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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

Webマスターに聞く!

シリーズ2 第7回:アサヒ飲料株式会社

話し手
アサヒ飲料株式会社 企画本部 広報・IR室 主任
濱口 久美子氏
顔写真

小学生から専門家までカバーする環境サイトを

「私たちが伝えたいことを、ユーザーの方が見やすく、分かりやすい形で表現していく」——。アサヒ飲料でWebマスターを務める企画本部広報・IR室の濱口久美子主任が口にするWebサイト運営のコンセプトは極めてシンプルだ。それを具現化している代表格が、企業情報サイトの「環境への取り組み」(【図1】)である。

以前の環境情報は、報告書や工場での二酸化炭素排出量などのデータが列記された硬いイメージのものだった。「難しい用語が羅列された専門家向けのページであり、一般の方を意識したものではなかった。私自身が読んでも分からないことが多かった。しかしアサヒ飲料の取り組みを多くの方に知ってほしいので、主婦、学生のほか、小学生でも見て理解できるような内容にすると同時に、専門家のニーズも満たすようなページ作りを模索した」と、濱口氏は話す。

まず、新コンテンツとして、親子で楽しめるようにゲーム感覚を取り入れた「バーチャル・エコタウン」を2003年7月にスタートさせた(【図2】)。環境問題にどのように取り組めばいいかを見て分かりやすく、キャラクターやアニメ、ゲームを巧みに組み合わせて紹介している。大人でも思わずのめり込んでしまうような秀逸で完成度の高いコンテンツであり、一通り読み進めれば、環境への取り組みの大切さやアサヒ飲料の環境活動などを把握することができる。

環境関連のQ&A、ダイジェスト版を作成

2005年11月には、ユーザーとのコミュニケーションツールとして、「環境Q&A」を開設した(【図3】)。ユーザーから電話やメールで寄せられた問い合わせのうち、多いもの、代表的なものをピックアップし、その答えとともに掲載している。例えば、「お茶やコーヒーを作ったあとに出るゴミは、どんなものにリサイクルされるのか」といった小学生からの質問、「PETボトルのラベルにはどうしてミシン目がついていないものがあるのですか?ミシン目がないとはがしずらいのですが、簡単にはがす方法はありますか?」という主婦の質問などに、絵や画像付きで丁寧に回答している。

「コンテンツホルダーは環境室の担当者であり、その担当の人柄や想いが伝わるようなコンテンツを目指して立ち上げた。まだQ&Aコーナーは初めて間もなく掲載数が少ないので、今後はコンテンツの拡充に努めたい。少数意見も私たちにとっては大切なお客様の声なので、将来的には同様の意見が多い少ないにかかわらず載せられるような仕組みを取り入れたい」(濱口氏)。理想は、ユーザーと直接対話できるような本格的な双方向コミュニケーションの導入であり、将来的には、掲示板のようなシステムも検討課題の一つとして挙げる。

また、アサヒ飲料の環境への取り組みをコンパクトにまとめた「ダイジェスト版」を用意しているのも特徴だ。このコンテンツのスタートは2004年7月。「環境報告書はページ数も多いので、全て読むことはとても大変。お客様に簡単に分かりやすく伝える方法を考慮した結果、ダイジェスト版に行き着いた」と、濱口氏は説明する。

ダイジェスト版誕生にはもう一つの背景がある。アサヒ飲料では、環境問題への取り組みの一環として、環境報告書のペーパーレス化を実施。つまり、紙媒体の報告書は発行していない。しかし、営業マンからは取引先への説明資料として持参できる冊子を求める声が多く出ていた。その解決策としてもダイジェスト版は有効と考え導入。今では、営業支援ツールとしてしっかり活用されているそうだ。

徹底したユーザー本位のWebサイト構築。相当な熱意がないと、ここまではなかなかできない。「環境室の担当者は非常に積極的でWebサイトの活用推進派。私は社内公募に応募してWebマスターになったこともあり、大変であればあるほど逆にやってやろうと思う。だから、徹底的にブレーンストーミングして妥協のないコンテンツを作っている」(濱口氏)。

アサヒ飲料の環境情報は、実に30.7%のユーザーが「評価する」と回答している。これは調査対象250社中トップであり、アサヒ飲料の企業情報サイトのキラーコンテンツとなっている。

リニューアルは未定、ブログは開始

2002年の大規模なリニューアル以来、約4年の月日が経っているが、近々のリニューアルの予定はないという【表1】。「お客様からの声などを見ると、一番大切な使い勝手の部分で支持されている。そういう意味では、現時点では大きく変えないほうがいいのかなと思う。当面は、お客様の意見を取り入れながら少しずつ改善する方向で手直しを加えていく」(濱口氏)。
また、濱口氏はブログにも関心を寄せる。実際に商品ブランドサイトでは、コンテンツの1つとしてブログを立ち上げている。ただし、トラックバックやコメント機能の導入にはまだ踏み切っていない。「ブログについてはまだテスト段階。今後機能をフルに使ったものにしていきたい」と、濱口氏は話す。

【表1】アサヒ飲料Webサイトの歩み

【表1】アサヒ飲料Webサイトの歩み
アサヒ飲料のWebサイト構築のポイント
  • 伝えたいことを、見やすく、分かりやすく、使いやすくがコンセプト
  • 親子で楽しめるようにゲーム性の高いコンテンツを開設
  • ユーザーとの双方向コミュニケーションを導入し、その発展型を検討
  • 環境情報は、ダイジェスト版を作成し、営業支援ツールとしても活用
  • ブログはテストケースとしてスタートさせ、今後フル機能化を模索
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