資生堂の「TSUBAKI」が、大きな話題になった昨年に引き続き、新製品やリニューアルなど、今年もヘア・ケア業界は賑やかですね。
「なんでもランキング」第11回はそんなヘア・ケア市場にフィーチャーしました。
今回は「TSUBAKI」「セグレタ」「ICHIKAMI」「LUX」「Dove」と、5つのブランドについて消費者アンケートを実施。9つのイメージ項目から各ブランドに当てはまる項目を選択してもらい、その結果をコレスポンデンス分析で3つのグループに分類しました(下記参照)。3つのグループをそれぞれ“セレブ部門”“ジャパン・ビューティー部門”“ナチュラル部門”と名付け、各グループの該当項目におけるパーセンテージの累計により5つのブランド間でランキングを行っています。
グループ分けの方法については後述の調査概要をご参照下さい。
セレブリティ度は「TSUBAKI」
【表1】
「センスがいい」「高級な」というイメージのポイントを合わせた、“セレブ部門”のトップは66ポイントの資生堂の「TSUBAKI」。シャンプーには珍しく朱色で、女性らしい曲線ラインのボトルデザインが、高級感を醸しだし、店頭でも他の商品を圧倒しています。また、550mlが700円前後であることが多く、量販店で売られる商品にしては若干高めの価格であることも、この結果の要因かもしれません。
次いで2位は48ポイントで「LUX」。古くはブルック・シールズ、最近ではレイチェル・ワイズなどハリウッド女優を贅沢に起用したCMは、その歴史も長く、「LUX」というブランドイメージの浸透に大きく貢献してきたと言えそうです。そして3位は2位と接戦の「セグレタ」47ポイント。40歳女性をターゲットに搾り、「ときめく、秘密めく、大人の艶」と謳い、「高級品」として発売した効果があったというものでしょう。
“ジャパン・ビューティー”は「TSUBAKI」と「ICHIKAMI」
【表2】
「個性的な」「目新しい」「日本人の髪質に合う」というイメージの“ジャパン・ビューティー部門”では、「TSUBAKI」が1位で72ポイント、「ICHIKAMI」が63ポイントで2位と、この2ブランドの圧勝となりました。「TSUBAKI」は、エンドユーザーのいちばんの接点といえるCMでも、盛んに「日本の女性は美しい」と宣伝し、オンタイムで活躍している女性や女優たちを起用していました。「ICHIKAMI」も発売当初は深津絵里、リニューアル後は石原さとみと、リアル感のある日本人の女性を起用しています。
“セレブ部門”とは違い、「美しいリアルな日本人女性」を訴求し続けたのが効果を発揮したのでしょう。そして3位は「ダヴ」で33ポイント。外国産ブランドがここまで親近感を得たのは、ボディソープアイテムのCMに一般消費者を登場させ、リアルなコメントを流していたからかもしれません。
“ナチュラル”では「ダヴ」
【表3】
また、「品質が良い」「髪に優しい」「髪を艶やかにする」「痛んだ髪を補修する」という、機能面のイメージを聞いた“ナチュラル部門”では、「ダヴ」が127ポイントでトップ。ボディソープではありますが、「本当にしっとりしたんです」「肌に優しくて」と繰り返しアピールしてきた「ダヴ」のイメージ戦略が効いたのでしょうか。
そして、「補修機能」でトップを快走した「LUX」が116ポイントの2位になりました。特に、「痛んだ髪を補修する」というイメージでは37ポイントと他ブランドを圧倒。ひところ、CMで繰り返し流された「翌朝までに補修」というフレーズが今も消費者の心に残っているものと考えられます。そして、3位は「TSUBAKI」。さかんに椿油を配合と宣伝し、商品名と連動していたのが、消費者にも認知されやすかったのかもしれません。
今回の調査では、これまでにない宣伝費を投入した「TSUBAKI」の躍進が目に付く結果となりました。日常何気なく使っているヘア・ケア製品。今回は主に女性向けのものを取り上げましたが、女性にとってはスキンケア用品と同様、夢を膨らませるアイテムの一つです。「LUX」や「TSUBAKI」のように、「誰が」「どういう髪になりたくて」使う商品なのか、を具体的なイメージを持たせて繰り返し伝えることが大切なのではないでしょうか。
調査概要と結果
全国のインターネットユーザー(25歳〜35歳女性)から回答を得た
サンプル数 | 100 |
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調査期間 | 2007年9月28日(金)〜2007年9月29日(土) |
調査対象 | セグレタ、TSUBAKI、ICHIKAMI、LUX、Dove |
調査項目 (イメージ) |
センスが良い/スタイリッシュな、高級な、個性的な、目新しい、品質が良い、髪に優しい/髪への刺激が少ない、髪をつややかにする、傷んだ髪を補修できる、日本人の髪質に合っている |
イメージの分類と ランキング方法 |
各社ごとのイメージをコレスポンデンス分析により3グループに分類。グループに適した名前をつけ、イメージ(%)を合計して高いほうから順位を付けた。イメージのグルーピングは以下のようになった。距離が近いほどイメージが似通っていることを意味する。 |