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第68回:社名・ブランド名の由来に対するイメージ調査 第二弾

すっかりおなじみになっている企業名やブランド名。創業者の夢や理念、強い願いが込められたものや複数の社内メンバーによって考え抜かれたものなど成り立ちも様々です。意味のある言葉を使った造語や二つの意味が掛けられたものなど由来を知るとその企業やブランドに対するイメージも変わってくるかもしれません。今回は第37回に続き社名・ブランド名の由来(第二弾)として聞いてみました。

最初の頒布会商品「こけし」を「こけし千体趣味蒐集の会」から仕入れたことが由来

千趣会

大阪に本社を置く大手通信販売の会社「千趣会」です。「ベルメゾン」(Belle Maison)のブランドでも知られていますね。社名の「千趣会」は、最初の頒布会商品である「こけし」を「こけし千体趣味蒐集の会」から仕入れることなった事に由来し、現会長の行待氏が「千趣会」と名付けだそうです。設立当時昭和30年ごろは女性の間で部屋に飾るものとしてこけしが人気だったのことで毎月違ったこけしを届けて販売したのですね。そしてもう一つ、「今はこけしでも将来はどうなるかわからない、千の趣の会だったらいろんな事ができる」そういった意味もあったそうです。その思惑の通り、現在はファッション、家具から食品まで幅広い分野で商品を取り扱っていますね。46%と半分近い人が「発想が面白い」と答えています。

「空から笑顔の種(シード)を届けたい」の願いが込められたブランド名

ソラシドエア

「ソラシドエア」は九州・沖縄からの路線を展開する宮崎に本社を置くスカイネットアジア航空のブランド名です。「空から笑顔の種(シード)をまく」社員一人一人の想いが凝縮された「種」が「お客様にとっての空の旅が笑顔の花で満たされるように」との思いが込められており、さらに音階の「ドレミファソラシド」のソラシドとかけ、上昇するイメージ、弾むような楽しさ、親しみやすさといったイメージも併せて表現されているとのことで2011年に社内各職場の若手・中堅社員約30名が中心となって創り上げたそうです。「発想が面白い」が多数を占めたほか、「この企業のイメージに合っている」、さらには「この企業への好感が増した」といった意見も多く見られました。

「想像(SOZO)・創造(SOZO)が行き交う街(TOWN)」ZOZOTOWN

ZOZOTOWN

ZOZOTOWNはスタートトゥデイが運営するファッションのネット通販サイトです。社長の前澤友作氏は元プロのミュージシャンです。音楽活動で自分の思いやメッセージを伝えるのと同じように自分の好きなものを紹介したいという思いでビジネスをスタートしたそうです。物流センターを持ち、システムも自前で作るなどしてスピード感と柔軟性を大事にしているとのこと、2007年の上場から今では多くの人が知るショッピングサイトとなりました。ZOZOTOWNの由来は「想像(SOZO)・創造(SOZO)が行き交う街(TOWN)」で、想像(SOZO)・創造(SOZO)の二つの単語から「ZO」を抜き出し「TOWN」とつなげたものだそうです。「発想が面白い」の他、「この企業のイメージに合っている」、「この企業の理念が伝わる」にも多くの支持がありました。今後も何か楽しいことをやり続けてくれそうですね。

創業メンバー9名の「ARROWS」に結束を意味する「UNITED」を冠らせた社名

ユナイテッドアローズ

続いて紳士服・婦人服および雑貨等独自のデザインを発表するとともに海外からも多数の品を輸入し販売を行っているユナイテッドアローズです。毛利元就の逸話「三本の矢」 をなぞらえて9人の創業メンバーそれぞれの「ARROW」を束ね、力を合わせるという意味で「ユナイテッド」がつけられました。ちなみにマークは「束ねた矢」を正面からみたイメージと、「U」と「a」の頭文字を組み合わせたものになっているそうです。創業者の重松理氏は元々同じ衣料品のブランドセレクトショップであるBEAMSを育ててきた人でもあります。おしゃれで西洋的な企業のネーミングにこんな日本的な由来があったとは少々意外ですが、「この企業の理念が伝わる」が最も多く、「発想が面白い」に続き「この企業の夢や願いが伝わる」も高い支持を得るなど創業時の意思は由来を知ることでより認知されるのかもしれません。

豊作の象徴トンボの王様、ヤンマトンボと創業者山岡氏の名前をかけて命名

ヤンマー

ヤンマーは産業用小型エンジンから農業機械、建設機械、小型船舶などの製造、販売を行っている会社です。「ヤン坊マー坊天気予報」が記憶にある方も多いのではないでしょうか。創業時の「農家の方たちを楽にしてさしあげたい」との思いは100年あまり経った今も引き継がれ、フェラーリを手がけた奥山清行氏による「農家の方々が毎日の作業が楽しくなると同時に乗ることに誇りが持てる」フォルムのトラクターがデザインされるなど「新しい農をクリエイトする」のスローガンのもと新たなブランドプロジェクトとして展開しています。

豊作の象徴であるトンボ、その中の王様である「ヤンマトンボ」(オニヤンマ、ギンヤンマ等の総称)と、創業者・山岡孫吉氏の名前の「ヤマ」をかけて命名。ちなみに創業100周年を迎えた2013年に新たに策定されたロゴマークはトンボの羽をモチーフにした「FLYING-Y」となっています。42%と多くの人が「発想が面白い」と答え、「この企業を身近に感じる」、「この企業への好感が増した」といった意見も多く見られました。

これまで馴染みのある企業やブランドもその由来を知ることでより親近感を覚えることでしょう。社名・ブランド名の由来について調べてみると創業者の熱い思いやメンバーの結束などちょっといいストーリーに出会えるかもしれませんね。

調査概要

全国20歳以上男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2015年3月25日~3月26日
調査方法・内容 企業・ブランド5つの名前の由来((株)千趣会/ソラシドエア(スカイネットアジア航空(株)のブランド名)/ZOZOTOWN((株)スタートトゥデイが運営するファッションショッピングサイト)/(株)ユナイテッドアローズ/ヤンマー(株))の名前の由来に対し、8つのイメージ項目(この企業への好感が増した/この企業への信頼が増した/この企業をより身近に感じる/この企業の夢や願いが伝わる/この企業の理念が伝わる/この企業のイメージに合っている/発想が面白い/誰かに伝えたい)の中から複数回答式で回答を得た。