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第57回:3年間に使った金額(電気製品)

一人の顧客が特定のメーカーに使う金額の大小はそのメーカーのブランド力の大小を端的に反映していると考えられます。電気製品に私たちはどれくらいの金額を使っているのでしょうか。今回はソニー、パナソニック、シャープ、キヤノン、アップルの商品について過去3年間に使った金額について聞いてみました。

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実際に使った金額の一人当たりの平均(「0円」と「覚えていない/わからない」をのぞいてそれぞれ平均値を用いて算出)を出してみると最も高かったのはパナソニックです。そしてシャープ、ソニーとほぼ同じ金額で続きます。

パナソニックは冷蔵庫からテレビをはじめとしたAV家電、携帯やカメラに照明、温水洗浄便座、自転車、さらには電池まで実に幅広い商品ラインナップを持ちます。単価の高い冷蔵庫や空調、大型テレビなどが押し上げたのでしょう、一人当たり7万円を超えました。

僅差で続くシャープではウオーターオーブンヘルシオや液晶テレビAQUOSさらには太陽光発電システムなど特徴ある商品が思い浮かびます。

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パナソニック、シャープには低額利用者もいますが、生活家電の単価は高く、高額利用にまで幅広く利用者が存在します。中でもパナソニックはどの金額帯においても顧客層が厚いのが特徴です。

続くソニーはこれら2社のような生活家電ではなくパソコン・カメラ・AV家電・携帯電話・ゲームなどが商品ラインアップの中心であるため、5万円~10万円の間の利用者が多い結果となりました。しかし10万円以上の人も一定の割合でいて、ソニー製品を単品で購入した人のほか、ソニー製品を買い揃えたという層が存在することが示唆されているようです。

続くアップルは5万円~10万円という特定の金額帯に集中し、それより多い人も少ない人も非常に少ない点が特徴的です。iPhoneやiPadなど特定のハードウェアの販売に大きく依存している構造がうかがえます。

さらにキヤノンは1万円~10万円の幅広い金額レンジにピークがあり、カメラやプリンターの大きなシェアを背景に、幅広い層からコンスタントに一定の収益を上げているように見受けられます。

数ある家電メーカーの中でも各金額帯で購入者の多いパナソニックやスペシャリティの高い商品で人々に支持されているソニーやキヤノンなど、多くの消費者にブランド・ロイヤルティが確立されている様子が見て取れます。今後も益々国内外に強いブランド力を発信し継続的に支持してくれるファンを持ち続けてほしいと思います。

調査概要

全国25歳以上男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2013年2月1日~2月2日
調査方法・内容 過去3年間にその企業の商品について使った金額:「ソニー」/「パナソニック」/「シャープ」/「キヤノン」/「アップル」について当てはまる金額を(0円/1,000円未満/1,000円以上/10,000円以上/20,000円以上/50,000円以上/100,000円以上/150,000円以上/200,000円以上/覚えていない・よくわからない)の中から一つ選んでもらい回答を得た。