- ブランド戦略通信│トライベック・ブランド戦略研究所 - https://japanbrand.jp -

第24回:「Panasonicの“生活家電”」に対する馴染み度調査(2回目)

2008年10月1日から旧松下電器産業株式会社は、社名をパナソニック株式会社に変更しました。これに合わせ白物家電・住宅設備機器など生活家電で使用してきた「National」ブランドを廃止し、ブランド名をすべて「Panasonic」に統一するブランド変更を進めています。テレビCMや新聞・雑誌広告、インターネットの媒体などで告知が始まり、「Panasonicの冷蔵庫」「Panasonicの洗濯機」などが登場しています。

日本ブランド戦略研究所では、変更半年前(2008年4月)にこのPanasonicブランドの生活家電に対する「馴染み度」を調査しました(こちら [1])。そして変更開始後、約3週間を経た先日、同様の調査を再度実施。変更半年前と変更後との消費者の意識の変化を探ってみました。

果たして、Panasonicブランドの生活家電は消費者にどの程度受け入れられているのでしょうかーー? 今回は第2回(変更後)の調査レポートです。

前回同様に対象製品は、カテゴリー別に以下のものを選出しました。

製品 カテゴリー
冷蔵庫 調理
洗濯機 家事
エアコン 空調
ドライヤー 美容
照明器具 あかりと電気設備

またこちらも前回同様、質問では各製品の前に「Panasonicの」と付けたときの印象を「非常に馴染める」場合を「5」、「全く馴染めない」場合を「-5」とし、10段階でそれぞれの馴染み度を答えてもらいました。集計した数値に対しては5〜-5の重み付けを行い、スコアを算出しました。

【図 】

短期間で「Panasonic製冷蔵庫/洗濯機」の馴染み度が大幅アップ

今回の調査で、「冷蔵庫」「洗濯機」「ドライヤー」「照明器具」は、前回調査(変更半年前)に比べ、馴染み度を上げる結果となりました。特に白物家電の代表格である「冷蔵庫」「洗濯機」が前回比各+57ポイント、+47ポイントと大幅にアップ。短期間のうちに急速に馴染み度が上昇している様子がうかがえます。一方「エアコン」は前回比-1ポイントと殆ど変化は見られませんでした。また前回に引き続き「照明器具」の馴染み度が最も高く、今回はさらにそのポイントを増やすこととなりました。

(単位:pt)
前回 今回
(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫 133 190 57
Panasonicの洗濯機 117 164 47
Panasonicのエアコン 171 170 -1
Panasonicのドライヤー 165 202 37
Panasonicの照明器具 262 297 35
【表1】Panasonic馴染み度(全体)の変化

Nationalに馴染みの深い中高年の方が受け入れに積極的

もう少し詳しく見てみましょう。まずは年代別です。20〜30代の若年世代、40〜50代の中高年世代で比較すると、全体的に中高年世代のほうが若年世代よりも馴染み度は高く、「照明器具」以外の4つの製品で同年代が高くなっています。Nationalに馴染みの深いはずの中高年世代が、逆にPanasonicの生活家電をより受け入れているという意外な傾向が前回に引き続き観察されたことは興味深いことと言えます。ただし若年世代でも「冷蔵庫」「洗濯機」の馴染み度が急速に上がっていることは注目すべき点です。若年世代が生活家電の代表格において「Panasonic製」の生活家電を柔軟に受け入れつつある現状がうかがえます(表2、3)。

(単位:pt)
前回 今回
(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫 102 168 66
Panasonicの洗濯機 98 143 45
Panasonicのエアコン 162 147 -15
Panasonicのドライヤー 169 191 21
Panasonicの照明器具 275 308 33
【表2】Panasonic馴染み度(20-30代)の変化
(単位:pt)
前回 今回
(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫 171 215 44
Panasonicの洗濯機 140 187 47
Panasonicのエアコン 182 196 14
Panasonicのドライヤー 160 215 55
Panasonicの照明器具 247 285 38
【表3】Panasonic馴染み度(40-50代)の変化

浸透率は男性で伸び悩み、女性で大幅アップ

さらに男女別の馴染み度はどうでしょうか。まず男性については、全商品ともあまりアップしていません。それどころか、「エアコン」や「ドライヤー」、「照明器具」では、わずかですが馴染み度が低下しています。これに対し女性は「冷蔵庫」で前回比+98ポイント、「洗濯機」で+72ポイントと大幅にアップ。そのほかの製品も軒並み向上しています。

これにより、前回調査では「照明器具」以外の4つの項目において女性よりも男性の馴染み度が高かったのが、今回は「エアコン」以外の4つの項目で女性の方が高くなるという“逆転現象”が起こる結果となりました(表4、5)。

男性は、Panasonic=AV家電というイメージが強いせいかなかなか思うように浸透していない様子。逆にそういったイメージが男性と比べて弱く、加えて生活家電に触れる機会が比較的多い女性への浸透には一定の成果が出ている模様です。これは広告等を通じたコミュニケーションが奏功しているといえるのではないでしょうか。

今後は、引き続き「Panasonicの生活家電」の馴染み度の全体的な底上げを図ると同時に男性を意識したイメージ戦略にも力を入れることがポイントといえそうです。

(単位:pt)
前回 今回
(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫 160 168 8
Panasonicの洗濯機 137 156 19
Panasonicのエアコン 194 174 -21
Panasonicのドライヤー 169 156 -13
Panasonicの照明器具 260 250 -10
【表4】Panasonic馴染み度(男性)の変化
(単位:pt)
前回 今回
(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫 104 202 97
Panasonicの洗濯機 96 168 72
Panasonicのエアコン 146 168 22
Panasonicのドライヤー 160 226 65
Panasonicの照明器具 265 321 57
【表5】Panasonic馴染み度(女性)の変化

調査概要

全国のインターネットユーザー(20歳以上/男女)から回答を得た

サンプル数 100s
調査期間 2008年10月22日(水)〜10月23日(木)
質問項目
  • 対象項目:Panasonicの冷蔵庫/Panasonicの洗濯機/Panasonicのエアコン/Panasonicのドライヤー/Panasonicの照明器具
  • 評価方法:上記の各製品の馴染み度を、「非常に馴染める」を5、「全く馴染めない」を-5とし、10段階で評価。
  • 評価指標(馴染み度スコア)の算出方法:5〜-5を重みとして加重平均を行った。