ブランド戦略通信 │トライベック・ブランド戦略研究所

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第54回:心に響く社是・社訓

多くの企業には社是、社訓、設立趣意、経営理念、社員心得などに表された行動指針があります。これらの言葉は社内で受け継がれ共通の価値となっています。今回はこうした言葉が一般の人にどのように受け止められているか尋ねてみました

ソニー「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」

まずはソニーの設立趣意として第一に掲げられている「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」です。ソニーの前身、東京通信工業株式会社設立の原点として引き合いに出されることが多いこの言葉は「技術者たちが技術することに深い喜びを感じ、その社会的使命を自覚して思いきり働ける安定した職場をこしらえる」ことを起業の目的として謳っています。

「好感が持てる」が34%、「企業のイメージに合っている」、「これまでの実績に納得ができる」がともに26%、「使命感が伝わる」が25%となっています。WALKMAN、PlayStationといった製品が新しい市場を生み出してきた企業の姿に通じるものがあります。ただ最近ではいささか元気がないのも気になりますね。これからも作り手自身が欲しくなるような、作っていて楽しくなるような製品を生み続けていって欲しいと思います。

サントリー「やってみなはれ」

続いてはサントリーの社風を表すときによく語られる「やってみなはれ」です。これは創業者鳥井信治郎氏がことあるごとに口にした言葉とされ創業以来100年以上経った今も社員が新たなテーマにチャレンジし続ける社風を生み出しています。

「将来性を感じる」は半数以上の52%、「好感が持てる」(37%)、「見習いたい/見習うべき」(22%)、「これまでの実績に納得できる」(21%)と続きます。

日本人の口に合う赤玉ポートワインや日本で初めての本格ウイスキー製造販売、また二代目社長佐治敬三氏が念願だったビール製造を始めるにあたってもこの精神が生きていたと言われています。次々と新分野に参入し、日本の洋酒文化を切り拓いてきたサントリーらしい言葉といえるでしょう。ところで、ビール事業が黒字に転換したのは参入して46年経った2008年とのこと。2011年には主力の「ザ・プレミアム・モルツ」の売上げが過去最高となりビール事業は4年連続の黒字となりました。サントリーに息づく「やってみなはれ」は新しいことに挑戦することだけにとどまらず、「志をもって準備をし、思い切って飛び込んだらあとはとことんまでやり抜く」姿勢も意味しているのかもしれません。そんな言葉に人々は共感し、将来性を感じていると言えそうです。

パナソニック「産業人たるの本分に徹し 社会生活の改善と向上を図り 世界文化の進展に寄与せんことを期す」

「私たちの使命は、生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること」を意味する「産業人たるの本分に徹し 社会生活の改善と向上を図り 世界文化の進展に寄与せんことを期す」はパナソニックの経営理念となる綱領です。

この綱領は昭和4年、創業者の松下幸之助氏により制定されました。「パナソニック・グループの事業の目的とその存在の理由を簡潔に示したものであり、あらゆる経営活動の根幹をなしているもの」で「経営理念に基づき仕事を進めることは、時代の推移、事業規模・事業内容の変化にかかわらず不変です」ということです。その言葉通り家電製品から健康・美容機器、住宅設備や通信機器、産業機器と多岐に渡る製品を通して「社会生活の改善と向上」を図り、世界的事業展開している姿は創業以来今日まで綱領が忠実に守られている証と言えそうですね。「使命感が伝わる」(38%)、「これまでの実績に納得できる」(36%)と4割近い人が創業者の志とこれまでの歩みに共感しています。

キヤノン「自発・自治・自覚の『三自の精神』」

続いてキヤノンの行動規範「三自の精神」です。「自発とは何事にも自ら進んで積極的に行なうこと。自治とは、自分自身を管理すること。そして、自覚とは自分が置かれている立場・役割・状況をよく認識すること」を意味しており、全世界の社員は「三自の精神」を通して創造性や向上心と仕事への当事者意識を持つことが求められています。「好感が持てる」が24%、「これまでの業績に納得できる」が22%、「企業のイメージに合っている」が21%となっています。

先端技術を用いたデジカメやプリンターが一般家庭に普及してくれたお陰で我々の生活は随分豊かになりました。優れた製品を次々と世に送り出す企業の活力の背景に、この「三自の精神」が流れているように思えてなりません。

三菱商事「立業貿易」

続いては三菱商事の経営理念、三綱領の一つ「立業貿易」です。この三綱領は1920年の三菱四代社長岩崎小彌太氏の訓諭をもとに、1934年に旧三菱商事の行動指針として制定されました。本来、立業貿易とは対外貿易を主たる業務とするという意味ですが、社内では「グローバルな視野で全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る」という意味で使われているそうです。

「企業のイメージに合っている」(30%)と多くの方が「立業貿易」を総合商社としてのイメージと重ね合わせているようです。しかし、今日では三菱グループの活動指針としても採用されているように、より普遍的な価値観を表したものとして、「使命感が伝わる」(26%)、「将来性を感じる」(26%)と感じる方も少なくありません。

社是・社訓は第一義的には社内の人に向けたものですが、それを実戦する姿に外部の人も思わずエールを送りたくなるのかもしれません。

調査概要

全国20歳以上男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2012年6月4日~6月5日
調査方法・内容 企業の社是・社訓・設立趣意・社員心得等:「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」(ソニー 会社設立の目的)/「やってみなはれ」(サントリー 基本となる価値観)/「産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す」(パナソニック 綱領・経営理念)/「自発・自治・自覚の『三自の精神』」(キヤノン 行動指針)/「立業貿易(=グローバルな視野で全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。)」(三菱商事 綱領・行動指針)について当てはまるイメージを(共感できる/見習いたい・見習うべき/使命感が伝わる/社員が優れている/企業のイメージに合っている/これまでの実績に納得できる/この企業に興味がわく/好感が持てる/将来性を感じる/この企業のために働きたい)の中から選んでもらい回答を得た。

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