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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第93回 コーズ・マーケティングのコミュニケーション

Q コーズ・マーケティングのコミュニケーションではどのようなことが重要ですか。
A 活動実態に即した継続的な対話が重要と考えられます。

社会問題に対する運動(コーズ)そのものは行っても、それについて宣伝し人々に知ってもらうための活動については、およそ行うべきでないという極端な考え方があります。

しかし、特定の製品・サービスと結びついたコーズ・リレイテッド・マーケティングの場合であればマーケティング上の目標と関連したコミュニケーションが必要となりますし、そうではなくコーズ自体を社会にPRしたいという場合においても、社会から一定の認識が得られることは望ましいことと考えられます。

ただし、とりわけ後者の場合には、製品の販売促進の場合でしばしば見られる過大な露出が逆効果になる可能性を考慮しておく必要があります。活動自体に投下した予算よりも、それを宣伝するための予算の方がずっと大きかったことが後に判明して、大きな批判にさらされた企業の例もあります。

コミュニケーションの前提として、伝達すべき活動実態が客観的に認められる水準で存在することが重要となります。自社を社会的にどのような存在として認知して欲しいかに関わるブランディングにおいて求められる首尾一貫性に鑑み、活動にも長期継続性があることが望ましいと考えられます。

一方、一般消費者が企業の活動を知るきっかけは受動的なものが多いことから、企業側からの一定の働きかけは必要です。これには、以前から行われてきたイベントや広報誌その他の紙媒体、企業広告などに加え、近年重要性を増しているものとしてWebサイトでの情報発信があります。継続的なコミュニケーションに馴染みやすいほか、影響力の大きい口コミの情報源ともなります。マスメディアの情報収集も最近はWebによる部分が大きくなっています。ニュース性が乏しいため日々の活動がマスメディアで随時取り上げられることはあまりありませんが、特集番組、特集記事のテーマとなることはしばしばあります。必ずしも即効性が期待できるものでないだけに、企業内でも常に一定の役割を確保しておくことが重要となります。

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