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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

Web Equity調査結果分析2004

WebEquity2004結果分析 第5回:トヨタ自動車(1位)

今回からはWebサイト価値ランキングで、上位にランキングされた企業のサイトの結果と特長について順番に解説していきます。

第1位 トヨタ自動車

商品情報のサイト

【図1】商品情報のサイト
商品情報のサイト

【図2】企業情報のサイト

2004年版のWebサイトの価値測定を行った結果、その金額が最も大きかったのはトヨタ自動車で985億円と算出されました。昨年に引き続き2年連続で首位です。 トヨタ自動車の特徴は、Webサイト価値のうち74%にあたる727億円が売上に貢献している「売上価値」であることです。その売上価値のうち大半の690億円が間接売上価値となっています。つまり、トヨタ自動車のWebサイトは、インターネットで商品情報を発信し、それが店舗(ディーラー)などでの売上につながっていることによる価値が大きいということになります。 ちなみに、トヨタ自動車の国内粗利益は1兆3222億円と推定されますので、売上価値の727億円はこの5.5%に相当します。つまり、トヨタ自動車は売上高の5.5%に相当する分をWebサイトによって得ているということになります(売上におけるWeb貢献度)。 トヨタ自動車のサイトの第一の特徴は、まず企業情報のサイト(http://www.toyota.co.jp)と商品情報のサイト(http://toyota.jp)とに2004年10月1日より分割されたことです(Webサイト価値を測定した7月時点では分割されていませんでした)。 企業情報のサイトと切り分けることで、商品情報のサイトは「クルマの販売をサポートするサイト」というコンセプトをより明確化することができるようになりました。 新車の情報を積極的に展開しているページの左サイドメニューの下方には、「ご購入サポート」として取扱店一覧、オンライン見積もり、カタログ請求、商談予約、他車比較シミュレーション、ディーラーの総合ホームページ、よくあるお問い合わせなどのメニューが並んでいます。 この中で、例えば「オンライン見積もり」を選ぶと、同社が運営する総合情報ネットワークサービス「ガズー」(http://gazoo.com)の中に設けられた「オンライン見積もり」のページに自動的に移動します。また「ディーラー総合サイト」を選ぶと、その車種を扱っているディーラーのサイトに移動します。このようにトヨタのサイトと、ガズーと、ディーラーのサイトが一体となって乗用車の販売促進につなげるような構造になっているのです。その結果、同社の乗用車を購入した人の中で、Webサイトを利用した人の比率は12.5%を占めるようになっていますが、この比率が今後ますます高まるにつれて、Webサイト価値も向上することになります。 また、この12.5%の人(つまりトヨタの乗用車を購入した人のうち、トヨタのサイトを利用した人)が、購入する際に必要とした情報の中でトヨタのWebサイトから得た情報の比率は44.1%でした。つまり、購入する際に必要な情報のうち、44.1%はWebサイトで提供できているということになります(残りの55.9%はディーラーなどの店舗や、カタログ、TVCMなどで得たということになります)。 つまり、12.5%と44.1%とをかけた値(12.5%×44.1%=5.51%)が、トヨタの乗用車の販売においてWebサイトが貢献した割合となります。前出の「売上におけるWeb貢献度」とはこのようにして算出しています。 トヨタのWebサイトの価値が日本企業の中で最も高く評価された背景には、このように販売サポートの一環として、関連会社や関連サイトをも含めたWeb戦略の結果であるということが言えそうです。

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