企業情報ユーザーのステークホルダー属性
企業情報のコンテンツを考えるとき、ターゲットの設定を決めかねるというケースが少なくないようである。
業界によって割合は均一ではないが、平均的な企業情報サイトユーザーの分布を見ると、「自分自身や家族がその会社の製品を利用したことがある・利用する可能性がある」人が最も多く、58%を占める。次いで「製品・サービスを業務上利用したことがある・利用する可能性がある」人と「投資したことがある・投資に興味がある」人がそれぞれ23%である。ただし、業務での利用者の割合は電機・精密や運輸といったビジネス顧客が多い業界ではもっと高くなる。
逆に、伝統的な企業広報のターゲットである報道関係者、アナリスト、研究者は1%にも満たない。
この他、多様なステークホルダーが企業情報サイトユーザーとなっている(図表1)。
しかし、数の上からは顕在・潜在の顧客が最も重要なターゲットとして意識せざるを得ないと考えられる。
【図1】回答者と業界との関係
CCサイト指数の業種別分布状況
252サイトのCCサイト指数(6コンテンツの平均スコア)を一枚のグラフで表現した(図表2)。
いずれの企業も比較的上方に集まっているのが窯業・金属製品・ゴム製品業界である。具体的にはTOTO、ブリヂストン、旭硝子、INAXなどが該当する。
トップクラスの企業から下位企業まで幅広く分布しているのは食品・水産業界と機械・輸送用機器業界である。ランキングの上位に食品メーカーと自動車メーカーが多数並んでいるためどの会社も評価が高いように思われやすいが、実は企業の取り組みによって差がついている。
激戦区は電機・精密業界である。松下電器だけがやや離れて業界トップにあるが、それ以外はグラフで作図すると点が重なり合って判読するのが困難なほど上下の差が非常に詰まっている。
【図2】CCサイト指数 業種別分布状況
閲覧前後の企業信頼度の変化
【図3】閲覧前後の企業信頼度(252サイト平均)
企業情報サイトを閲覧する前後で、その企業に対する信頼度がどれだけ変化したかを測定した。
結果は閲覧前の企業信頼度スコア60.9に対し、閲覧後の企業信頼度スコア72.1となり、プラス11.1ポイントの効果が認められた。
一般に効果が大きかったのは閲覧前の企業信頼度が非常に低い企業と、認知度が低いBtoB企業である。
一方、閲覧前に企業信頼度が高い企業では、一回の閲覧で顕著に企業信頼度が上がることはあまりない。しかし、顧客が何かの折に企業情報を参照する可能性は常にある。ユーザーの期待値に応えるようなコンテンツ作りを常に心がけることが重要である。
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