ブランド戦略通信 │トライベック・ブランド戦略研究所

ゼロからわかるウェブブランディング

第8回:ウェブブランディングと企業価値-実証編-

測定方法

(1)ブランド論における基本指標

ブランド価値を金額という尺度で表すことができれば理想である。実際には、金額的価値を算出するのは決して容易ではないので、イメージデータによる指数で表すことも少なくない。

金額を算出する方法には会計的に無形資産価値を算出する方法と、なんらかの形でイメージデータを金額に変換する方法がある。

会計的手法は下記の3つのアプローチがある。

  1. マーケットアプローチ文字通りマーケット価格によって評価をする方法である。市場価格なので、最も客観的で文句がつけにくい。ただし、前提条件として類似取引事例が入手できなければならないが、実際上困難な場合が多い。
  2. インカムアプローチ当該ブランドから将来得られるであろうキャッシュフローに基づいて評価する方法である。M&Aなどでも用いられる、非常にポピュラーな方法である。
  3. コストアプローチ当該ブランドを再構築するにはいくらの費用がかかるのか(再調達原価)に基づいて評価する。マーケットアプローチやインカムアプローチが使えない場合に利用される。M&Aなどでブランド価値が企業間で移動する場合には会計的な評価が必要となるが、マネジメントとして自社ブランドの評価を知りたいということであれば必ずしも会計的方法を用いる必然性はない。なんらかのイメージデータを活用することによって、会計情報だけでは得られないブランドマーケティング上の示唆を得ることが可能となる。

    評価モデルは様々な広告関連の企業から提唱されている。著名な方法として、日本経済新聞社のCBバリュエーターや、インターブランド社の方法がある。

(2)ウェブブランドにおける方法

ある会社のウェブサイトの価値を知る方法としてもっとも理想的なのは、ウェブサイトがある場合とない場合を比較することだが、これは現実的には不可能に近い。そこで、ウェブサイトの貢献度をさまざまな角度から調べる方法が試みられている。

最も単純な方法として、ウェブサイトのブランド力を測るため、消費者がその企業のウェブサイトに対してどのようなブランドイメージを抱いているかを調べる方法がある。しかし、突き詰めるとウェブサイトのブランド力を調べているつもりが、結局企業ブランド力を調べたことになりかねないきらいがある。

より進化した方法として、売上に対する影響度や、認知度、ブランドイメージに対する影響度などを、ユーザーの行動推移を追うことによって評価する方法がある。行動の各段階においてウェブサイトの利用度、関与度を調べることによって、ウェブサイトの価値を知ることができる。

事例

【図1】知的財産権担保融資

【図1】知的財産権担保融資

ウェブサイトの資産的価値に着目した金融の例として日本政策投資銀行のウェブサイト担保融資の事例がある。

これは、「知的財産権担保融資」というタイプの融資の一種である。(図1)

担保価値のある知的財産権として特許や著作権などがあるが、ウェブサイトに担保価値を認めた事例は2003年に初めて登場した。これはあるポータルサイトに対する融資であるが、担保価値を持つかどうかの判断のためには、コンテンツやアクセスといった要素のほか、ドメインや商標権などの権利関係がしっかり押さえられていることが重視されたといわれる。

ウェブサイトと資産的価値

ウェブサイトがブランド価値と同様に資産的価値を有するということはあまり広く認識されているとはいえない。

しかし、実際には多くの人々のブランドイメージと行動パターンを左右することによって大きな影響力を発揮し始めている。ウェブサイトを経由した売り上げは大きくないため実感が沸きにくいが、M&Aや融資で実際に大きな資金が動くとなると、やはり無視できない存在であることが改めて認識されるであろう。

参考資料:日本政策投資銀行ホームページ

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