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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

ブランドなんでもランキング

第104回:お米に関するイメージ調査

「令和の米騒動」とも呼ばれた2024年夏の全国的な米不足。猛暑など自然災害による影響、また買い占めの発生などもありお米が一気に店頭から消えました。10月初旬現在、徐々に供給が戻りつつありますが、今回の騒動を不安に感じた方も多いのではないでしょうか。
今回のなんでもランキングでは30~60代の女性を対象に「お米に対する意識」を尋ねてみました。また、今回のコラムでは、当研究所が2017年8月に行った同様の調査結果と比べ、どのような変化があったかをお伝えします。

購入する際に気にすること

まずは「購入の際に気にすること」について尋ねた結果です(【図1】)。

前回調査と同様「価格」が全体の3分の2を占め、最も高い数値でした。
2017年との比較で見ると、「産地」や「生産者」などが増加傾向にあります。食の安全・安心が重視される昨今、トレーサビリティを気にする人が増えているのかもしれません。
また、「新米」の割合も増加しています。「令和の米騒動」があり、今年は例年よりも新米を待ち遠しく思う人が多かったのではないでしょうか。

購入の際に気にするポイントを年代別に見ると、「30代」の数値が全般的に低くなりました(【図2】)。この年代は「購入しない/あてはまるものはない」と回答した人の割合も他の世代と比べ高く、若年層のお米離れが示唆される結果といえるかもしれません。

お米や炊き方の好み

次にお米そのものや炊き方の好みについても見てみましょう(【図3】)。
お米の食べ方の好みは前回同様「白米」と答えた人が77.6%と最多でした。ただしこの数値は、2017年の調査結果に比べやや減少しており、一方で「雑穀と混ぜて炊く」、「玄米」、「分づき米」と答えた人がそれぞれ増加傾向にあります。『健康』、『美容』への意識が高まる中、主食であるお米の食べ方の多様化が進んでいる可能性があります。

年代別では「30代」は他の年代に比べ「白米」の割合が低く、「玄米」や「栄養機能食品を添加して炊く」が高い傾向でした。健康・美容への志向が強い年代であると言えるかもしれません(【図4】)。

食べたい品種(ブランド)

次に「食べたいお米のブランド」を見てみましょう。【図5】は食べたいお米ブランドを尋ね、上位に来た10ブランドを前回調査と比べた結果です。

主食用ごはんとして作られている水稲うるち米は約300品種。今回もその中の35品種の中から食べたい品種(ブランド)について尋ねてみると、「コシヒカリ」が50.3%と前回同様およそ半数と、最も高くなりました。
次いで数値が高かったのは、今年40周年を迎えるすっきりとした後味が人気の「あきたこまち」で、前回より10ポイント近く高い支持を集めました。その他、今回選択肢として新たに追加した「新之助」が9位にランクインしましたが、上位10品種に大きな変動はありませんでした。

選びたい産地

購入する際に選びたい産地についても尋ねました(【図6】)。

最も数値が高かったのは新潟県で、38.5%と前回を上回る支持を集めました。
2017年と比べると北海道が大きく減少しましたが、逆に大きく数値を伸ばした産地はありませんでした。

一方で上位10産地を除く合計値が前回を20ポイント以上下回りました。1人の回答者が選択した産地の数も減少しており、「産地を特定して購入」する人が増加したことが予想されます。「お米を購入する際に気にすること(【図1】)」で「産地」の数値が前回より上昇したのは前述のとおりですが、消費者の中で「産地」へのこだわりが以前よりも強まっているといえるかもしれません。

普段の購入金額

普段購入しているお米の5kg当たりの金額を聞いてみました(【図7】)。

前回もっとも多かった1,500円以上2,000円未満の価格帯が大きく減少し、「2,000円以上2,500円未満」が最も多くなりました。さらに「2,500円以上3,000円未満」、「3,000円以上」での購入割合がそれぞれ10ポイントほど高くなり、お米の価格の上昇がうかがえる結果となりました。総務省が毎月発表する小売物価統計調査を元に作成される消費者物価指数の月次データを見てみると、2017年8月と最新の2024年8月とでは「うるち米B」(コシヒカリを除く)でおよそ30%上昇しています。ほぼ同期間(正確には2023年と2017年)の賃金の推移(厚生労働省の賃金構造基本統計調査より)を見ると、一般労働者の賃金は5%程度の上昇です。毎日食べるお米、主食の価格変化が家計に与える影響は少なくなさそうです。

年代別に見てみると、60代では「購入しない/あてはまるものはない」の数値が低く、かつ「2,500円以上3,000円未満」「3,000円以上」といった高価格帯が他の年代よりも多くなっています。一方、30代では「購入しない/あてはまるものはない」が約3割を占めました。

最後にお米にまつわる体験や感じていることを尋ねた結果を見てみましょう。
今回調査では「価格高騰」「品薄」といった意見が多く見られました。

また、好みが多様化する中、品種や食べ方についても様々な声が聞かれました。

今回の価格高騰や品薄の状況を経験し、お米の大切さや農家へ寄せる想いについて、また改めてお米が与えてくれる幸福感に気付いたという声も寄せられていました。

お米の価格の高騰は2023年から始まり、著しく高騰し出したのはここ数か月のことです。さらに店頭からお米が消えるといった一大事もあり、当たり前にあることへの感謝、将来について考えるきっかけとした人も少なくなかったようです。

ふるさと納税の利用規模拡大、コロナ禍を経たインターネット通販利用の一般化など前回調査よりこの7年で全国各地の様々な品種のお米にアクセスしやすくなりました。健康志向の高まりや好みの多様化など選ぶお米へのこだわりも様々であることがわかりました。多くの人が毎日食べるものであるからこそ、年代による消費状況や嗜好、想いについても垣間見ることができました。世情や気候変動など様々な要因によって、今後人々のお米へのイメージがどのように変化していくのか、定期的に見ていくことも必要かもしれません。

*食べたい品種(ブランド)、選びたい産地の結果詳細は下記の通り。

調査概要

全国30歳~69歳(女性)のインターネットユーザーから回答を得た。

サンプル数 330
調査期間 2024年9月13日~9月14日
調査方法・内容 お米に関するイメージについて(1. 購入する際に気にすることについて(「品種(ブランド)」/「産地」/「価格」/「精米日」/「栽培方法」/「新米」/「無洗米」/「生産者」/「購入しない/あてはまるものはない」)、2.お米や炊き方の好みについて(「白米」/「分づき米」/「玄米」/「雑穀と混ぜて炊く」/「栄養機能食品を添加して炊く」/「固めに炊く」/「軟らかめに炊く」/「さっぱりした食感」/「もちもちとした食感・粘り」/「電気炊飯器で炊く」/「土鍋や鍋で炊く」/「あてはまるものはない」)、3. 食べたい品種(ブランド)について(「あいちのかおり」/「あきさかり」/「あきたこまち」/「いちほまれ」/「キヌヒカリ」/「きぬむすめ」/「きらら397」/「銀河のしずく」/「こしいぶき」/「コシヒカリ」/「さがびより」/「ササニシキ 」/「新之助 」/「晴天の霹靂」/「つがるロマン」/「つぶぞろい 」/「つや姫 」/「てんたかく」/「とちぎの春 」/「なすひかり」/「ななつぼし」/「にこまる」/「はえぬき」/「ハツシモ」/「ひとめぼれ 」/「ヒノヒカリ」/「ふさおとめ」/「ふさこがね」/「ふっくりんこ」/「まっしぐら」/「ミルキークイーン」/「 森のくまさん 」/「雪若丸 」/「ゆめぴりか」/「夢つくし」/「その他/あてはまるものはない」)、4. 購入する際に選びたい産地について(「47各都道府県」/「その他/あてはまるものはない」、5. 普段購入しているお米(5kg当たり)の金額について(「1,500円未満」/「1,500円以上2,000円未満」/「2,000円以上2,500円未満」/「3,000円以上」/「購入しない/あてはまるものはない」)より複数回答にて、6. お米にまつわる体験や感じていることなどについて自由回答にて、回答を得た。
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