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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

Web Equity調査結果分析2004

WebEquity2004結果分析 第7回:ANA(全日本空輸)(第3位)

第3位 全日本空輸(ANA)

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【図1】トップページ

Webサイト価値ランキングの第3位はANAで859億円と算出された。その内訳は直接売上価値が595億円、間接売上価値が160億円、広報宣伝価値が24億円、販売促進価値が37億円、そして顧客満足価値が44億円である(いずれも粗利益相当に換算)。

同社のサイトの特徴は、Webサイトが航空チケットの売上に直接結びついていることだ。直接売上価値と間接売上価値を合計した「売上価値」はWebサイト価値の87.9%にあたる755億円となり、この額は250社中でもっとも高かった。

Web Equityの調査結果(測定対象は2003年度)からは、ANAの航空チケットを購入した人の中で、同社のWebサイトで購入した人の比率は4割を超えて40.2%に達している。またチケットを購入した人は、その購入にあたって必要とした情報のうち75.4%の情報をWebサイトから入手している。つまり、40.2×75.4=30.3、チケットの売り上げのうち3割以上がWebサイトによる売り上げであるということになる。しかも、40.2%のうち約8割にあたる31.7%はチケット自体をWebで購入している(残りはWebの情報を見て、店舗や窓口で購入していることになる)。

ANAによると「弊社のWebサイトでの航空チケットの販売額は2004年には約2300億円に達する見込みで、これは全チケット販売量の45%を占めるにいたっている」(ANA)とのこと。

一覧が表示された状態

【図2】一覧が表示された状態

さて、同社のサイトは空席照会→チケットの予約→購入という基本的な流れがスムーズに進むように設計されている。例えば、国内のその日に乗る飛行機を予約するには、目的地(路線)を選んで「GO」のボタンを押すだけ。するとその日の便名と出発・到着時刻、そして機種名、運賃、チケット(割引)の種類、空席が一覧表になって現れる。もし、あらかじめ会員に登録してあれば、その表から予約したい便のボタンをクリックするだけで予約は終了。登録していない場合は個人情報(名前や連絡先など)を入力するだけでいい。

このように、徹底したユーザビリティ(使い勝手)を追求した結果が、このような高い利用につながっている。

「体験版デモ画面」

【図3】「体験版デモ画面」

また、同社のサイトでは、サイトの利用を促進するための様々な工夫がなされている。例えば初めてこのサイトを利用する人向けに、操作方法を分かりやすく説明したのが「体験版デモ画面」。空席照会や予約などのステップごとに、やさしくサイトの使い方を説明している。

元々、航空チケットの予約において、Webサイトの利用率を高めるには、ユーザビリティの向上が何より効果的であるのは間違いない。そしてそこに注力した結果が、同社のサイトの高いWeb価値につながったのは言うまでもない。

しかし、利用率がまもなく50%に達しようかという状況において、今後もさらにWebの価値を高めていくためには、「旅をしたい」という需要を喚起させるコンテンツを充実させることがポイントになってくる。

「ツアー関連情報」

【図4】「ツアー関連情報」

すでに、「ツアー関連情報」などのコンテンツを拡充しているが、旅の魅力や、旅行先での情報など、消費者が「旅」に関して必要としている情報はまだまだたくさんある。その情報ニーズを満たすことを目指していけば、同社のWeb価値はさらに高まっていくに違いないだろう。

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