ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第134回:インテルインサイドの裏側

Q パソコンの急激な値下がりは部品メーカーのインテルにも打撃なのではないでしょうか。
A CPUの大量普及により大きなメリットを受けました。

インテルの基本戦略には自社製CPUの大量販売があります。そのため、1990年代には日本発と言われる「インテル入ってる(Intel Inside)」キャンペーンを完成品メーカーと共同で行い部品メーカーにも関わらずエンドユーザーに自社製品のブランディングを推進するかたわら、パソコンの標準化に広く関与し、エントリークラスの完成品の価格引き下げを主導しました。

標準化の一つはマザーボードで、以前は技術力のあるパソコンメーカーが自社向けに開発し、最先端のパソコンとして18~24ヶ月間プレミアムを得ていました。このサイクルの短縮化を図るため、1995年に発表したATX規格を通じて台湾メーカーによる最先端のマザーボード開発を支援しました。

もう一つは高機能CPUに見合う機能の定義で、たとえばHDDやメモリのインターフェイスに関する規格や、汎用インターフェイスのUSBの標準機能があります。その結果、HDDやDRAMは猛烈な価格競争にさらされることになりましたが、エンドユーザーは高機能CPUのメリットが実感でき、CPUに対する不満が起きてそれが価格引き下げの圧力に転換することが予防されました。

その結果、ブランドパソコンメーカー製品の平均単価は95年を基準とすると2003年にはおよそ60%も低下しました。しかし、CPUの単価は10%程度の低下にとどまり、インテルは自社CPUの大量販売に成功、1990年代を通して約8倍もの売上高の成長を達成することに成功しました。(出所:新宅・江藤「コンセンサス標準戦略」(08)日本経済新聞社)

こうして、パソコンのコモディティ化が急速に進展した結果、完成品の組み立てビジネスへは期待収益率が低い新興企業が参入し、既存企業の利益を圧迫しました。その結果、今日は日系パソコンメーカーを通じた大々的な「インテル入ってる」キャンペーンの再来は大変難しい状況にあると考えられます。

印刷する 印刷する