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第97回:秋、冬の旅行について

コロナ禍で打撃を受けた国内旅行事業を支援するため、10月より『全国旅行支援(全国旅行割)』がスタートしました。現在、コロナ第8波も懸念されてはいますが、これを機に、この秋、冬に旅行を考えている人も多いのではないでしょうか。今回は秋、冬の国内旅行について、行ってみたい都道府県や食べてみたいご当地グルメ、旅先で期待する体験などを、全国20~60代の男女400名にたずねてみました。

秋、冬の旅行先として魅力的だと思う都道府県

下記のグラフは秋、冬に旅行する行先として魅力的だと思う都道府県について5つまで選んで回答してもらい、上位20位までを並べた結果です【図1】。

北海道、沖縄、京都と日本を代表する自然また歴史的な資産が多い都道府県がトップ3となりました。上位3位は季節を問わず観光客でにぎわうエリアですが、雪景色や寒い時期ならではの海の幸が楽しめる石川や、スキーなどウインタースポーツが盛んな長野も上位にランクインしています。

秋、冬の旅行に期待する体験

期待する体験を複数回答で尋ねた結果です【図2】。

寒さに向かう季節です。温かい「温泉を楽しみたい」という人が最も多くなりました。世界一の温泉大国である日本。非日常といえる旅行先で「いつもより大きなお風呂でリラックスしたい」「土地ごとに様々な温泉の効能で日頃の疲れを癒したい」などと考える人が多いのかもしれません。

次いで「ご当地の秋、冬の味覚を楽しみたい」も多くの回答を集めました。実りの秋、また海の幸が美味しくなる冬を楽しみにしている人も多いことでしょう。季節を問わず、ご当地の旬の味覚を楽しむことは旅行の醍醐味といえそうです。

その他「紅葉狩りを楽しみたい」「雪景色を楽しみたい」などの数値も高くなっています。空気の澄んだ秋、冬。季節の変化を視覚で感じることができるのは日本に四季があるからこそ。これからも守っていきたい文化ですね。

食べたいご当地鍋

それでは、旅行に期待する体験でも2番目に多かった「秋、冬の味覚」から「秋、冬に食べたいご当地鍋」について結果を見てみましょう【図3】。

最も回答が多かったのは「牡蠣(土手)なべ(広島)」です。「味噌を鍋の内側に土手のように塗ること」に由来されるという味噌仕立ての鍋です。広島の牡蠣は身が大きく濃厚な味わいが特徴といわれています。美味しい牡蠣鍋を、日本が誇る牡蠣の名産地広島で食べてみたいという人が多いのかもしれません。

次いで多かったのは「もつ鍋(福岡)」です。牛や豚の主に小腸などのホルモン(白モツ)と醤油や味噌ベースの出汁にニラ、キャベツやニンニク、鷹の爪などを入れます。もつ鍋はコラーゲンも豊富、見た目に反して低カロリーということも人気の理由かもしれません。

次いで多かったのが「きりたんぽ鍋(秋田)」です。「きりたんぽ鍋」は炊いたご飯を潰して木の棒に巻きつけ焼いたものを、鶏肉やごぼう、きのこなどといっしょに鶏ガラのだし汁で煮込む鍋です。ご当地秋田では秋田のブランド地鶏『比内地鶏』の鶏ガラをスープに利用する店も多いようです。寒い冬にぜひ食べてみたくなる一品ですね。

食べたいご当地B級グルメ

続いてB級グルメについてです。「秋、冬に食べたいB級グルメ」ということで温かいグルメについてたずねました【図4】。

最も多かったのは「広島風お好み焼き(広島)」でした。クレープ状の薄い生地にたっぷりのキャベツ、肉などの具材を蒸し焼きにして、焼きそばを重ねるのが特徴です。

次いで多かったのは「博多とんこつラーメン(福岡)」。豚骨から出る乳白色のスープ、細麺が特徴です。麺のお代わりの替え玉や注文時に硬さを伝えるのも博多とんこつラーメンならではではないでしょうか。中洲地区などの屋台で食べるラーメンも旅行の楽しみの一つかもしれません。

秋、冬に訪れたい観光地や場所、目的

最後に秋、冬に訪れたい観光地や場所、目的について自由に答えてもらいました。その結果をキーワードごとにまとめて見てみましょう。

最も多かったのは「温泉」についてです。

別府、由布院など大分県や、登別温泉など北海道の温泉地を挙げる人が多くみられました。また城崎温泉や有馬温泉など兵庫県や、伊香保温泉や草津温泉など群馬県、和倉温泉など石川県の温泉地も複数回答がありました。温泉地でやりたいこととしては、「カニ」をはじめとした「海の幸」などグルメを楽しみたい、また景色を楽しむなど、のんびり、ゆっくりしたいと考えている人が多いようです。

また、温泉以外で行ってみたい名所や、イベント、やってみたいアクティビティなどについてまとめました。

北海道で夜景が見たいという声が多く聞かれました。また京都や日光いろは坂の紅葉や、北海道や兼六園、金閣寺、飛騨高山などの雪景色が見たいという意見が聞かれています。
そのほか、北海道の流氷や蔵王の樹氷など秋、冬ならではの景色を楽しみにしている人が多いようです。

一方で、ますます寒くなる季節、沖縄の暖かい気候の中、のんびり散歩や観光をしたいといった意見も多くなっています。

つづいて、多くの人が、旅先で楽しみにしているグルメについて見てみましょう。

冬の味覚の代表と言える「カニ」について多くの回答が並びました。「北海道でカニを食べたい」をはじめ、石川、福井といった北陸、また京都や兵庫の日本海側といった地名が多く挙がっています。

そのほか、北海道の海鮮をはじめ、宮島、松島の牡蠣や、金沢ののどぐろ、茨城のあんこう鍋や下関のフグなど、土地土地の海の幸を楽しみたいという声も多く聞かれました。

コロナの不安は、完全にぬぐい切れたとはいえませんが、少しずつではあるものの旅行など、外出へのハードルは下がってきているように思います。ただ、今回調査の回答状況を見ると居住地に近い地域を行先として挙げる人も多く、今は遠出をするよりも比較的短時間で気軽に行ける場所を選びたいと考えているのかもしれません。海外旅行もいいですが、今年の秋、冬は近隣地域の魅力を味わう旅を計画してもよいかもしれませんね。

調査概要

全国の20歳~69歳男女のインターネットユーザーから回答を得た。

サンプル数 400
調査期間 2022年11月1日~11月2日
調査方法・内容 内容:1. 秋、冬に旅行する行先として魅力的だと思う都道府県について(47各都道府県)より複数回答(5つまで)、2. 秋、冬の旅行に期待する体験について(紅葉狩りを楽しみたい/絶景の夜景を楽しみたい/イルミネーション、ライトアップスポットを楽しみたい/雪景色を楽しみたい/温泉を楽しみたい/ご当地の秋、冬の味覚を楽しみたい/スキーなどウインタースポーツを楽しみたい/テーマパークのクリスマスイベントを楽しみたい/有名スポットで初日の出を見てみたい/有名な神社・仏閣に初詣に行きたい/冬の花火大会を楽しみたい/寒い季節に、南の島でリゾート気分を味わいたい/その他/特に期待していることはない)より複数回答、3. 秋、冬に食べたいご当地鍋について(きりたんぽ鍋(秋田)/芋煮(山形)/あんこう鍋(茨城)/ほうとう(山梨)/すっぽん鍋(京都)/てっちり(大阪)/牡蠣(土手)なべ(広島)/もつ鍋(福岡)/水炊き(福岡)/当てはまるものはない)より複数回答、4. 秋、冬に食べたいB級グルメについて(スープカレー(北海道)/喜多方ラーメン(福島)/宇都宮餃子(栃木)/もんじゃ焼き(東京)/金沢カレー(石川)/富山ブラックラーメン(富山)/富士宮焼きそば(静岡)/静岡おでん(静岡)/たこ焼き(大阪)/明石焼き(兵庫)/讃岐うどん(香川)/広島風お好み焼き(広島)/博多とんこつラーメン(福岡)/当てはまるものはない)より複数回答にて、5.秋、冬に訪れたい観光地や場所、目的について自由回答にて回答を得た。