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第39回:懐かしの商品ブランドに関するイメージ調査

缶ビールやインスタントラーメン、最近ではお菓子やドーナツなど「限定復刻版」商品の発売がニュースになっています。以前はよく見かけたけれど最近そういえば・・・なんていうものも多いのではないでしょうか。今回は現在販売終了してしまった商品ブランドのイメージについて聞いてみました。

当時を思い出させてくれる あのブランド

まずは販売当時この商品のファンだったかどうかについて聞いてみました。最もファンだった人が多かったのは1946年に現・学研ホールディングスにより創刊された学習雑誌「科学」と「学習」です。当時のCMのフレーズにもなった、専門の販売員「学研のおばちゃん」が訪問販売していました。「科学」は“小さな発見・大きな感動・科学っておもしろい!” をコンセプトに理科と算数を中心にした内容。磁石やコイル、豆電球を使った実験キットなどの付録教材が届くのを心待ちにしていた方もいらっしゃるかもしれません。同じく“「できる」よろこびと深く学びとるチカラを”をコンセプト にした「学習」は国語・社会を中心にした内容でいずれも小学校の学年別学習指導要領に対応した内容で今回35%と高い支持を得ました。

とはいえ、1979年のピーク以降は少子化や生活スタイルの変化などの影響で販売部数は次第に減少。2010年3月をもって休刊となりました。

僅差で続いたのがはちみつレモン(サントリー)、次いでシティ(CITY)(ホンダ)、ゲーム&ウォッチ(任天堂)、プリントゴッコ(理想科学工業)が並びました。

実際に使った当時を思い出させてくれる懐かしいブランドが上位に並んでいます。

数々の個性的なCMが印象に残る

続いて「このブランドのCMを覚えている」かどうか聞いてみました。覚えている人が多かったのは、はちみつレモン(サントリー)、楊夫人(マダム・ヤン)(ハウス食品)でした。食品のCMが印象に残っているという方が多いようですね。

次いで多かったのは1981年に発売が開始されたホンダの小型自動車シティ(CITY)です。「トールボーイ」と呼ばれるユニークな背の高いデザインで人気を得ました。加えてイギリスのバンド、マッドネス出演の「ホンダ ホンダ ホンダ ホンダ シティ シティ」のムカデダンスのCMはインパクトがありました。「このブランドのCMを覚えている」人がCM放送から30年近く経っても35%もいるのは、よほどインパクトの大きなCMだったことがうかがえます。

さらにS&B 5/8チップ(エスビー食品)、プリントゴッコ(理想科学工業)も30%を超える方がCMを覚えているようです。

S&B 5/8チップは1979年に発売された文字通り食べやすい一口サイズで大ヒットしたポテトスナックです。ネーミングの由来では従来のポテトチップとの大きさの比の他にも「5/8」が「S/B」に見えるとか見えないとか、そういう話もありました。ドラゴンボールのキャラクターやタレントを起用したもの、子供のちょっとおませな言葉や怒られた時のかわいらしい表情などCMのバリエーションも豊かでした。

プリントゴッコはシルクスクリーンの仕組みを用いた家庭用小型印刷機です。1977年より製造され、最盛期には年賀状印刷の定番となりました。製版に用いるフラッシュランプは写真用ストロボに使われていた原理。カーボンを利用した原稿で簡単に印刷ができるようになりました。年末に家族全員で年賀状を作成していたご家庭もあることでしょう。年末が近づくと流れたプリントゴッコのCM「国民行事~」のフレーズが頭に残っている方も多いかもしれません。

ブランド復刻期待もはちみつレモン

それではブランドを復刻に対する期待はどうでしょうか。最も復刻してほしいブランドははちみつレモン(サントリー)の31%。はちみつレモンは1980年代から90年代にかけてヒットしたレモン果汁を蜂蜜で甘味付けした清涼飲料水。いわばレモネードです。後に各社参入することになるのですが、中でも1986年に「はちみつレモン」を発売したサントリーは1989年に大ヒットを記録しました。「はちみつレモン」はその後「なっちゃん はちみつレモン」に統合されましたが2003年をもって販売終了となりました。

ちなみに「はちみつ」と「レモン」を並べた非常にわかりやすいこのネーミング、一般名詞を並べたもののため登録商標ができませんでした。その結果、いろいろな「はちみつレモン」商品が市場に出た訳ですね。尚、現在サントリーは「サントリーはちみつレモン」という形で登録商標を受けています。

2位は「科学」・「学習」(学研)、3位はS&B 5/8チップ(エスビー食品)、4位はシティ(CITY)(ホンダ)、5位楊夫人(マダム・ヤン)(ハウス食品)となっています。S&B 5/8チップ(エスビー食品)、楊夫人(マダム・ヤン)(ハウス食品)は「ファンだった」人よりもむしろ「復刻してほしい」人が多く、定番ブランドとしてそれなりに定着していたことがうかがえます。

一方、最も復刻への期待が低かったのがプリントゴッコ(理想科学工業)です。「このブランドが気になっていた」は35%に上りますが、「このブランドを復刻してほしい」は5%にとどまります。発売以来、インクの開発や写真印刷対応などの進化を遂げてきましたがパソコン、インクジェットプリンターの普及、さらには電子メールでの年賀などによって需要は減少。2008年に販売を終了しています。

以上、今回は9つの製品について見てみました。どのブランドも多くの人が気になっていたようですが、当時ファンであっても必ずしも復刻してほしいとは限らないようです。その背景には特に技術の進歩と直結する機器や自動車などの製品については、デザインは同じでも内容は一新されているなど何らかの理由がない限り復刻の期待は低いということがあるのではないでしょうか。逆に清涼飲料やお菓子に関しては復刻に対する支持も高いように思われます。そういえば最近話題の復刻商品も食品が多いですね。復刻商品をきっかけに職場や家庭での話題も一つ増えるかもしれません。

調査概要

全国の35歳以上男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2010年6月3日~6月4日
調査内容 懐かしの商品ブランドに対するイメージを聞いた。
調査対象 過去の9つの商品ブランド(はちみつレモン(清涼飲料水:サントリー)/「科学」・「学習」(学習雑誌:学研)/プリントゴッコ(家庭用小型印刷器具:理想科学工業)/S&B 5/8チップ(スナック菓子:エスビー食品)/シティ(CITY)(自動車:ホンダ)/AIBO(動物型小型ロボット:ソニー)/チューペット(氷菓子:前田製菓) /ゲーム&ウォッチ(携帯型液晶ゲーム機:任天堂)/楊夫人(マダム・ヤン)(インスタントラーメン:ハウス食品))に対し、5つのイメージ項目(このブランドが気になっていた/このブランドのファンだった/このブランドのCMを覚えている/このブランドを復刻してほしい/このブランドについて周りの人に教えたい)の中から複数回答式で回答を得た(詳細は下記表のとおり)。