「新しい生活様式」が提唱されてから3ヶ月が経ち、コロナ前とは異なる生活が日常に浸透しているのではないでしょうか。外出を避け自宅内の設備を充実させたり、日常的な買い物もオンラインを活用したりするようになった方も多くなっています。
今回は日用品や家電を取り扱う10社の公式スマートフォンECサイトに関して、ユーザビリティ(使い勝手や安全性など)を評価しました。
●「巣ごもり需要」に応える「ECサイト」のポイント
日用品や家電を取り扱うECサイトにおいては商品数が多くなる傾向が強く、消費者もその時々に応じて異なる目的を持って来訪することが想定されます。
そのような大規模サイトでは、小~中規模サイトと比べてトップページにおける誘導がより重要になります。トップページにおいて、①値引き、キャンペーン等のタイムリーな情報を発信すること、②ランキング・レコメンド等により商品への興味を喚起すること、③膨大な商品をわかりやすく整理することの3点に取り組み、スムーズに誘導を行うことがポイントになります。
調査結果の概要
順位 | サイト名 | 総合スコア | A軸 | B軸 | C軸 | D軸 | E軸 | F軸 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | ビックカメラ | 78.34 | 73.5 | 86.7 | 84.0 | 83.0 | 58.1 | 88.0 |
2位 | 楽天市場 | 65.26 | 63.0 | 54.9 | 62.4 | 71.2 | 68.0 | 68.5 |
3位 | Amazon | 64.09 | 62.0 | 74.1 | 64.0 | 59.2 | 61.4 | 68.9 |
4位 | ヤマダ電機 | 63.63 | 55.2 | 72.7 | 58.0 | 73.4 | 50.4 | 71.5 |
5位 | 楽天西友ネットスーパー | 59.83 | 30.8 | 68.7 | 54.4 | 54.7 | 63.6 | 91.6 |
6位 | ヤフーショッピング | 54.15 | 52.7 | 43.6 | 56.6 | 53.4 | 58.3 | 59.9 |
7位 | ライフネットスーパー | 51.84 | 45.9 | 50.1 | 59.6 | 31.2 | 56.3 | 87.6 |
8位 | ヨドバシカメラ | 50.56 | 55.6 | 29.7 | 55.0 | 53.1 | 53.5 | 55.9 |
9位 | イトーヨーカドーネットスーパー | 50.24 | 16.9 | 37.9 | 50.7 | 52.3 | 53.4 | 89.7 |
10位 | イオンネットスーパー | 41.29 | 20.4 | 40.3 | 36.7 | 25.5 | 52.4 | 90.2 |
※A軸:アクセス性、B軸:サイト全体の明快性、C軸:サイト内移動の快適性、D軸:商品サービスの効果的な訴求、E軸:スムーズな購入プロセス、F軸:ヘルプ/安全性
※総合スコアは5軸に傾斜配分をかけて割り出したものであり、5軸の単純平均ではありません(満点=100点)
※Webサイトへのリンクは調査当時のものです(現在は内容が異なっている場合もあります)
ランキング1位は「ビックカメラ」となり、総合得点は78.34点とサイト全体におけるユーザビリティが高く評価されました。
「B.トップページの明快性」の評価軸においても他サイトに10点以上の差をつけ、高い評価となりました。
ランキング2位は「楽天市場」、3位は「Amazon」という結果になりました。
膨大な商品を取り扱う大型ECモールの2サイトでは、検索のわかりやすさが高く評価されました。
日用品は全体的に低評価となりましたが、ランキング5位の「楽天西友ネットスーパー」は「F. ヘルプ・安全性」の評価軸では1位となり、ユーザーに不安を抱かせず、スムーズに購入できるサイトである点は高い評価となりました。
日用品・家電業界 サイトの傾向と課題
1.値引き、キャンペーン等のタイムリーな情報を発信すること
ランキング上位のサイトでは、トップページの目立つ場所にタイムセールや時期に則したキャンペーンの情報を魅力的に掲載しているサイトが多く見られました。
日用品や家電を取り扱うECサイトにおいては、明確に目的となる商品を想定して来訪するユーザーだけではなく、ウィンドウショッピングのような感覚で明確な目的を持たず来訪するユーザーも多くいることが想定されます。そのようなユーザーに対してタイムリーな情報を発信することは、購買を促すうえで非常に効果的です。
2.ランキング・レコメンド等により商品への興味を喚起すること
商品数が多いECサイトにおいては、ユーザーは商品を選ぶ基準に迷いやすいです。
そのようなユーザーに対しては、ランキング・レコメンド等の手段により選択肢を提示することは非常に有効なコミュニケーション手段の一つです。
例えば、ランキング1位の「ビックカメラ」のサイトでは、閲覧履歴に応じた商品のおすすめや商品カテゴリごとのランキングをトップページに掲載し、ユーザーが商品を選びやすい工夫をしています。
ユーザーが主体的に探さずともニーズを満たす商品に到達できるようにすることで、快適な購買体験を提供することができます。
3.膨大な商品をわかりやすく提示すること
目的の商品を明確に持って来訪するユーザーに対してスムーズな購買体験を提供するためには、わかりやすく商品カテゴリを選択できることが重要です。そのためにはアイコンや画像を添えてカテゴリの一覧を掲載すること、絞り込み・ソート機能を充実させることが求められます。
ランキング1位の「ビックカメラ」では初回利用者でもわかりやすく、トップページに画像付きのカテゴリリストを掲載している点が評価されました。ランキング2位の「楽天市場」、ランキング3位の「Amazon」ではわかりやすい並び替え・絞り込み機能を設け、カテゴリ別一覧ページから目的の商品に到達しやすい点が評価されました。
定期的に決まった商品を購入するような固定ユーザーに対してスムーズな購買体験を提供することにより、継続的な固定顧客を獲得することができます。
調査概要
調査方法 | ユーザビリティアナリストが、3人1組のチームによって評価対象のWebサイトを100点満点で評価。評価・分析にあたっては、ユーザビリティアナリスト個人の主観的な判断、偏見による評価を除くため、3人以上のアナリストによるクロス評価を実施。さらに診断グループごとの評価レベルの維持、是正のためのブリーフィングを定期的に行うことで判定基準の品質を統一化。 |
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調査期間 | 2020年6月下旬~7月上旬 |
調査対象 | 日本国内において日用品・家電の販売を行う10社(「イオンネットスーパー」「イトーヨーカドーネットスーパー」「楽天西友ネットスーパー」「ライフネットスーパー」「ヨドバシカメラ」「ビックカメラ」「ヤマダ電機」「Amazon」「ヤフーショッピング」「楽天市場」)の公式スマートフォンECサイト |
ECサイト診断の詳細はこちらからご覧ください。
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