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第81回:ICT(情報通信技術)を用いたサービスについての調査(1)

従来使われてきた「IT(Information Tecnology=情報技術)」という言葉は広く知られていますが、最近では情報や知識の共有、伝達といったコミュニケーションを強調した「ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)」という言葉が一般的に使われるようになってきました。今後ICTを活用したサービスがますます身近になってくると思われます。その中でも高齢化を見据えて開発されたサービスについて40代以上の人に尋ねてみました。今回、次回と2回にわけて4つのサービスについてとりあげます。

ICTを使った2つのサービス

高齢者の運転、住居に関する見守りサービス、地域医療ネットワークシステム、健康活動増進のためのポイントサービスといった4つのサービスのうち今回は下記に挙げる2つの例についてどのような印象や感想をもつか尋ね、結果をまとめました。

高齢者ドライバー見守りサービス
高齢者住居見守りサービス
サービスの理解

2つのサービスについて理解できたかどうかを尋ねたところどのサービスについても非常に当てはまる、やや当てはまるとサービス概要について概ね理解できた人が6割程度となりました。一方、全く当てはまらない、あまり当てはまらないと答えた人は1~2割でした。

理解できたと答えた人たちが持つ印象についてサービスごとに見ていきます。

高齢者ドライバー見守り

高齢運転者が引き起こした自動車事故の痛ましいニュースを目にする機会が最近増えたような気がします。離れて暮らす高齢者の運転状況を専用デバイスで本人や家族が見守ることができるサービスには4割を超える人が興味を持っているようです。さらに7割近くの人が社会にとって有用だと考え、その半数に当たる人が周囲にすすめたいと答えました。

サービスを利用したいかどうか尋ねると利用したいと答えた人は「見守る立場」、「見守られる立場」それぞれほぼ同程度に上りました。このサービスが「よい」と思えば双方の立場から利用に好意的であるようです。

高齢者住居見守りサービス

続いて住居見守りサービスについて見てみます。離れて暮らす高齢の家族については心配しながらも頻繁に連絡を取れない人も多いかもしれません。高齢者自身も生活に不安を持ちながらも離れて暮らす家族にその気持ちをなかなか打ち明けられずにいる人もいるでしょう。そのような状況下、センサーによって普段の行動から安否確認を行ったり、万一の際には駆けつけてくれる見守りサービスに興味を持っている人は多いようです。高齢化社会を見据えて意義を感じる人はさらに多く、6割を超えました。

運転者よりも対象が増えることもあり、見守る立場、見守られる立場としても4割近い人が利用したいと考えているようです。

ここで、これらのサービスへの興味について年代別に見てみましょう。

年代別ドライバー見守り興味

高齢者ドライバー見守りサービスを見てみると、非常に興味を持っている人は40代と60代以上が50代と比較すると多いことがわかります。ドライバーは高齢者の運転に不安を持っている人が多いのか、40代の人は見守る立場として親の運転が気になる世代、60代以上の人はそろそろ自分自身の運転が気になってくる世代で意識する人が多いのかもしれません。50代はその狭間の年代、恐らく見守る、見守られる双方の立場として考える人が出てくるのでしょう。興味を持っている人全体としてどの年代よりも多いのですが、その内訳として非常に興味を持っている人が少ないのはどちらの立場としても緊急性を感じる人が40代、60代以上と比較すると少ないからなのかもしれません。

年代別興味住居見守

一方で、住居見守りサービスは運転に比べると不安が少ないのか、年代別での興味の差はそれほど見られませんでした。

不安・懸念な点

これらのサービスへの懸念・不安についても尋ねてみました。この結果から「価格」が気になっている人が多いことがわかります。高齢者住居の見守りサービスについては別途機器取付け費用など初期費用が必要となります。加えていずれのサービスも月々約3,000円の費用が必要となるため、これから続く費用捻出もポイントになるかもしれません。

また「個人情報流出などのセキュリティ面での不安」、「サービス利用者のプライバシーへの懸念」も大きいものとなっています。これらのサービスでは氏名・年齢といった個人情報に加え、車の位置情報や運転リスクのデータ、日々の行動履歴など重要なプライバシーデータが管理されることになります。セキュリティについては、Webサイトのサービス説明やQ&Aのページなどで納得いく説明が十分だと認識されていないのかもしれません。今後さらにサービスを浸透させるには個人情報の管理、プライバシーの保護について利用者が納得できる十分な説明が必要だと言えそうです。

社会が変化し離れて暮らす高齢者がさらに増えていき、離れた家族が見守る必要性がより感じられるようになれば家計における支出の構造は現在と少し変わってくるとも考えられます。それは費用に関するものだけではなく、管理されるデータについての人々の意識についても言えることなのかもしれません。見守り、見守られることに重要性を感じる人が増えればサービスの浸透はスピードを増すと考えられます。社会の変化のスピードと利用者の意識の間の溝を丁寧に埋めていくことができれば、ICTを使って可能になる有用なサービスがストレスなく私たちの暮らしをより快適で安心できるものにしてくれるでしょう。

調査概要

全国40代以上のインターネットユーザーから回答を得た。

サンプル数 300
調査期間 2018年5月22日~5月23日
調査方法・内容 ICT(情報通信技術)を用いたサービスについて1. 高齢者ドライバー見守りサービス、2. 高齢者住居の見守りサービス、3. 地域医療ネットワークシステム、4. 健康ポイント制度について(それぞれ「このサービスについて理解できた」/「このサービスに興味がある」/「このサービスは社会にとって有用だと思う」/「このサービスを利用したい」/「このサービスを周囲にすすめたい」/「当てはまるものはない」)、5. 懸念・不安に思われる点として(「このサービスによって得られるメリットが感じにくい」/「サービス利用者のプライバシーへの懸念」/「個人情報流出などのセキュリティ面での不安」/「サービス利用までの手続きが面倒」/「価格が高い」/「その他」/「特に懸念・不安に感じる点はない」より)複数回答にて回答を得た。
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