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第46回:商品のキャッチフレーズに対するイメージ調査

商品につけられるキャッチフレーズはその商品の理解を助け、購買意欲を喚起するために非常に重要な役割を果たしています。そこで今回は、商品のキャッチフレーズのイメージに焦点を当てて調査をしてみました。

キャッチフレーズは通常、商品と一体となって用いられるものですが、商品名(ないし企業名)とキャッチフレーズを同時に用いると、商品(ないし企業)イメージとキャッチフレーズのイメージが渾然一体となった結果が得られます。そこで今回はあえて商品名や企業名は伏せ、キャッチフレーズだけを抜き出してそのイメージを調べてみました。

商品・サービスの特徴がイメージできるのは『マッサージソファ(パナソニック)』

「商品・サービスの特徴がイメージできる」という回答が最も多かったのはパナソニックのマッサージチェアにつけられた「これは、マッサージする家具だ」です。単なるマッサージチェアではなく、インテリアととてもよく調和する、優れたデザインのマッサージチェアというこの製品の特徴がこのひとことでとてもよく伝わってきます。


商品・サービスの特徴がイメージできる(%)、「これは、マッサージする家具だ」42%、「ビールと間違えるほどのうまさ」29%、「水より優れた水分補給」24%、「わたしを強くする新聞」19%、「環境コンパクト」11%

(図1)商品・サービスの特徴がイメージできる


インパクトがあるのは『日本経済新聞』

「インパクトがある」という回答が最も多かったのは、日本経済新聞の「わたしを強くする新聞」です。「わたしを強くする」という言葉と新聞との結びつきが目新しく、「強くする」という言葉の語感もあって、インパクトのある表現になったと思われます。

「わたし」のターゲットには就職活動を控えた学生が含まれていると思いますが、経済の知識を身に付けてこれからの厳しい就職活動を乗り切る活力源として意識できる存在になりそうです。


インパクトがある(%)、「わたしを強くする新聞」41%、「これは、マッサージする家具だ」29%、「ビールと間違えるほどのうまさ」20%、「水より優れた水分補給」17%、「環境コンパクト」13%

(図2)インパクトがある


時流に合っているのは『デミオ(マツダ)』

地球環境に対する意識は最近特に高まっていますが、そのような時流にぴったりのキャッチフレーズがマツダ デミオの「環境コンパクト」です。コンパクトカーという商品ジャンルと、環境配慮型商品としての特徴が無駄なく結びつき、最も時流に合ったキャッチフレーズとして支持されました。このキャッチフレーズは「センスが良い」でも最も高い評価となりました。


時流に合っている(%)、「環境コンパクト」46%、「ビールと間違えるほどのうまさ」21%、「水より優れた水分補給」9%、「わたしを強くする新聞」6%、「これは、マッサージする家具だ」3%

(図3)時流に合っている


商品・サービスの品質の良さが伝わるのは『アクエリアス(コカ・コーラ社)』

「商品・サービスの品質の良さが伝わる」として最も高い支持を集めたのはアクエリアスの「水より優れた水分補給」です。ここには「水より優れた」という以上の細かい説明はありません。しかし、それがかえって仕組みや体内での機能などの連想の広がりを生み、品質の良さの連想につながっているものと考えられます。語呂の良さもあいまって、品質イメージを訴求する、優れたキャッチフレーズになりました。


商品・サービスの品質の良さが伝わる(%)、「水より優れた水分補給」17%、「ビールと間違えるほどのうまさ」12%、「環境コンパクト」10%、「わたしを強くする新聞」5%、「これは、マッサージする家具だ」3%

(図4)商品・サービスの品質の良さが伝わる


利用してみたいのは『麦とホップ(サッポロビール)』

せっかくのキャッチフレーズですから、ぜひ購買意欲を喚起し、商品の購入に結び付けたいものです。「この商品を利用してみたい」点で最も多くの人の支持を集めたのはサッポロの麦とホップの「ビールと間違えるほどのうまさ」です。「うまい」ということと「どんな風に」うまいか、がストレートに伝わってきますね。CMでの露出が多いためかこのキャッチフレーズ見聞きしたと答えた人は非常にたくさんいました。そのキャッチフレーズが「利用してみたい」につながるのですから、宣伝のし甲斐があろうというものです。


商品・サービスを利用してみたい(%)、「ビールと間違えるほどのうまさ」28%、「水より優れた水分補給」13%、「わたしを強くする新聞」11%、「これは、マッサージする家具だ」5%、「環境コンパクト」3%

(図5)商品・サービスを利用してみたい


今回は商品のキャッチフレーズについて調べました。

上手に作られたキャッチフレーズが効果的に商品の魅力を伝えることがよくわかります。短いフレーズだからといって決しておろそかにはできませんね。

調査概要

全国20歳以上男女のインターネットユーザーから回答を得た

サンプル数 100
調査期間 2011年5月10日~5月11日
調査対象 コカ・コーラ アクエリアス「水より優れた水分補給」(清涼飲料水)/パナソニック マッサージチェア「これは、マッサージする家具だ」(マッサージ機)/サッポロ 麦とホップ「ビールと間違えるほどのうまさ」(第三のビール)/日本経済新聞「わたしを強くする新聞」(新聞)/マツダ デミオ「環境コンパクト」(コンパクトカー)
質問方法 各キャッチコピーについて9つのイメージ項目を提示し当てはまるものを複数回答で選んでもらった。イメージ項目は以下の通り。

(見聞きしたことがある/インパクトがある/センスが良い/好感が持てる/語感が良い/時流に合っている/この商品・サービスの特徴がイメージできる/この商品・サービスの品質の良さが伝わる/この商品・サービスを飲んで/使って/利用してみたい)

なお、キャッチコピーの提示に際しては具体的な商品名や企業名は伏せ、商品カテゴリーのみを併記した。

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