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第1回:サポートサイトの利用状況

サポートサイトに表れるサポートに対する企業の姿勢

よく、「何々という製品・サービスはサポートを買え」という言い方がされることがある。

典型的な製品はパソコンなどの電気製品やオフィス機器だが、この言葉は程度の差こそあれどのような製品・サービスにも当てはまることのように思われる。

以前は購入前にサポートの良し悪しを判断することは容易でなく口コミに頼る部分が大きかったが、今はメーカーやサービス提供企業のサポートサイトを見るとかなりの程度判断できるようになっている。

しかし、企業ウェブサイトは製品や企業のPRに力点を置いたものが多く、サポートサイトは企業ウェブサイトの中で最も取り組みの遅れた部分の一つである。しかも、サポート部門はコストセンターとして常にコスト削減の強いプレッシャーにさらされている。

その状況が典型的に表れるのは電話番号の記述である。多くの企業ではコールセンターに入る電話を減らしたい。そのための手段として、ウェブサイトには電話番号を載せないか、載せたとしても事実上見つけることが困難な場所に掲載し、あきらめてもらおうとする。その結果、電話が来ないことを期待しているのである。あたかも、商品を買ってもらうまでは足繁く通ったセールスマンが買ってもらった直後から音信不通になるようなものだ。

さて、ウェブサイトを通じてサポートを提供する目的は2つある。一つはCSを向上させることだ。CSを高め、再購入意向や推奨意向が向上すれば継続的な利益に貢献する。もう一つはコスト削減だ。コールセンターなどサポート部門のコストを削減できれば企業には多大なメリットがある。しかし、それを歪んだ手段で達成しようとしてもCSが下がるだけで企業の長期的な発展にはマイナスとなる。サポートサイトには様々な形でその企業のサポートに対する姿勢が端的に反映されるが、それを多くの人が注目して見ていることに留意すべきである。

サポートサイトの利用状況

サポートサイトへのアクセス率は銀行や航空会社、携帯電話、食品・飲料、個人向けパソコン、PC周辺機器、インターネット接続サービスなどが高い。業界別では日用品やPCとの親和性が高い製品・サービスのアクセス率が高い傾向にある(図1、表1)。

航空会社4.9%、銀行4.6%、携帯電話・PHS3.8%、パソコン(個人での利用)3.8%、プリンター・PC周辺機器3.5%、食品・飲料3.5%、インターネット接続サービス3.3%、クレジットカード3.1%、ウイルス対策ソフト3.1%、テレビ3.0%、家庭用ゲーム機2.7%、自動車・オートバイ2.5%、化粧品・トイレタリー2.0%、携帯音楽プレーヤー2.0%、BD・DVD録画再生機1.9%、パソコン(業務での利用)1.6%、電気・ガス1.6%、デジタルカメラ1.5%、エアコン1.2%、洗濯機1.0%、建材・住設機器1.0%、オフィス機器(業務での利用)0.9%、ネットワークドライブ情報サービス0.7%

【図1】サポートサイトへのアクセス率(製品・サービス別平均)(2010年)

順位 企業(サイト)名 製品・サービス名 アクセス率(%)
1 サントリー 食品・飲料 7.2
2 NTTドコモ 携帯電話・PHS 6.6
3 キリンビール 食品・飲料 6.0
3 日本コカ・コーラ 食品・飲料 6.0
5 富士通 パソコン(個人での利用) 5.9
6 アサヒビール 食品・飲料 5.5
7 エプソン プリンター・PC周辺機器(個人での利用) 5.4
7 キヤノン プリンター・PC周辺機器(個人での利用) 5.4
9 NEC パソコン(個人での利用) 5.3
9 三菱東京UFJ銀行 銀行 5.3

【表1】サポートサイトへのアクセス率(上位10位)(2010年)

アクセス目的は「購入の参考にする」(2010年調査の追加項目)が最も多く30.2%だった。次いで「製品の使い方を調べる」(26.1%)、「トラブル・故障の解決方法を調べる」(19.9%)と続く(図3)。

購入の参考にする30.2%、製品の使い方を調べる26.1%、トラブル・故障の解決方法を調べる19.9%、Q&Aを見て疑問を解決する17.5%、ソフトやデータをダウンロードする14.2%、マイページを見る13.5%、各種手続きを行う12.0%、問い合わせをする9.7%、製品の原材料や製法について調べる7.8%、消耗品や関連商品を購入する5.3%、コミュニティに参加する2.5%

【図3】サポートサイトの利用目的(2010年)

ただし、パソコンは個人、業務とも「トラブル・故障の解決方法を調べる」が最も多く、ブルーレイ(BD)・DVD録画再生機やデジタルカメラ、携帯音楽プレーヤーなどは「製品の使い方を調べる」が最も多い。またPC周辺機器やウイルス対策ソフトでは「ソフトやデータをダウンロード」が最も多い。「マイページを見る」や「各種手続きを行う」が多い業界もある。このように、アクセス目的は製品・サービスの種類やサポートサイト側で用意されているサービスの内容によって異なることが多い。(業界別データは「セミナー資料データ」(有料)をご覧ください。)

参考