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第105回:大阪・関西万博について(2回目)

2025年3月12日現在、大阪・関西万博の開催まで約1カ月となりました。ただ、万博の展示やイベント内容はあまり情報が伝えられていません。そんな中、大阪・関西万博への関心度や見に行きたい展示物にどのような変化があるのでしょうか。2023年12月に実施した調査と比較して、大阪・関西万博のテーマや展示内容、認知度および興味・関心、見に行きたいパビリオンについて、近畿在住者と関東在住者にそれぞれ尋ねてみました。

大阪・関西万博への印象

下図は、大阪・関西万博への印象を「とても当てはまる」から「全く当てはまらない」の5段階で尋ねた結果を示しています。関東在住者と近畿在住者それぞれの回答割合を、23年12月の調査結果と比較しました。まずは関東在住者の結果をご覧ください。【図1】

前回の調査と比べると、関東在住者の「とても当てはまる」+「まあ当てはまる」の数値は各項目とも微増で、概ね20%程度の人が評価しているという結果となりました。続いて近畿在住者の結果をご覧ください。【図2】

近畿在住者の評価は、関東在住者に比べて全体的に高い結果となっています。地元でのイベントということもあり、関心が高いことが伺えます。しかし、「興味がある」や「参加したい」といった項目については、前回と比べて若干減少しています。
期待を持っている反面、近年のメタンガスによる爆発事故や建設費用の増額、赤字運営の危機等について報じられていることが影響していると考えられます。また、チケット代については通常の1日券が7,500円と決して安いものではありません。ここ最近は私たちの生活面を圧迫する値上げの報道も続いており、それも相まって参加意向の低下に繋がっているのかもしれません。

続いては回答者に万博開催の目的(クリックすると公式サイト「開催目的」のページが新しいタブで開きます。) [1]
を閲覧してもらい、コンセプトや展示内容を参照してもらった感想について見ていきましょう。【図3】。

大阪・関西万博の開催目的は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後の大阪・関西、そして日本の成長を牽引する起爆剤になることです。万博は世界中の知恵を結集し、地球規模の課題に取り組む場となります。2025年の大阪・関西万博は、SDGsを2030年までに達成するためのプラットフォームとして位置づけられています。

今回の結果を見てみると、いずれの項目も前回よりおよそ5Pt上昇しました。

一方で、60代の評価は前回と比べて減少しており、特に「何を実現させようとしているか伝わった」という項目での減少が目立ちます。60代の人々には、万博の目的や意義が十分に伝わっていないことが、関心の低下に繋がっている可能性があります。年代によって情報を収集する媒体に違いがあるのかもしれません。
特定の世代だけでなく全世代にわたる理解と共感が不可欠となりそうです。

中核事業「シグネチャープロジェクト」について

続いて大阪・関西万博の中核事業の一つ「シグネチャープロジェクト」(クリックすると「シグネチャープロジェクト」のページが新しいタブで開きます。) [2]の内容を確認してもらい、意見を尋ねてみました。【図4】

「シグネチャープロジェクト」は、大学教授やアニメーション監督、映画作家、生物学者など8 人のプロデューサーが主導するパビリオンを起点に展開されます。「シグネチャーパビリオン」および「シグネチャーイベント」を通じて、リアルとバーチャルをインクルージョンした多様な体験により、訪れるすべての人々が「いのち」について考え、その概念をアップデートする場所になることを目指していますとのことです。

「いのちの未来」(クリックすると「いのちの未来」のページが新しいタブで開きます。) [3]「EARTH MART」(クリックすると「EARTH MART」のページが新しいタブで開きます。) [4]は、「目的が理解できた」「社会的に意義があると感じた」が高く評価されています。
「いのちの未来」は「ロボットやアンドロイド」がもたらす命の可能性を、「EARTH MART」は「食の未来」がテーマとなっており、「ロボット」「食」といったテーマに対する消費者の関心の高さがうかがえる結果となりました。

パビリオンの詳細について

開催が近付いたことでパビリオンの詳細も明らかになってきました。
今回は国内を中心に興味のあるパビリオン(クリックすると「国内パビリオン」のページが新しいタブで開きます。) [5]についてもたずねてみました。【図5】

関東在住者が最も興味があるのは「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」です。幅広い層に人気のあるガンダムが約17mの実物大として登場することに期待を寄せているようです。続いて近畿在住者です。【図6】

近畿在住者は、近隣で開催されることもあり、関東在住者と比べて各パビリオンへの興味度が高い傾向にあります。
最も興味があるのは「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」と「関西パビリオン」です。
「関西パビリオン」では、「いのち輝く関西悠久の歴史と現在」をテーマに9府県が出展に参加し、関西各地の歴史や文化、観光などの多彩な魅力を発信します。地元の歴史や製品が紹介されることで、地域の誇りや親近感が高まり、関心が高まっているようです。

大阪・関西万博についての自由意見

最後に大阪・関西万博についての自由意見を見てみましょう。

関東在住者の意見では、「他の地域や施設と合わせて参加したい」「いろいろな発見がありそう」といった声が聞かれる中、「興味が持てない」「高齢者にはわからなさそう」といった声が上がりました。
続いて近畿在住者の意見です。「ぜひ参加したい」「町が活性化する」といった声が聞こえました。地元で開催される万博が地域経済やコミュニティに与えるポジティブな影響を期待していることが伺えます。
一方、「金額が高い」「手続きが面倒」といったチケット面に関する声が挙がりました。万博の参加費用やチケット購入の手続きが煩雑であることが、参加意欲を削ぐ要因にもなっているようです。

大阪・関西万博は、多くのパビリオンが展示されます。特に日本館やガンダムは、幅広い年代や地域の人々に支持されています。一方で、60代の高齢者を中心に魅力度は限定的となっているようです。
今後、具体的な展示物の詳細や魅力を定期的に発信し、幅広い世代に訪れてもらうことが成功のカギとなりそうです。

調査概要

関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、近畿(三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)在住の18~69歳 男女のインターネットユーザーから回答を得た。

サンプル数 330
調査期間 2025年2月21日
調査方法・内容 内容: 大阪・関西万博について、1.現在の考え(大阪・関西万博に興味がある/大阪・関西万博のことを家族や友人・知人と話題にすることがある/大阪・関西万博開催は世の中に良い影響をもたらすと思う/大阪・関西万博に参加したい)についてそれぞれ(「とても当てはまる」~「全く当てはまらない」)の5段階にて回答、2. 大阪・関西万博の公式サイトの「開催目的」コンテンツを見てもらい大阪・関西万博の開催目的について(開催目的に共感できたか/何を実現させようとしているか伝わったか/日本、大阪で開催する意義が伝わったか)それぞれ(「とてもそう思う」~「全くそう思わない」)の5段階にて回答、3.『シグネチャープロジェクト』の公式サイトを見てもらい「シグネチャープロジェクト」についての意見(目的が理解できた/共感できた/興味が持てた/社会的に意義があると感じた/会場で見て
みたいと思った/誰かに教えたいと思った/あてはまるものはない)、4. 大阪・関西万博の公式サイトの「国内パビリオン」コンテンツを見てもらい、国内パビリオン(日本館、ウーマンズパビリオンin collaboration with Cartier、大阪ヘルスケアパビリオン、Nest for Reborn、関西パビリオン、NTT Pavilion、電力館 可能性のタマゴたち、住友館、パナソニックグループパビリオン「ノモの国」、三菱未来館、よしもと waraii myraii館、PASONA NATUREVERSE、BLUE OCEAN DOME(ブルーオーシャン・ドーム)、GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION、TECH WORLD、ガスパビリオンおばけワンダーランド、飯田グループ×大阪公立大学共同出展館、ORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』)についてそれぞれ(「とても興味がある」~「全く興味がない」)の5段階にて、5. 大阪・関西万博に対する自身の考えを自由回答にて、回答を得た。