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第7回:ビール会社の人気キャンペーンは?

毎日のように宣伝されている商品販促のキャンペーンの数々。応募したことはなくても、どんなキャンペーンがあったか、まったく知らないという人はいませんよね。ブランドなんでもランキング、今回はビール、発泡酒、第3ビールのキャンペーンについて、消費者心理を探ってみました!

欲しい景品は商品そのもの!

ほしい景品

【図1】ほしい景品

キャンペーンといえば、景品が何かは無視できませんよね。食料品に衣類雑貨、有名ブランドとのコラボレーショングッズに独自に開発したアイデア商品などもあります。この景品について聞いたところ、「商品そのものや新商品、限定品」と答えた人が46%、人気ナンバーワンになりました。キャンペーンに応募するためには商品を購入しなくてはいけませんが、その目当ての景品が商品そのものとは、卵が先かニワトリが先かのようなちょっと面白い現象ですが、その商品のブランド力の高さを物語っているようですね。また、限定品とは、発売当初の製法でつくったビールなど、一般には市販していないものを指します。これもその商品のブランド力に関わってくる景品ですね。2位はやはり食料品で、43%、3位のユニークなアイデア商品とはぐんと差を付けています。衣類や生活雑貨はオリジナルにせよ、市販されている物にせよ、サイズが合うかどうか、使える雑貨かどうか、が気になりますね。食べたらなくなってしまう「消えもの」である食料品は一番使い勝手良く、実用的なのでしょう。

06年度のキャンペーン認知度第1位は「選ぼう ニッポンのうまい!」

印象に残ったキャンペーン

【図2】印象に残ったキャンペーン

さて、では実際にどんなキャンペーンが印象に残ったか、という項目では、1位は「選ぼう ニッポンのうまい!」で41%の人が支持しました。これはキリンのビールなど対象商品についている応募券を集めて応募するものですが、05年に第1弾、第2弾が行われ、第2弾ではなんと2000万口を超える応募があったという人気キャンペーンです。CMなどでも盛んに宣伝していましたし、タイトルも内容をうまく言い表していますよね。そしてなんといっても景品が日本各地の特産品。2種類産地を選べたのですが、「食べたいから」ではなく「自分の出身地だから」と選択した人もいたようです。次いで「サッカー日本代表応援キャンペーン『勝ちT』『勝ち樽』プレゼント」が33%。06年がワールドカップイヤーであったことも追い風になったのでしょうが、景品の『勝ちT』『勝ち樽』というゴロの良さも記憶に残る要因だったのでしょう。3位はアサヒビールの「世界初 あけてそそぐ!おしゃべり冷蔵庫「本生ロボッ庫」が当たる!」の23%でした。これはもう、景品のインパクトがものを言ったのでしょう。自ら扉を開けて、ビールを注いでくれて、なおかつ「おつかれさま!」と言ってくれる冷蔵庫です。話題にならない方がおかしいくらいの景品ですよね。ちなみにこの「ロボッ庫」はネットオークションでも高額がつけられる人気者です。景品ランキングでは上位になりませんでしたが、オリジナルグッズやユニークなアイデア商品でも、時流にあったもの、度肝を抜くようなものだとやはり認知度は高くなるのですね。

ウェブサイトからの応募が人気

応募しやすいキャンペーン

【図3】応募しやすいキャンペーン

応募方法についても聞いてみました。定番は商品に付いているシールなどをはがきに貼って応募するタイプですが、消費者がもっとも「やりやすい」と感じているのは「ウェブサイトからクイズなどに答えて応募するタイプ」で61%でした。同じようにクイズに答えて応募するタイプでも、はがきで応募するタイプは20%と落ちていますから、インターネットがいかに重要な販促ツールになっているかがわかります。一方、同じくインターネットサイトへ誘導するものでも、「ゲームなどをクリアして応募」は30%、「シリアルナンバーを入力して応募するタイプ」は30%と同点の4位です。時間のかかるゲームやただ入力するだけのものはあまり面白味がないようですね。消費者もなかなかわがままです。また、2位は「ポイントやシールを集めて応募すれば必ず景品がもらえるタイプ」55%ですが、これは次の項目ともリンクしてくる結果です。3位は定番の「ポイントやシールなどを集めて応募するタイプ」35%となりました。

景品のために、特定の商品をついつい購入してしまう消費者も多い

キャンペーンに対して思うこと。ついやってしまうこと

【図4】キャンペーンに対して思うこと。ついやってしまうこと

消費者の生の声と行動を知るために、「キャンペーンについて、思うことやついやってしまうことは何ですか」という質問も投げてみました。「景品がなかなか当たらなくてくやしい」が59%と圧倒的。先ほどの応募方法の希望を思い起こさせます。当たり前ですが、やはりみんな景品が欲しいのですね。次に2位が「ポイントやシールを集めるのが面倒だ」34%、3位が「ポイントやシールを集めても応募するのを忘れる」31%、4位が「必要なポイントやシール(量)が多すぎる」28%とポイントやシールに関するものが続いた一方、景品のために特定の商品を買ってしまう」という人が22%いることも、キャンペーンの購入行動へ影響力を探る点で見逃せないところですね。

企業イメージとの関連性は少ない?

キャンペーンよって企業イメージが変わったか

【図5】キャンペーンよって企業イメージが変わったか

さて、最後に、「このようなキャンペーンを知ったことで、企業へのイメージが変わりましたか(企業は問いません)」と聞いたところ、トップにあがったのが「キャンペーンで理由でイメージが変わったことはない」28%でした。キャンペーンの展開に心を砕いている各企業のご担当者にとっては、がくっと肩を落とす結果かもしれません。ですが、僅差で2位に上がったのが「親近感を持つようになった」26%、次いで「消費者へのサービスがいい企業だと思うようになった」23%、「ユーモアのある企業だと興味を持つようになった」18%となっています。企業イメージアップには直接的な関係はないけれども、その企業に対するイメージの要因のひとつになっている、といえそうです。

これから夏にかけて、ビールがぐっとおいしくなる季節です。キャンペーンも増々花盛りになることでしょう。今回の結果を頭の隅においていただければ、キャンペーンも今までとは違った視点で楽しめるのではないでしょうか。

調査概要

全国の20歳以上のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2007年4月17日〜4月18日
調査項目
  1. 参加しやすいキャンペーンのタイプ
    ポイントやシールなどを集めて応募するタイプ/ポイントやシールを集めて応募すれば必ず景品がもらえるタイプ/クイズに答えて応募するタイプ(はがき応募)/クイズに答えて応募するタイプ(サイトからの応募)/サイトへアクセスしゲームなどをクリアして応募するタイプ/サイトへアクセスし商品のシリアルナンバーを入力して応募するタイプ/商品のパッケージなどに当選券が付いているタイプ/その他・この中にはない
  2. 06年〜07年にかけて実施されたキャンペーンで印象に残ったもの
    アサヒ「世界初 あけてそそぐ!おしゃべり冷蔵庫「本生ロボッ庫」が当たる!」(オリジナルの冷蔵庫型ロボット)/アサヒ「スーパードライご愛飲感謝キャンペーン」(薄作り泡立ちグラスとスーパードライor THE SUPER DRY LIVEチケット、アクティブ体験チケット)/アサヒ「新生3、3本で、3億円?」(ドリームジャンボ宝くじ連番を10枚)/アサヒ「マイプライムタイムキャンペーン」(オリジナルウェアやオリジナルロッキングチェアなど“極上の時間(プライムタイム)”を楽しむ生活シーンを彩る賞品)/キリン「選ぼう ニッポンのうまい!2006」(日本全国のうまいもの1品と一番搾り、ラガー、クラシックラガー)/キリン「サッカー日本代表応援キャンペーン『勝ちT』『勝ち樽』プレゼント(オリジナルTシャツか、「樽生一番搾り1520」 と専用サーバーのセット1セット )/サッポロ「エビス限定醸造むかし惠比壽(1890年発売当時の資料を参考に醸造した限定のヱビスビール)/サッポロ「世界のドラフードセット」(ドラフトワンに合う食品とその調理器具)/サントリー「プレミアムモルツ バカラ オノロジー ビアタンブラー ビアマグ ビールグラス」(バカラのビアマグ、ビールグラス)/サントリー「ザ・プレミアム・モルツ 2年連続最高金賞受賞記念キャンペーン」(限定醸造 ザ・プレミアムモルツ 黒)」/この中にはない
  3. キャンペーンについて思うことやついやってしまうこと
    景品がなかなか当たらなくてくやしい/景品に魅力を感じない/景品のためについ特定の商品を買ってしまう/ポイントやシールを集めても応募するのを忘れる/必要なポイントやシールが多すぎる/ポイントやシールを集めるのが面倒だ/応募することそのものが楽しい/企業の思惑(おもわく)にのせられるようでくやしい/知人や友人などにポイントやシールをくれるように頼む/この中にはない・特にない
  4. 欲しい景品
    食料品/オリジナルグッズ(衣服)/オリジナルグッズ(生活雑貨)/ユニークなアイデア商品/市販されている衣服/市販されている生活雑貨/商品そのものや新商品、限定商品など/コンサートのチケットや何かが体験できる権利/その他・この中にはない
  5. キャンペーンによって企業へのイメージが変わったか
    親近感を感じるようになった/ユーモアのある企業だと興味を持つようになった/他社とは違う、革新的な企業だというイメージになった/他社の真似をする企業だというイメージになった/センスのいい企業というイメージを持つようになった/センスの悪い企業だというイメージを持つようになった/消費者へのサービスがいい企業だと思うようになった/そのジャンルを引っ張っていくリーディングカンパニーだというイメージを持つようになった/キャンペーンが理由でイメージが変わったことはない/この中にはない・わからない