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WebEquity2009結果分析 第5回:売上に対するWebサイトの影響度の評価

売上に対するWebサイトの貢献度を見る一つの指標として、アクセス率とアクセス者における購入検討率が挙げられる。(ちなみに購入検討率ではなく購入率を用いることもできるが、購入率を用いた場合は流通チャネルの影響などWebサイト以外の要因の影響が大きくなる点に注意する必要がある。)

【図1】アクセス率と購入検討率(例)

【図1】アクセス率と購入検討率(例)

ここで、電機メーカーH社とコンビニエンスストアチェーンのI社を調べて見ると、たまたま両社のアクセス率と購入検討率はほぼ同等であった。

同業他社との比較であればこれで立派な比較となるが、Webサイト価値として評価する場合にはもう一歩考察が必要となる。

ここで、顧客の購入単価に着目すると、一人の顧客がH社製品を1回に購入する単価は数万円を超えることが多い一方、I社の方は1,000円に満たないことが多い。そこで、1アクセスの価値の違いを加味して売上価値を計算することができればよさそうである。理想的には一つひとつのアクセスに対応する一人当たり収益に比例した単価を売上価値算出のパラメータとして設定できれば良い。もっとも、実際にはそのまま行うことは難しいので、元々の考え方とできるだけ相似形となるように式を展開し、計算している(図2)。

売上価値=利用者数×サイト関与率×販売単価

すなわち、

利用者数×サイト関与率×一人当たり収益

=(購入者数×利用者数/購入者数)×サイト関与率×収益/人

=(収益/人×購入者数)×(利用者数/購入者数)×サイト関与率

∝事業収益×(サイト利用率×サイト関与率)

=事業収益×サイト効果

ただし、

【図2】売上価値の把握方法

【図2】売上価値の把握方法

Webサイト価値は業種を超えてWebサイトの事業貢献度を比較できるようにしたものだが、実際に指標として企業が採用しているものはサイト効果やサイト利用率など、算出の基礎になる指標であることが多い。

サイト効果は2003年の調査開始以来、途中2007年から2008年にかけてやや低下したものの2009年には再び上昇傾向に戻った(図3)。

【図3】サイト効果の動向

【図3】サイト効果の動向

サイト効果はサイト利用率とサイト関与率からなる。このうちサイト利用率は業種による差が大きく、住宅や自動車、情報通信、運輸などのサイト利用率が高い。一方、サイト関与率は業種による差がサイト利用率ほどは大きくない。しかし、サイト効果は、業種による傾向はあるにせよWebマネジメントの巧拙によって左右される指標であり、業態が良く似た企業間でもマネジメントの質によって差があることが少なくない。