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第8回: 医療保険のページ

インターネットで保険内容を調べる人も多いと思います。保険会社も自社のWebサイトだけでなく募集代理店のWebサイトに保険の説明ページを掲載しています。募集代理店のWebサイトに保険の説明ページを掲載するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

Reach Nextを使用し、保険会社の医療保険ページと募集代理店の医療保険ページの視聴率を調べてみました。

視聴率調査概要

調査結果

保険会社Aの医療保険Eページと募集代理店11社の医療保険Eページの推定視聴者数,保険会社Aの医療保険Eページ6万6千人,募集代理店11社の医療保険Eページ,両方のページ閲覧者1万1千人 [1]


上図は保険会社Aの医療保険Eページの推定視聴者数、募集代理店11社の医療保険Eページの合計推定視聴者数、および両ページを閲覧している人の推定視聴者数を表したものです。募集代理店11社の医療保険Eページの視聴者数を合計すると保険会社Aの医療保険Eページの視聴者数より多くなり、しかも両方のページを閲覧している人はあまりいません。このことから、保険会社Aにとって募集代理店を利用することにより新たな販売機会が取り込めていることを意味しています。またユーザーは商品が気に入れば募集代理店のページから資料請求が出来るため、あえて保険会社のサイトに行く必要がないこともわかります。

では、募集代理店の数を増やす分だけ新たな販売機会も増えるのでしょうか?

保険は無形のサービスのため、間違った解釈をされる心配がないよう商品説明は保険会社によって厳しく管理されています。募集代理店のWebサイトも例外ではなく、内容はすべて商品やコンプライアンスなどの観点から保険会社で厳しくチェックされ、募集文書としての管理番号を付与されたものを掲載しています。そのため、募集代理店が閲覧者や資料請求者を増やすために思い切ったキャッチコピーやある特徴に焦点を当てたデザインをすることは難しく、どの募集代理店の商品ページも同じような内容になってしまいます。

このように募集代理店ごとに商品ページの工夫に制限があるのであれば、募集代理店は自社サイトの集客を高めることによって商品ページに誘導する必要があります。集客と誘導がうまくいっているか否かにより商品ページの視聴率も変わってきます。今回調べた募集代理店11社のうち上位4社の医療保険Eページの推定視聴者数(下図参照)を見ても、サイトによって視聴者数に大きな差があることがわかります。視聴者数の最も多かった総合保険比較サイトHは多くの保険種類を扱っているため保険を比較したい人が集まりやすく、それが医療保険Eへの多くの販売機会の提供につながっているといえます。

募集代理店各社の医療保険Eページの推定視聴者数,総合保険比較サイトH4万2千人,保険会社A専門の保険情報サイトA1 2万3千人,保険比較サイトK1万8千人,保険会社A専門の保険情報サイトA2 6千人 [2]


このようなことを自社商品だけでなく競合商品についても調べれば、競合の中で一歩抜きん出るための代理店政策の立案にきっと役に立つのではないでしょうか。

*注:Reach Nextは任意のキーワードによる検索結果、任意に設定したURLの視聴率を調べるシステムのため、設定したキーワード、URL、また調査期間によって結果が異なります。このコラムはあくまでも弊社が設定した調査の結果に基づくものであることをご了承ください。

参考