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第62回:不祥事の責任の所在について

人々が多くの信頼を寄せていた人や企業に信じられないような問題が起こっています。最近、ニュースを賑わしている不祥事問題について人々は責任の所在がどこにあると感じているのか尋ねてみました。

今年10月に同業他社の食品表示に関する問題を鑑み、自主的な社内調査を行なった阪急阪神ホテルズを始め複数のホテルや百貨店において次々とメニュー表示と異なった食材が使用されていたことが明らかになりました。

「コンプライアンスを徹底できていないホテル・百貨店等の経営者」(68%)に責任があると考える人が多い一方で「食材が変わっても客を呼び込むためメニューを変更しなかったホテル・百貨店等の営業部門」(64%)にも回答が集まりました。一連の問題の原因はホテルや百貨店といった華やかで高級感ある演出が求められる業界において、20年にわたるデフレ不況下でコスト削減を迫られる事情があったとも言われています。「行き過ぎたコスト削減を要求しているホテル・百貨店等の経営者」(51%)も半数以上を占めるなど「ただ誤った、忘れた」といった言葉では説明しきれない背景もあるようです。

また「おかしいと思っても管理者に意見を言えない料理人の業界」(48%)とこちらも半数近くの人が責任があると感じています。料理という職人仕事に見えるようなこともコスト削減という組織の事情には従うしかない状況になっているのかもしれません。

阪急阪神ホテルズでは23店舗47商品において「鮮魚」と表示されていたが実際は冷凍した魚、「フレッシュジュース」の表示がパックジュースを使用、「芝エビ」の表示が安価なバナメイ海老を使用するなどメニュー表示と異なった食材が使用されていたことが判っています。また一連の食材偽装のニュースで牛脂注入肉も有名になりました。牛脂やアミノ酸等の調味料、安定剤などを注入することによって硬い赤身肉もサシの入った霜降り肉のようになるそうです。この注入によって小麦、大豆由来の成分が使われることもありアレルギーに関する問題や、内部に菌が侵入するリスクがあるので中までしっかり焼かなければならないなど非加工の生肉では起こらないはずの問題が起こる可能性があることも指摘されています。

阪急阪神ホテルズの問題発覚後、ホテルや百貨店による問題発覚は後を絶ちません。いずれにしても私たち消費者の安心・安全に大きく関わる問題です。一日も早い抜本的な対策が望まれます。

次いで列車脱線や出火など度重なる事故、その後の検査・修繕状況の点検の結果、補修作業がなされていなかったことが判明、また国交省の特別保安監査直前にJR北海道の函館保線管理室(函館市)がレール幅などの計測データを改ざんして報告していたことも明らかになるなどトラブルが続いているJR北海道の問題についてです。

JR北海道本社経営者に責任があると答えた人は81%で本社安全管理部門(57%)や現場安全管理部門責任者(52%)、現場安全管理担当者(48%)を大きく上回る結果となりました。

函館保線管理室のデータ改ざん発覚後も苫小牧や室蘭など少なくとも8箇所でデータの改ざんが明らかになっています。人手不足や技術不足、また労使対立などのその背景には様々な要因があるようですが、これだけ多くのトラブルやデータ改ざんが立て続けに発覚するのは長年の企業体質を改善できなかったことについて、経営者の責任と感じる人が多数を占めています。また、どちらかといえば支社や担当者より本社の方に責任があると思う人が多いようです。加えて労使関係やその背景にある分割民営化、国交省を挙げる人も少なからずいるようです。

続いてフジテレビのバラエティ番組『ほこ×たて2時間スペシャル』の「どんな物でも捕えるスナイパー(米国)VS絶対に捕えられないラジコン(日本)」対決での不適切な演出についてです。

番組は日本製のラジコンヘリ、ラジコンカー、ラジコンボートを操る3人と、アメリカのスゴ腕スナイパー3人による勝ち抜き戦で、最後に登場したラジコンボートがスナイパー3人抜きをするという展開で放送されました。しかし実際には収録とは意図的にルールや時間、対決順を入れ替えていたほか、ラジコンカーも反則で撃ち抜かれていたにも関わらず別のスナイパーと対決したようにして放送されていたことが出演したラジコンメーカー社員の指摘により発覚しました。フジテレビはこれを認め、放送終了を発表しました。

放送発表前に出演したラジコンメーカー社員には制作会社から編集内容について事前に連絡があり、それに対して内容を偽らないように要請していた上での放送だったそうです。

テレビ業界において、制作会社はテレビ局の支持を得るため限られた予算と時間の中で視聴率が稼げる演出に腐心しています。しかし、この番組では過去に大臣が出演するなど日本の中小企業を応援する教養番組としての要素もあっただけに残念なものがあります。

問題の番組を担当した制作会社は他回でも内容を捏造したと伝えられています。実際の収録はフジテレビではなく制作会社の主導で進められたとも報道されており、7割の人がテレビ局と同様に制作会社に責任があると答えています。

続いてはプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの日本一を記念したインターネット上のセールで、楽天が公式に審査をしたセール対象品以外に通常価格を引き上げて大幅に割引しているように見せて販売した店舗があったことが分かった問題です。こうした正式な申請がないまま勝手にセールを行なった店舗はおよそ20に上りました。

最も回答が集まったのは「通常価格を引き上げて値引きしたように見せかけた店舗」(83%)でした。ある店舗では10個入りのシュークリームの通常販売価格を1万2000円に設定し、「楽天日本一セール 77%OFF」とうたい2600円で表示されていました。しかし、産地メーカーのサイト上での10個入りの定価は2625円ということでほとんど安くなっていないことがわかります。

この店舗では優勝セールに合せて複数の商品を同時にアップしようとした際の表示上のミスであると発表しているようですが、ほかに故意に不当な表示を行なった店舗もあったと考えられます。楽天は管理体制に不備があったことを認め、これらの店舗に1カ月のサービス停止処分にしたと発表しました。このような結果を受け「ルールを守らせる仕組みがなかった楽天」と答えた人も61%に上りました。

一方で「最大77%OFF」という大幅な割引に無理があったのではないか、利益を捻出したいという店舗の気持ちもわかるといった声も聞かれます。40%の人が「極端な割引率を設定した楽天」に責任があると考えているようです。

最後は当時テレビ局社員であった次男(31)の窃盗事件を受けてタレントのみのもんたさんがTBSの朝の報道番組「朝ズバッ!」などの出演を自粛、その後の降板したことについてです。

次男は東京都港区内の路上で寝ていた男性のキャッシュカードを使い、現金を引き出そうとしたとして窃盗未遂容疑で逮捕されました。またこのカードが入ったかばんを盗んだとして、窃盗容疑で再逮捕、処分保留で釈放された後、起訴猶予処分となっています。

本人に責任があると答えたのは最も多く85%でした。次男は30歳を過ぎた社会人でもあり、親が責任を取って番組降板をする必要があるのかという声がある一方で、イメージを売り物にしているタレントであり、報道番組という番組の性質上、司会者であるみのもんたさんのコメントに説得力が求められるため仕方ないという考えもあるのかもしれません。また、事件直後の「私のせがれじゃなかったら、こんなに大騒ぎにならなかっただろうな」と開き直りとも取れる発言に好感度も下がってしまったからなのでしょうか、38%の人がみのもんたさんにも責任があると答えています。

いずれにしてもテレビ番組や出演者、テレビ局が関係したことについては一般の人よりはるかに大きな関心を集めると言えそうです。

調査概要

全国20歳以上男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2013年11月20日~11月21日
調査方法・内容 最近あった事件や不祥事に関するニュースで責任がどこ(だれ)にあると思うか1.ホテル、百貨店などの食材偽装問題について(「コンプライアンスを徹底できていないホテル・百貨店等の経営者」/「行き過ぎたコスト削減を要求しているホテル・百貨店等の経営者」/「食材が変わっても客を呼び込むためメニューを変更しなかったホテル・百貨店等の営業部門」/「ホールスタッフに食材変更を伝えない厨房」/「おかしいと思っても管理者に意見を言えない料理人の業界」/「納品された食材のホテル・百貨店等でのチェック体制」/「芝エビイコール“小エビの総称”という中国料理界の常識(ホテルの調理人談)」/「法律の不備」/「消費者庁など管轄省庁」)、2. JR北海道のトラブル続発について(「JR北海道本社経営者」/「R北海道本社安全管理部門」/「JR北海道函館支社安全管理部門の責任者」/「JR北海道函館支社安全管理担当者」/「JR北海道の労使関係」/「分割民営化のあり方」/「国交省」)、3.「ほこ×たて」やらせ問題について(「テレビ局(フジテレビ)」/「実際に番組を制作した制作会社」/「出演者(対決にて反則してしまったスナイパー)」/「出演者(「やらせ」を指摘したラジコンメーカー社員)」/「視聴率偏重の業界体質」/「ドラマチックな展開を期待する視聴者」)、4. 楽天優勝セールでの不当価格表示問題について(「通常価格を引き上げて値引きしたように見せかけた店舗」/「極端な割引率を設定した楽天」/「ルールを守らせる仕組みがなかった楽天」/「大幅な割引を求める消費者」/「ネット上の情報を不用意に信用する消費者」/「消費者庁など管轄省庁」)、5. みのもんたさんの番組降板ついて(「テレビ局(降板した番組を放送していたTBS)」/「みのもんたさん」/「31歳の次男」/「テレビ局(次男が勤務していた日本テレビ)」/「番組のスポンサー企業」/「視聴率偏重の業界体質」/「視聴者」)それぞれ選んでもらい回答(複数可)を得た。
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