丁寧だ」「時間に性格だ」「配送が迅速だ」「料金が安い」「サービスが充実」「ビジネス向け」「問合せへの対応が良い」)で因子分析を行ったところ、2つの因子、「好感度」「利便性」が抽出されました。

※右表中の数値は因子分析から抽出された2因子における各項目の因子負荷量

下記の図は横軸に「好感度」、縦軸に「利便性」を取り、各企業・サービス名の因子得点をプロットしたものです。

【図1】宅配業者5企業プロット

【図1】宅配業者5企業プロット図

親しみやすさ、ナンバーワンの「クロネコ」

項目 ヤマト運輸 クロネコ
好感度 親しみ 56 60
信頼 53 59
丁寧 24 28
時間が正確 28 34
利便性 迅速 21 39
安価 8 19
サービス 23 25
ビジネス 9 9
問合せ 18 13

まず、利便性、好感度ともに最も高いのがクロネコです。会社名はヤマト運輸で、宅配業者の老舗中の老舗、業界シェアもトップです。「クロネコ」は「ヤマト運輸」よりも利便性、好感度ともに高くなっています。「クロネコヤマトの宅急便」はCMでもおなじみで、国民的ブランドになっていますよね。ちなみに、「宅配便」は一般名称ですが、「宅急便」は商品名。これも混同されやすく、いかに「クロネコヤマトの宅急便」が浸透しているかが分かります。ちなみに商品ブランドである「クロネコ」と企業名である「ヤマト運輸」でイメージに一番差が出たのは、「配送が迅速」で、クロネコ39ポイントに対し、ヤマト運輸は21ポイントでした。ネコがシンボルマークなので、素早く運んでくれそうな印象を受けるのでしょうか。また、ほかの項目でもほとんどがヤマト運輸よりクロネコの値が高くなっており、クロネコ効果は絶大のようです。

※単位:%

なじみやすい「ゆうぱっく」

項目 日本郵政 ゆうぱっく
好感度 親しみ 34 33
信頼 38 40
丁寧 13 22
時間が正確 10 18
利便性 迅速 8 16
安価 16 30
サービス 13 6
ビジネス 6 5
問合せ 5 6

クロネコと同じく、サービス名がイメージに貢献しているといえるのは、日本郵政の「ゆうパック」です。ヤマト運輸の「クロネコ」と同様、愛称が好感度、利便性ともに高くなっています。その中で最も差が出た項目は「料金が安い」で、日本郵政16ポイント、ゆうパック30ポイントとなりました。「ひらがな」「かたかな」表記の愛称が手ごろ感を感じさせるのでしょうか。宅配業のようなサービスの名称に関して「ひらがな」「かたかな」表記は、「日本郵政」のようないかにも硬い漢字表記よりもプラスになるのかもしれませんね。

※単位:%

親しみやすさはあるものの、利便性が勝る「ペリカン」

項目 日本通運 ペリカン便
好感度 親しみ 19 36
信頼 30 26
丁寧 22 16
時間が正確 4 10
利便性 迅速 6 10
安価 2 7
サービス 4 7
ビジネス 10 3
問合せ 1 6

さて次は、日本通運/ペリカン便です。「日通のペリカン便」でお馴染みですが、今回の調査では「日本通運」と「ペリカン便」では、「ペリカン便」のほうが、特に利便性に関するイメージがアップしているという結果になりました。とはいうものの、値を見ていくと、「親しみやすい」は日本通運19ポイントに対し、ペリカン便36ポイントと「ペリカン便」という名称が消費者に親しみを与えていることは間違いありません。が。今後の動きに期待したいところですが、この秋、ペリカン便はゆうパックと事業統合をしてしまいます。約30年の歴史に幕を閉じてしまうのは残念ですね。

※単位:%

利便性に優れる「飛脚」

項目 佐川急便 飛  脚
好感度 親しみ 22 16
信頼 26 13
丁寧 16 5
時間が正確 13 18
利便性 迅速 30 33
安価 12 13
サービス 11 6
ビジネス 18 12
問合せ 6 7

佐川急便と飛脚は、ともに利便性が高いというイメージを持たれていることが特徴的と言えます。逆に好感度はやや低くなりました。各イメージ項目を見ると、ほとんどの項目において佐川急便という企業名が「飛脚」よりも高くなっています。特に両者に差が出たのは、「信頼できる」で佐川急便26ポイント、飛脚13ポイントでした。利便性については佐川急便・飛脚ともに同程度ですが、好感度については佐川急便の方が高く、残念ながら「飛脚」という愛称は、好感度にはあまり貢献できていないようです。

※単位:%

利便性、好感度もいまひとつの西濃運輸/「カンガルー便」

項目 西濃運輸 カンガルー便
好感度 親しみ 9 13
信頼 15 9
丁寧 7 5
時間が正確 2 4
利便性 迅速 6 6
安価 3 4
サービス 5 3
ビジネス 9 6
問合せ 3 4

残念な結果になったのが西濃運輸/カンガルー便です。ほとんどの値が1ケタとそろって低くなってしまいました。両者に差が出たのは「信頼できる」で西濃運輸15ポイント、カンガルー便9ポイントですが、認知度があまり高くないせいか、好感度、利便性ともに低く、せっかくの動物キャラクターもブランド構築にはプラスになっていないようです。

今回の調査対象を見ても分かるように、愛称やキャラクターも「物を運ぶ」や「早い」ことを連想させる動物・人物を用いるなど、各社ともに工夫を凝らしています。そして、その効果も基本的にはプラスということがわかりました。しかし、ただ愛称をつけたりキャラクターを作るだけでなく、顧客に対し、「認知」させ、イメージを作っていくためのコミュニケーションが大切なようです。

※単位:%

調査概要と結果

全国の10代〜50代のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2008年6月11日〜6月12日
調査内容 宅配業者5社と各社のサービス名についてイメージを聞いた。

  • 調査対象:宅配業者5社(ヤマト運輸/佐川急便/日本通運/日本郵政/西濃運輸)各社のサービス名(クロネコ/飛脚/ペリカン/ゆうパック/カンガルー)
  • イメージ項目:親しみやすい/信頼できる/取り扱いが丁寧だ/時間が正確だ/配送が迅速だ/料金が安い/サービスが充実している/ビジネスに適している/問い合わせへの対応がよい/

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