- ブランド戦略通信│トライベック・ブランド戦略研究所 - https://japanbrand.jp -

スマートフォン版ECサイトランキング<健康食品編 2020>

コロナ禍の中で多くの方が不要不急な外出は控え、テレワークの普及やテイクアウトなど自宅で過ごす時間が増え「新たな日常」になろうとしています。このような状況の中、「巣ごもり消費」の需要が増えることで多くの購買行動がECサイトを通じて行われています。また、企業としても実店舗の利用が縮小傾向にある中、利用頻度が増加傾向にあるECサイトに注力する必要性が高まっています。

今回は外出自粛に伴い需要が高まることが想定される「健康食品」業界の公式スマートフォンECサイトに関して、ユーザビリティ(使い勝手や安全性など)を評価しました。

●「巣ごもり需要」に応える「ECサイト」に求められるポイント

新型コロナウイルスの影響でライフスタイルが大きく変わることにより、サイトをはじめて利用する消費者が多いことが考えられます。そのようなユーザーの需要に応えるためには、①魅力的に自社の商品を伝えること、②スムーズに需要にこたえる商品を見つけられること、③快適な体験により再利用の意欲を形成すること、の3点が以前に増して重要になります。

調査結果の概要

順位サイト名総合スコアA軸B軸C軸D軸E軸F軸
1位DHC [1]75.8363.386.686.581.361.166.4
2位ファンケル [2]66.9356.766.160.864.768.493.4
3位キューサイ [3]62.6851.270.957.454.967.482.2
4位やずや [4]57.5056.768.626.961.263.282.3
5位山田養蜂場 [5]56.6254.842.573.158.250.056.0
6位サントリーウエルネス [6]56.5139.260.448.055.760.179.9
7位わかさ生活 [7]55.0764.558.928.458.150.594.7
8位世田谷自然食品 [8]52.6552.437.228.866.452.989.1
9位えがお [9]50.1365.958.528.538.459.475.9
10位アサヒカルピスウェルネス [10]45.1926.643.518.248.556.589.3

※ A軸:アクセス性、B軸:サイト全体の明快性、C軸:サイト内移動の快適性、D軸:商品サービスの効果的な訴求、E軸:スムーズな購入プロセス、F軸:ヘルプ/安全性

※ 総合スコアは、5軸に傾斜配分をかけて割り出したものであり、5軸の単純平均ではありません。(満点=100点)

※ Webサイトへのリンクは調査当時のものです。現在は内容が異なっている場合もあります。 

 

ランキング1位は「DHC」となりました。「B.サイト全体の明快性」、「C.サイト内移動の快適性」、「D.商品サービスの効果的な訴求」の各評価軸で80点を超え、「①魅力的に自社の商品を伝えること」「②スムーズに需要にこたえる商品を見つけられること」の要件を満たしたサイトであるといえます。

ランキング2位の「ファンケル」、3位の「キューサイ」は「E.スムーズな購入プロセス」において高評価となりました。ストレスの少ない購入フローの設計や充実したサポートコンテンツなどにより、「③快適な体験により再利用の意欲を形成する」ことができているサイトといえるでしょう。

ランキング4位以降の各社は「B.サイト全体の明快性」、「C.サイト内移動の快適性」を中心に評価が低迷し、総合スコアも上位に大きく劣る結果となりました。

健康食品業界 サイトの傾向と課題

1.魅力的に自社の商品を伝える工夫

各サイトともに商品ページでの情報提供には力を入れており、「D.商品サービスの効果的な訴求」は他の評価軸と比較して平均点が高い結果となりました。
上位にランクインしたサイトでは、SNSを活用したキャンペーンや売上ランキング、レコメンドなどから商品の話題性を高めるための工夫が多く見られました。また対象サイト全体として、レビュー機能や「利用者の声」のコンテンツ、食事、健康、美容などの関連領域に関するコラムのように、商品に対する信頼・安心を形成する取り組みも多く、「①魅力的に自社の商品を伝えること」に注力しているサイトが多く見られる結果となりました。

2.はじめての方へのわかりやすい情報提供に課題

サイトの顔であるトップページにおける訴求や、ナビゲーションを使用した情報収集のしやすさには改善の余地があり、「②スムーズに需要にこたえる商品を見つけられること」においては課題が残るサイトが多く見られました。

トップページでは、商品を明確に訴求して購買を促すことに加えて、検討意欲が低いユーザーに対してわかりやすい誘導を行うことが重要です。例えば、自社の商品ラインナップから購入するユーザーのニーズに仮説を立て、「運動不足にお悩みの方におすすめ」のようにニーズに応じた誘導を行うことが効果的です。
また、具体的な商品検討を行うユーザーに対して、商品の検索・絞り込み機能を提供したり、関連する商品への誘導を強化したりすることで、初めて利用するかたでもニーズに合った商品に到達しやすくすることも重要になります。

はじめてサイトを利用するユーザーでもわかりやすく、自身にあった商品を見つけやすい設計・誘導を行うことで、「巣ごもり需要」の中でも新規顧客獲得に寄与することができるでしょう。

3.既存顧客とはより強固な接点構築を

「健康食品」業界の商品特性として継続的に使っていただく商品が多いこともあり、定期購入やログイン後のシンプルな購入フロー、サポートコンテンツなど、既存顧客に対して充実した機能を提供しているサイトが多く見られました。
しかし、SNS・メルマガでの情報提供やアプリでの顧客接点構築など、顧客との継続的なコミュニケーションには取り組みの余地があります。常に顧客にとって有益な存在であることで「③快適な体験により再利用の意欲を形成すること」を強く推進することができるでしょう。

調査概要

調査方法 ユーザビリティアナリストが、3人1組のチームによって評価対象のWebサイトを100点満点で評価。評価・分析にあたっては、ユーザビリティアナリスト個人の主観的な判断、偏見による評価を除くため、3人以上のアナリストによるクロス評価を実施。さらに診断グループごとの評価レベルの維持、是正のためのブリーフィングを定期的に行うことで判定基準の品質を統一化。
調査期間 2020年5月
調査対象 日本国内において健康食品の販売を行う10社(「サントリーウエルネス」、「DHC」、「ファンケル」、「やずや」、「山田養蜂場」、「キューサイ」、「世田谷自然食品」、「わかさ生活」、「えがお」、「アサヒカルピスウェルネス」)の公式スマートフォンECサイト

調査の詳細はこちら [11]からご覧ください。