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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

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第42回:「Panasonicの“生活家電”」に対する馴染み度調査(4回目)

2008年10月1日、旧松下電器産業株式会社は社名をパナソニック株式会社に変更しました。同時に白物家電・住宅設備機器などの生活家電分野製品は「National」から世界統一ブランド「Panasonic」へと移行しました。

日本ブランド戦略研究所では、第1回を変更半年前(2008年4月)、第2回を変更約3週間後(2008年10月)、第3回を変更約半年後(2009年4月)と3回に渡り、Panasonicブランドの生活家電に対する「馴染み度」調査を行いました。そして変更から2年を迎えた今回、第4回の調査を実施しました。変更から2年を経過した今、Panasonicブランドは消費者にどこまで浸透したのでしょうか。

対象製品は引き続き以下の通りとなります。

製品カテゴリ
冷蔵庫調理
洗濯機家事
エアコン空調
ドライヤー美容
照明器具あかりと電気設備

質問では、上記の各製品に「Panasonicの」と付けたときの印象を「非常に馴染める」場合を「5」、「全く馴染めない」場合を「-5」とし、10段階でそれぞれの馴染み度を答えてもらいました。集計した数値に対しては5~-5の重み付けを行い、スコアを算出しました。

【図 】

各製品とも馴染み度は着実にアップ

前回の調査では「冷蔵庫」と「洗濯機」が特にアップしました。今回はこの2つの製品と「ドライヤー」で+60ポイントないしそれ以上の大幅なアップが見られました。残る「エアコン」「照明器具」についてもそれぞれ+43ポイント、+37ポイントとかなりのアップが見られます。

第1回の調査から他の製品より高かった「照明器具」は、途中伸び率は鈍化しつつも4回の調査の中で常に最もPanasonicブランドが馴染めるブランドとして位置してきました。一方、「洗濯機」の方は、第1回の調査では最も馴染み度が低い状態でしたが、一貫して上昇を続け、2年を経て「照明器具」を除く他の4つの製品とほぼ同レベルの馴染み度になりました。生活家電の分野で「Panasonic」ブランドが着実に定着していく様子が窺えます。

(単位:pt)

第1回
(2008.04)
第2回
(2008.10)
第3回
(2009.04)
今回
(2010.10)

(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫13319020126261
Panasonicの洗濯機11716418024262
Panasonicのエアコン17117021025343
Panasonicのドライヤー16520221327360
Panasonicの照明器具26229728532237
【表1】 Panasonic馴染み度(全体)の変化


Panasonicブランドは若者により急速に浸透

次に、年代別に検証してみましょう。第1回の調査では、「冷蔵庫」「洗濯機」「エアコン」の3製品で20-30代の馴染み度が低く、特に冷蔵庫は40-50代より69ポイントも低い状態でした。また、ブランド変更直後の第2回調査の時点でもそうした状況はあまり変わりませんでした。

しかし、ブランド変更後半年を過ぎた第3回調査の時点ではこの状況は一変し、すべての製品において20-30代の方が馴染み度が高くなるという結果になりました。

それから1年半を経て、40-50代の馴染み度も大幅に上がり、上昇度はむしろ40-50代の方がすべての製品において高かったのですが、「照明器具」で20-30代とほぼ同じとなったほかは残りの全ての製品において20-30代の方が依然として馴染み度が高いという結果になりました。

やはり、年齢が若い方が新しいブランドへの受容性が高く、その後中高年が時間をかけて次第に受け入れるということでしょうか。

(単位:pt)

第1回
(2008.04)
第2回
(2008.10)
第3回
(2009.04)
今回
(2010.10)

(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫10216822828961
Panasonicの洗濯機9814320427470
Panasonicのエアコン16214725128736
Panasonicのドライヤー16919127229725
Panasonicの照明器具27530831132111
【表2】 Panasonic馴染み度(20-30代)の変化

(単位:pt)

第1回
(2008.04)
第2回
(2008.10)
第3回
(2009.04)
今回
(2010.10)

(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫17121516524580
Panasonicの洗濯機14018714922374
Panasonicのエアコン18219615623276
Panasonicのドライヤー160215135258123
Panasonicの照明器具24728525132371
【表3】 Panasonic馴染み度(40-50代)の変化


男性への浸透度は停滞

次いで男女別の馴染み度を見てみましょう。男性は「冷蔵庫」、「洗濯機」「ドライヤー」の上昇度は一桁にとどまっています。「エアコン」「照明器具」に至ってはマイナスです。

一方、女性は「冷蔵庫」の馴染み度が前回比+134ポイントと顕著にアップしたほか、残り4つの製品のいずれも+85ポイント以上の大幅な上層が見られます。

その結果、ブランド変更前の第1回調査の時点では男性の方がおしなべてPanasonicの生活家電に馴染める人が多かったのが、その後あまり上昇が見られず、一方女性はブランド変更後にPanasonicブランドに馴染む人が着実に増えて、今回の調査ではついにすべての製品で女性の馴染み度の方が高い状態となりました。生活家電に対して女性の方が接する機会が多く、関心が高いということがあるかも知れませんが、それに対して男性は意外とこの分野では保守的なのかもしれません。

(単位:pt)

第1回
(2008.04)
第2回
(2008.10)
第3回
(2009.04)
今回
(2010.10)

(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫1601682182191
Panasonicの洗濯機1371561881968
Panasonicのエアコン194174226204-22
Panasonicのドライヤー1691562032139
Panasonicの照明器具260250289279-10
【表4】 Panasonic馴染み度(男性)の変化

(単位:pt)

第1回
(2008.04)
第2回
(2008.10)
第3回
(2009.04)
今回
(2010.10)

(今回-前回)
Panasonicの冷蔵庫104202168302134
Panasonicの洗濯機96168165285120
Panasonicのエアコン146168179298119
Panasonicのドライヤー16022623232996
Panasonicの照明器具26532127636285
【表5】 Panasonic馴染み度(女性)の変化


ブランド変更から2年間の変化は次のようにまとめられます。

・ ブランド変更前、Panasonicブランドを冠した実際の製品が登場する前は男性の方が馴染めそうだった。また、年代では中高年の方が馴染めそうであった。

・ ブランド変更直後は馴染み度が全体的に上昇したものの、上記のような状態には大きな変化が見られなかった。

・ しかし、ブランド変更半年を経て、次第に若い年代の方が急速に受容するようになった。中高年も遅れて受容度が上がり、Panasonicブランドへの馴染み度アップは多くの世代で共通することとなった。

・ 一方、男性は当初は馴染み度が高かったがその後大きな伸びは見られず、女性はしばらく時間を経て急速に馴染み度を高めていった。


最初はAV製品のPanasonicブランドに馴染みの深そうなタイプの人の受容性が高そうでしたが、時を経るにつれて「Panasonic=生活家電」も多くの人に無理なく馴染んでいく様子が窺えます。

最初の調査から2年半をかけて行ったPanasonicブランドの追跡調査、皆さんはどのように受け止めたでしょうか。Panasonicのように大きな努力を傾けたブランドであってさえも、新しいブランドの定着にはそれなりの時間がかかるようですが、しかし継続することによって着実に定着するということももう一つの真実であるようです。

調査概要


全国のインターネットユーザー(20歳以上/男女)から回答を得た

サンプル数 100s
調査期間 2010年10月14日(木)
質問項目
  • 対象項目:Panasonicの冷蔵庫/Panasonicの洗濯機/Panasonicのエアコン/Panasonicのドライヤー/Panasonicの照明器具
  • 評価方法:上記の各製品の馴染み度を、「非常に馴染める」を5、「全く馴染めない」を-5とし、10段階で評価。
  • 評価指標(馴染み度スコア)の算出方法:5〜-5を重みとして加重平均を行った。
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