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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

BtoBサイト調査2006

BtoBサイト調査2006 結果概要

「BtoBサイト調査2006・ITサイト編」は、ビジネス向けITサイトを技術者が評価する今年で2回目の大規模調査である。BtoBサイトを運営するIT企業にとって重要なステークホルダーである技術者や購入関与者に、実際に各サイトを閲覧してもらったうえでその有用性を評価してもらったものである。

技術者にとって最も役に立つ情報源は業界・専門サイトおよび企業Webサイトであるが、特に企業のWebサイトは、7割以上のサイトユーザーにとって役に立つものと認識されている。

2006年度の総合ランキングで首位になったのはシマンテックで、3位のトレンドマイクロ、16位のマカフィーとともにセキュリティ・ウィルス対策ソフト3社が高い評価を受ける結果となった。特にシマンテックは、アクセス経験こそマイクロソフトに次ぐ2位であったが、ニーズ充足度、再訪問意向とも162サイト中1位となった。

また、2位のマイクロソフト(法人向け総合)、6、7位のORACLEの2サイト、10位の日本IBMなど、昨年に引き続き外資系IT企業のサイトが高い評価を受けた。サイトのアクセス経験が高く、多くの技術者がこうした企業の製品・サービスに関する情報を必要としていることがうかがえる。

一方、今年は4、5位のオムロンの2サイト、8位のキーエンス、9位の松下電工(制御機器本部)といった国内IT企業の健闘も目立つ。これらのサイトは、外資系企業ほどアクセス経験はないが、実際にサイトを閲覧したうえでの評価(ニーズ充足度、サイト再訪問意向)は高い。

総合ランキングの上位サイトを調査結果を分した結果、「仕事上の課題解決に役立つ」、「製品・サービスの特徴を理解しやすい」、「情報が豊富である」というイメージが寄与していることが明らかとなった。Webサイトの評価を向上させるためにはこうしたイメージを訴求することが重要であるといえる。

調査概要

調査手法 インターネット調査
調査期間 2006年4月18日〜28日
調査方法
  • 調査モニターからIT企業のBtoBサイトに仕事上関係するハードウェアとソフトウェアの技術者を抽出する。
  • 調査対象サイトをハードウェア、ソフトウェアに2分類し、ハードウェア技術者にはハードウェア、ソフトウェア技術者にはソフトウェアの6サイトを実際に閲覧したうえで評価する。
調査対象 IT関連企業ビジネスパーソン向けサイト 162サイト

【対象企業業種】

  • ソフトウェア
    SI・ソフトウェア開発、ビジネスソフト、サーバー、ドキュメントソリューション、ネットワーク機器、通信、保守メンテナンス
  • ハードウェア
    電子部品、電子デバイス、電子材料、半導体、制御機器、半導体製造装置、電子部品・モーター、電池
  • 法人専用サイトがある場合⇒そこを対象とする
  • 法人専用サイトがない場合⇒トップページ
  • ※事業が多岐に渡る場合、ドメインあるいは事業単位で複数を選定
総回収数 8100人

情報源と役立ち度

  • 役に立っている情報源をその内容から「メディア」と「企業の情報発信ツール」とに分類する。
  • メディアの中では昨年に引き続き「業界・専門サイト」を役に立つと答えた人が最も多く、68.2%に達した。次いで専門雑誌。
  • 一方、企業の情報発信ツールの中では「企業のWebサイト」が役に立つと答えた人が72.0%で、昨年に引き続き全体で最も高い評価を得た。続いて「営業員・技術員の説明」「カタログ・パンフレット」。
情報源役立ち度

総合ランキング結果

情報源

BtoBサイトをアクセス経験、ニーズ充足度、再訪問意向の3つの視点から評価し、その総合ランキングを作成したところ、162サイトの中でも最も評価が高かったのはシマンテックのサイトとなった。また、2位は昨年首位のマイクロソフト(法人向け総合)、3位はトレンドマイクロ。

1位の「シマンテック」はアクセス経験はマイクロソフトに次いで2位だが、ニーズ充足度と再訪問意向ともに162サイトの中で最も高い評価を得ており、3つの指標でバランスよく評価された。

2位の「マイクロソフト」は、アクセス経験では圧倒的な評価を得たが、ニーズ充足度が5位、再訪問意向も3位となり、総合では2位になった。

3位に「トレンドマイクロ」も、「シマンテック」と同様に3つの指標でバランスよく評価を得ており、16位のマカフィーを合わせたセキュリティ・ウィルス対策ソフト3社が上位に位置する結果となった。

4位と5位のオムロンの2サイト、「制御機器」、「電子部品情報サイト」は、ニーズ充足度を高く評価された。オムロンだけではなく、8位「キーエンス」や9位「松下電工(制御機器本部)」も、ニーズ充足度が高く評価されており、サイトのプレミアム面で国内企業が高い評価を得る結果となっている。

6位、7位にはORACLEの2サイト、10位には「日本IBM(法人の皆様)」が入った。

業種別ランキング

【ハードウェア】78サイト
情報源

BtoBサイトランキングを、そのサイトの主要ターゲット別に、「ハードウェア」と「ソフトウェア」の2つに分類し、それぞれランキングを作成した。例えば、業種では電機・電子に該当する企業が運営するサイトであっても、掲載情報がソフトウェア技術者をターゲットしているのであれば、ソフトウェアに分類している。

右の表は、ハードウェアの業種別サイトランキング。1位「オムロン(制御機器)」、2位「オムロン(電子部品情報サイト)」となり、オムロンの2サイトが上位2位を独占する結果となった。

1位の「オムロン(制御機器)」は、“Industrial Web”という事業部が独自に運営しているサイトで、各製品の詳細情報だけではなく、カタログ、マニュアル、CADデータをダウンロードすることができる(会員登録が必要なところもあり)。また、サポート情報やセミナー情報など、オムロンに制御機器に関する情報を1つにまとめて掲載している。

2位の「オムロン(電子部品情報サイト)」も、同社の事業部が独自に運営しているサイトで、製品画像や比較表を用いて分かりやすく掲載している。

ハードウェアのランキング上位のサイトは、アクセス経験よりもニーズ充足、再訪問意向が高い傾向にある(1部サイトを除く)。この結果からいうと、主要ターゲットに対して十分な情報提供ができており、かつロイヤルティ向上にも貢献していることがうかがえる。

【ソフトウェア】84サイト
情報源

ソフトウェアの業種のサイトランキングでは、1位「シマンテック」、3位「トレンドマイクロ」、10位「マカフィー」のセキュリティ・ウィルス対策ソフト3社が上位に位置している。

また、2位「マイクロソフト」、4位と5位の「ORACLE」、6位の「日本IBM」、7位「サン・マイクロシステムズ」など、いわゆる外資系企業も上位に位置している。

1位の「シマンテック」は、個人/ホームオフィス、小規模企業のお客様、企業・法人のお客様、オンラインストアの4つの分類で、顧客の規模別に情報を整理して掲載している。これは「トレンドマイクロ」、「マカフィー」も同様である。

2位の「マイクロソフト(法人向け総合)」は、“Business Portal”という名前の通り、同社の様々な顧客が知りたい情報に辿り着けるように配慮されている。例えば、商品別や課題別ソリューション情報、開発者やITプロフェッショナルといった職種別ポータルサイトが用意されている。

ソフトウェアのランキング上位サイトを見ると、アクセス経験は高いが、ニーズ充足度が低い傾向にある(1部例外あり)。この結果からいうと、主要ターゲットからの情報ニーズが高いわりに、必要な情報を提供できていない可能性があると思われる。

BtoBサイトのコンテンツ分析

情報源

右上のグラフは、コンテンツごとに良かったと回答した人の割合を全162サイトの平均で示したものである。

最も評価されたコンテンツは「製品・サービス」の情報である。ビジネス向けのサイトである以上、製品・サービスの情報は最も注力されるコンテンツであることが多いが、ユーザーにとっても最も注目度が高い情報であることが伺われる。

次いで「製品・サービス」とは「ニュース・お知らせ」が評価されている。業務を行う上で、その企業がどのような動向にあるのかを知りたいというニーズが反映されていると考えられる。

これに「事例紹介」が続く。製品・サービスの理解を助けるものとして重要なコンテンツであると考えられる。

続いて「サポート情報」、「会社概要」、「研究開発情報」がほぼ同程度の評価を得ている。

一方、「業界・市場動向」については、良かったと答える人の割合は全体の2.9%にどどまった。

情報源

右下のグラフはこれらのコンテンツがニーズ充足度に与える影響度を表したものである。それぞれのコンテンツを説明変数(独立変数)とし、ニーズ充足度を目的変数(従属変数)とする重回帰分析を行った結果である。

棒グラフの長さはニーズ充足度に対する影響度に比例している。

これによると、「製品・サービス」の影響度が最も高く、また他のコンテンツを大きく引き離していることがわかる。

右上のグラフで見た通り、閲覧者に最も評価されたのも「製品・サービス」であり、このコンテンツの善し悪しが満足度を大きく左右する要因となっているといえる。

次いで「サポート情報」の影響度が高い。来訪者のニーズを満たす上で、これらのコンテンツを充実させることが重要であることが示唆されている。

BtoBサイトのイメージ分析

情報源

右上のグラフは、162サイトのサイトのイメージを平均したものである。

イメージ項目はすべてプラスイメージであるから、棒が長いイメージ項目ほど多くの人が好印象を抱いたイメージ項目であることをを示している。

最も多く評価されたのは「製品・サービスの特徴を理解しやすい」で、162サイト平均で14.2%であった。

次に多く評価されたのは「情報を見つけやすい」(8.6%)、「情報が豊富である」(7.9%)、「企業、製品・サービスに関心が沸く」(7.2%)であった。

続いて、「用途・メリットを理解しやすい」(6.2%)、「仕事上の課題解決に役立つ」(6.0%)のイメージが続く。

逆に、「使いやすい」(5.2%)、「文章や用語が分かりやすい」(4.0%)と答えた人は必ずしも多くない。現状では、使いやすく分かりやすいというイメージトのサイトはあまり多くないようである。

情報源

右下のグラフは、前ページと同様の手法で、再訪問意向に対する各イメージの影響度を調べたものである。

これによると、「仕事上の課題解決に役立つ」というイメージが最も影響度が大きく、次いで「製品・サービスの特徴を理解しやすい」というイメージの影響が大きい。

これらほどではないが、「情報が豊富である」というイメージも重要である。

このように、BtoBサイトでは、製品・サービスなどの仕事に役立つ豊富な情報を提供することが重要であることがわかる。

回答者属性

【年齢】

年齢は、30代が約5割と最も多く、40代が約3割、20代以下が約2割で続く。

情報源
【勤務先業種】

情報・通信・ソフトウェアが4割以上と最も多い。続いて電子・電気・精密が3割弱、一般機械・輸送機器が1割程度。

情報源
【職種】

システム開発が約3割と最も多い。続いて機械設計・金型設計、生産技術・品質管理が1割程度。

情報源
【購入関与】

回答者の約7割近くが、なんらかの形で購入に関与している

特に、「購入のための情報収集」「購入を提案する立場」という、直接的に製品やサービスを選ぶ人が、合計で過半数に達した。

また、「購入する立場」にある人は1割強いた。

情報源
【勤務先従業員数】

回答者の勤務先従業員数で最も多いのは「1000人以上」で約4割。

「1〜10人未満」と「10〜30人未満」の合計と、「30〜100人未満」「100〜300人未満」「300〜1000人未満」がそれぞれ同程度に比率になっている。

情報源
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