MENU

Brand Strategy journal ブランド戦略通信

ブランドなんでもランキング

第30回:「Panasonicの“生活家電”」に対する馴染み度調査(3回目)

半年前の2008年10月1日、旧松下電器産業株式会社は社名をパナソニック株式会社に変更しました。時を同じく白物家電・住宅設備機器などの生活家電分野製品は「National」から世界統一ブランド「Panasonic」へ移行されています。

日本ブランド戦略研究所では、変更半年前(2008年4月)、変更約3週間後(2008年10月)の2回に渡り、Panasonicブランドの生活家電に対する「馴染み度」調査を行いました。そして変更から半年を迎えた今回、再度同様の調査を実施しました。変更から半年経過した今、Panasonicブランドは消費者にどの程度浸透しているのでしょうか。

対象製品は前々回、前回に引き続き、以下の通りとなります。

製品 カテゴリー
冷蔵庫 調理
洗濯機 家事
エアコン 空調
ドライヤー 美容
照明器具 あかりと電気設備

質問では、上記の各製品に「Panasonicの」と付けたときの印象を「非常に馴染める」場合を「5」、「全く馴染めない」場合を「-5」とし、10段階でそれぞれの馴染み度を答えてもらいました。集計した数値に対しては5〜-5の重み付けを行い、スコアを算出しました。

【図 】

馴染み度大幅アップは「Panasonic製冷蔵庫/洗濯機」

今回の調査で「冷蔵庫」「洗濯機」「エアコン」「ドライヤー」は、前々回調査(変更半年前)に比べ馴染み度を上げる結果となりました。特に「冷蔵庫」「洗濯機」が前々回比各+68ポイント、+63ポイントと大きくアップしています。「冷蔵庫」については100年に一度の大不況と言われる環境化、外出を控え自宅で過ごす人が食品をまとめ買いして丸々収納できる大型冷蔵庫の販売が好調とのこと。エコポイント付与が5月中旬に開始されるのを受け、白物家電への関心は高まっているといえそうです。

一方「照明機器」の馴染み度は前々回、前回に引き続き今回も非常に高い値となりました。しかし、初回比+23ポイント、前回(変更3週間後)比は-12ポイントと伸び率はやや鈍化しているようです。

(単位:pt)
前々回(2008.04) 前回(2008.10) 今回(2009.04) 差(今回-前々回)
Panasonicの冷蔵庫 133 190 201 68
Panasonicの洗濯機 117 164 180 63
Panasonicのエアコン 171 170 210 39
Panasonicのドライヤー 165 202 213 48
Panasonicの照明器具 262 297 285 23
【表1】 Panasonic馴染み度(全体)の変化

AV機器で築いた信頼がパナソニック製生活家電にも浸透

次は年代別に検証してみましょう。今回も20〜30代の若年世代、40〜50代の中高年世代で分析してみました。結果は前々回、前回調査とは少々異なり全製品において若年世代の馴染み度が高くなっています。今回調査において、若年世代の馴染み度は「冷蔵庫」、「洗濯機」、「ドライヤー」については前々回比、「エアコン」については前回比で、ともに+100ポイント以上と大きな伸びを見せています。これは若年世代が持つパナソニックのAV機器に対する信頼感が、生活家電にも浸透してきていることを示す結果と言えそうです。

一方中高年層では「冷蔵庫」、「エアコン」、「ドライヤー」においてポイントが下がり、5製品で見ても前回調査時に比べ勢いを失った結果となりました。

(単位:pt)
前々回(2008.04) 前回(2008.10) 今回(2009.04) 差(今回-前々回)
Panasonicの冷蔵庫 102 168 228 126
Panasonicの洗濯機 98 143 204 105
Panasonicのエアコン 162 147 251 89
Panasonicのドライヤー 169 191 272 103
Panasonicの照明器具 275 308 311 36

【表2】 Panasonic馴染み度(20-30代)の変化
(単位:pt)
前々回(2008.04) 前回(2008.10) 今回(2009.04) 差(今回-前々回)
Panasonicの冷蔵庫 171 215 165 -6
Panasonicの洗濯機 140 187 149 9
Panasonicのエアコン 182 196 156 -26
Panasonicのドライヤー 160 215 135 -25
Panasonicの照明器具 247 285 251 4

【表3】 Panasonic馴染み度(40-50代)の変化

男性への浸透率が大幅に上昇

次いで男女別の馴染み度を見てみましょう。男性は「冷蔵庫」、「洗濯機」が前々回比+50ポイント以上となっています。「ドライヤー」、「エアコン」、「照明機器」においても+30ポイント以上のアップです。

一方女性を見ると、「ドライヤー」の馴染み度が前々回比+72ポイントと大幅にアップしています。もともと同社のドライヤーは、ただ髪を「乾かすだけ」ではない、「地肌から毛先までケアするヘアードライヤー」として広く女性に支持されていますが、今回「UVケア」を可能にする新商品が発売されたことを受け、各種メディアに取り上げられたことで新社名と製品とが強く紐付けられたのではないでしょうか。

その他の製品について見てみると、「洗濯機」、「冷蔵庫」は前々回と比較し+60ポイント以上アップしていますが、前回調査時点ですでに大幅にアップしていたため、前回調査からの変化は逆に若干のマイナスとなりました。また、「エアコン」は+34ポイント、「照明機器」は+12ポイント(いずれも前々回比)となっています。

(単位:pt)
前々回(2008.04) 前回(2008.10) 今回(2009.04) 差(今回-前々回)
Panasonicの冷蔵庫 160 168 218 59
Panasonicの洗濯機 137 156 188 51
Panasonicのエアコン 194 174 226 32
Panasonicのドライヤー 169 156 203 34
Panasonicの照明器具 260 250 289 30
【表4】 Panasonic馴染み度(男性)の変化
(単位:pt)
前々回(2008.04) 前回(2008.10) 今回(2009.04) 差(今回-前々回)
Panasonicの冷蔵庫 104 202 168 63
Panasonicの洗濯機 96 168 165 69
Panasonicのエアコン 146 168 179 34
Panasonicのドライヤー 160 226 232 72
Panasonicの照明器具 265 321 276 12
【表5】 Panasonic馴染み度(女性)の変化

今回調査では「ドライヤー」以外の4製品について女性よりも男性の馴染み度が高い結果となりました。ブランド変更から半年が経過し、「Panasonic=AV家電」から「AV家電だけでなく生活家電も」というイメージが随分浸透したようです。また今回の調査時期が、定額給付金給付開始やエコポイント付与、さらにゴールデンウィークを間近に控えていたことも重なり、大型家電の検討に男性の関心も高まっていたのではないでしょうか。

他社製品とは一味違った顧客視点での開発と製品PR、そして政府政策などのタイミング、それぞれの要素も馴染み度アップに貢献しているといえそうです。

調査概要

全国のインターネットユーザー(20歳以上/男女)から回答を得た

サンプル数 100s
調査期間 2009年4月23日(木)〜4月24日(金)
質問項目
  • 対象項目:Panasonicの冷蔵庫/Panasonicの洗濯機/Panasonicのエアコン/Panasonicのドライヤー/Panasonicの照明器具
  • 評価方法:上記の各製品の馴染み度を、「非常に馴染める」を5、「全く馴染めない」を-5とし、10段階で評価。
  • 評価指標(馴染み度スコア)の算出方法:5〜-5を重みとして加重平均を行った。
印刷する 印刷する