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第83回:企業の社会的責任と活動について

最近、企業の社会貢献活動についてのテレビCMを目にすることがあります。自然環境保護や街の清掃活動など企業が行っていることをご存知の方も多いことでしょう。今回は企業の社会的責任と活動について尋ねてみました。

関連する語句について

企業の社会的責任関連語句

企業の社会的責任が語られる上で最近耳にする語句についてその認知を尋ねてみました。「意味を理解している」「言葉は知っている」の多かったものについて見てみましょう。

「ダイバーシティ」(多様性)は多様な人材を活かす戦略を意味するものとして知られています。また「ユニバーサルデザイン」は言語や国籍、年齢や性別、障害の有無や能力などを問わず多くの人が利用できることを目指した製品や建物などのデザインのことです。「フェアトレード(公正貿易)」とは発展途上国の作物や製品を適正な価格で継続的に取引することで生産者の生活向上を目的とするものです。生産能力を高め、情報や交渉力を持つことで生産者が適正な価格で取引できる仕組みで、コーヒー豆などのパッケージで馴染みがあるかもしれません。これらの語句については「意味を理解している」と答えた人はほぼ3割以上、「言葉は知っている」を合わせるとほぼ6割に上る人に認知されているようです。

次いで認知度が高かったのは「ソーシャルビジネス」、「CSR(企業の社会的責任)」といった語句となりました。企業が利益追求するだけでなく企業活動を通じて社会に貢献する責任のことを指す「CSR(企業の社会的責任)」は企業活動の一環としての社会貢献活動や社会課題への取り組みの総称として、企業部門の名称や、企業ウェブサイトのメニューに用いられることも多いようです。

ここまで挙げたワードは、ビジネスマン・学生のおよそ5割以上に認知されており、様々な社会課題が取りざたされる現在、どのような企業も「自分たちが良ければ」「今さえ良ければ」では成り立たなくなってきていることがうかがえます。

また、昨今話題となっている「SDGs」(持続可能な開発目標)については認知度が4分の1を下回っており、言葉としての浸透はこれからというところかもしれません。

企業活動としてのSDGs

さて、その「SDGs」(持続可能な開発目標)についてです。「SDGs」は2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。貧困、健康、教育、平等、エネルギー、成長・雇用、気候変動対策など政府や自治体、企業、団体、個人など全てに共通した目標で17項目にわたります。これら「SDGs」に関する目標達成を打ち出し、活動している企業に対してどのような印象を持つかについても尋ねました。

活動している企業への印象

「好感が持てる」と答えた人は4割近くに、「興味・関心が持てる」も3割近くに上ります。「企業の将来性を感じる」、「信頼できる」と答えた人も2割近くとなっています。「SDGs」という言葉自体に馴染みはなくとも、それを目標とした企業活動については、一定の支持を得ていることがわかります。

社会に対してどのような活動をしている企業に特に魅力を感じるか

企業に魅力を感じるか

SDGsの17の目標をいくつかの項目に分けて具体的にどのような活動をしている企業に「特に魅力を感じるか」を尋ねてみました。

もっとも多かったのは「健康・福祉」です。SDGsでは年齢や性別、生活する環境に関わらず、すべての人々の健康的な生活の確保と福祉の推進を目標としています。この項目では「世界の妊産婦の死亡率削減」や「薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療の強化」、「交通事故による死傷者の半減」、「有害化学物質・大気・水質等の汚染による死亡・疾病の件数の大幅減少」などが具体的なターゲット項目として定められています。

次いで多かったのは「安心で住みよい街づくり」です。SDGsでは、都市と人間の居住地が包摂的・安全・強靭、かつ持続可能であることを目標としており、ターゲット項目には「すべての人々の適切、安全かつ安価な住宅および基本的サービスへのアクセスを確保、スラムの改善」、「女性、子ども、障害者および高齢者など脆弱な人のニーズに特に配慮した交通の安全性改善による持続可能な輸送システムへのアクセスの提供」、「経済、社会、環境面における都市部と農村部間の良好なつながりの支援」などが挙げられています。

「自然保護と環境保全」、「働きがいと経済成長」にも3割以上の支持が集まりました。そのほかの項目にも概ね2割を超える人が「魅力を感じる」と答えており、多くの人が企業の社会的な活動に期待と希望を持ち、活動している企業を好意的に捉えていることがわかります。

社会貢献活動や社会課題の解決に熱心だと思う企業

活動に熱心な企業

最後に社会貢献活動や社会課題の解決に熱心だと思う企業について自由に回答してもらいました。最も多かったのはサントリーで19名が社名を挙げています。サントリーはグループの企業理念「私たちの約束」として「水と生きる」、「私たちの使命」として「人と自然と響きあう」と掲げています。水を育む森づくりや水に関する教育活動は多くの人が知るところのようです。

次いで多かったのはトヨタで18名が回答しています。「トヨタ環境チャレンジ2050」として新車CO2ゼロチャレンジ、工場CO2ゼロチャレンジ、人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジなど持続的に発展するための6つのチャレンジを掲げ活動しています。また「モノづくりは人づくりから。」の理念の下、社内外の人材育成や教育に様々なプログラムを実施しています。女性活躍推進の取組や障害のある方の雇用、60歳以降の働き方支援などダイバーシティ&インクルージョン(多様性の包摂)も推進しています。これらの活動が印象に残っている人も多いのでしょう。

その他、JT、ENEOS(JXTGエネルギー)、花王などの名前も挙がりました。

社会貢献活動や社会課題の解決への取り組みは結果が見えるものになるには難しい面もあるでしょう。しかし、国内にのみ目を向けても、差別や貧困、少子高齢化や女性の働き方、異常気象や都市の安全性など様々な問題が山積されている現代において企業の取り組みに多くの人が関心を持ち、また期待を持っていることがわかります。

消費者が企業の活動や取り組みを知ることは、その企業に対する好感の向上だけでなく、社会課題を再認識する機会にもなるでしょう。企業が導き、消費者が呼応する。その積み重ねにより「持続可能な社会」の実現に一歩、また一歩と近づくことができそうですね。

調査概要

東京・千葉・埼玉・神奈川1都3県の18~59歳(有職者・学生)のインターネットユーザーから回答を得た。

サンプル数 200
調査期間 2018年11月30日~12月1日
調査方法・内容 企業の社会的責任と活動について1. 語句について知っているか(「CSR(企業の社会的責任)」「サステナビリティ」「SDGs」「ESG投資」「フェアトレード」「サステナブルプロダクツ」「ユニバーサルデザイン」「ディーセント・ワーク」「ダイバーシティ」「ソーシャルビジネス」「エシカル消費」「シェアリングエコノミー」)について(意味を理解している/言葉は知っている/知らない より)それぞれ単一回答、2. 2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標SDGsについて(17項目を具体的に挙げ)目標を達成すべく活動している企業についてどのような印象を受けるか(興味・関心が持てる/信頼できる/好感が持てる/企業の将来性を感じる/投資したいと思う/就職したい・子供を就職させたいと思う/あてはまるものはない より)複数回答、3. 社会に対してどのような活動をしている企業に特に魅力を感じるか(貧困・飢餓対策など食料問題対策/健康・福祉/教育/人や国、性別によるによる差別や不平等の解消/安心な水・衛生的なトイレ改善/再生エネルギーや持続可能なエネルギー提供/働きがいと経済成長/異常気象など気候変動に対する対策/安心で住みよい街づくり/自然保護と環境保全/あてはまるものはない より)複数回答、4. 社会貢献活動や社会課題の解決に熱心だと思う企業について自由回答(複数回答可)にて回答を得た。
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