企業情報サイトの企業ブランドへの効果について解説します。
ブランド効果測定
企業情報サイトには、企業に対する好感度やロイヤルティを高める効果があることが分かった。
ここで用いた手法は「ブランド効果測定」という手法で、ある企業の企業情報サイトを回答者の約半数が見てから、その企業に関する設問に答え、残りの半数は見ないで答えるようにし、その両者の結果の差から企業情報サイトの効果を測定するものである。(下図参照)
【図1】
企業好感度への効果
「あなたは、以下の企業に対して好感を持っていますか」という設問において、「とても好感を持っている」と答えた人を100点、「少し好感を持っている」と答えた人を50点、「どちらともいえない」と答えた人を0点、「あまり好感を持っていない」と答えた人を-50点、「まったく好感を持っていない」と答えた人を-100点として加重平均を算出した。
企業情報サイトによる企業好感度への効果を、252社の平均で示したのが下のグラフである。企業情報サイトを見ていない人の好感度スコアは17.0ポイントであったのに対し、企業情報サイトを見た人では20.6ポイントと、252社平均では3.6ポイントも好感度を高める効果が見られた。このように、企業情報サイトには企業の好感度を高める効果があることがわかる。
【図2】企業好感度スコア(252社平均)
ロイヤルティへの効果
「あなたは、各社について、今後どのように関わっていきたいですか」という設問において、「個人で製品・サービスを購入したい」「仕事で取引したい」「株や債券に投資をしたい」「就職・転職をしたい」の項目からあてはまるものを複数選んでもらった。この4項目の%の合計を「ロイヤルティ合計」として、企業に対するロイヤルティを測る指標とした。
企業情報サイトによるロイヤルティへの効果を示したのが下のグラフである。
企業情報サイトを見ていない人のロイヤルティ合計は47.5%であったのに対し、企業情報サイトを見た人では49.6%と、252社平均では2.1ポイントのロイヤルティを高める効果が見られた。
【図3】ロイヤルティ合計(252社平均)
企業好感度ランキング
下の表は企業情報サイトを見た人(閲覧者)の企業好感度スコアのランキングである。表中で「効果」の項目は、企業情報サイトを見た人(閲覧者)の企業好感度スコアと、見ていない人(非閲覧者)の企業好感度スコアの差で、企業情報サイトの企業好感度に対する効果を示している。
閲覧者の企業好感度は、企業情報サイト指数と同じくキリンビールが53.8でトップとなった。同社の非閲覧者の企業好感度は41.1となっており、企業情報サイトは企業好感度を12.7ポイント引き上げる効果があったと言える。
閲覧者の企業好感度2位は、企業情報サイト指数と同じくサントリーで51.0、効果は12.2ポイントだった。続いて、モスフードサービスが50.8、キユーピーが50.7となっている。
非閲覧者の企業好感度1位となった伊藤園やモスフードサービス(2位)、任天堂(3位)など企業情報サイトを見る前から企業好感度の高い企業の場合は、企業情報サイトの企業好感度に対する効果は小さいか、マイナスとなっている。
【表1】企業好感度ランキング
ロイヤルティ合計ランキング
企業情報サイトが、企業に対するロイヤルティを高めるのにどのくらい貢献しているかを見るため、その企業の企業情報サイトを実際に見た人(閲覧者)のロイヤルティ合計と、見ていない人(非閲覧者)のロイヤルティ合計を算出した。
下の表は企業情報サイト閲覧者のロイヤルティ合計のランキングである。表中で「効果」の項目は、企業情報サイトの閲覧者のロイヤルティ合計と、非閲覧者のロイヤルティ合計の差で、企業情報サイトのロイヤルティに対する効果を示している。
閲覧者のロイヤルティ合計は、キリンビールが98.3でトップとなった。同社の非閲覧者のロイヤルティ合計は89.7となっており、企業情報サイトはロイヤルティを8.7ポイント引き上げる効果があったと言える。
閲覧者のロイヤルティ合計2位は松下電器産業で97.3、効果は15.7ポイントだった。続いて、アサヒビールが95.3、セブン-イレブン・ジャパンが95.0となっている。
企業好感度と同じく、非閲覧者のロイヤルティ1位のキユーピーや、2位のキリンビールなど、企業情報サイトを見る前からロイヤルティの高い企業の場合は、企業情報サイトのロイヤルティに対する効果は小さくなっている。