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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第97回 ブランド変更の成否を左右する変更後のコミュニケーション

Q ブランド変更の成否はネーミングによって決まりますか。
A 変更後のコミュニケーションの良し悪しによって大きく左右されます。

松下電器、ナショナルからPanasonicへのブランド変更・ブランド統一後のPanasonicブランドの定着ぶりには注目されます。もっとも、Panasonicは以前からカテゴリーブランドとして広く利用され、定着していたブランドですので、ブランド変更のハードルは全く新規のブランドを採用した場合よりは低かったかも知れません。

以前のブランドと全くつながりのない新たなブランドを採用した例として、2001年1月の「アンダーセン・コンサルティング」から「アクセンチュア」があります。

この名称はAccentとFutureを組み合わせて造語でしたが、日本では覚えにくい、語感が悪い(色々な当て字が悪ふざけでされたらしい)などと当初の評判は芳しくありませんでした。

しかし、ブランド変更直後からの集中的なキャンペーンによって新ブランドは急速に浸透しました。折から2001年10月に発覚するエンロン事件によって「アンダーセン」ブランドのイメージはその後急速に悪化しましたが、その影響を免れたのは結果論に過ぎないとはいえ非常に幸運でした。ビジネスの実体は急に変われるものではないので、まったく何のイメージもない新ブランドがビジネスの世界で信頼あるブランドとして定着したのには、コミュニケーションの力が非常に大きかったといえます。

仮に同社が「当社はBtoB企業だから『知る人ぞ知る』で構わない」というスタンスであったなら、新ブランドの認知は既存の取引先以上にはなかなか広がらなかったと思われます。しかし、変化の激しいITをベースとしたコンサルティングビジネスにおいて、既存の顧客に対して既存のサービスを継続するだけでは大きな発展は望めません。

新ブランドが良いブランドかどうかを左右する要因として、ネーミングの良し悪しも無関係ではありませんが、変更直後の主役はコミュニケーションです。そのためブランド変更を行う際は十分なコミュニケーション計画を用意することが非常に重要となります。

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