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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第110回 フリクエンシーメディアとしてのテレビ

Q 視聴率低落傾向が続く中、リーチメディアとしてのテレビの地位はもはや疑わしいのではないですか。
A フリクエンシーメディアとしての有効性にも着目すべきです。

高視聴率の番組の例として、サッカーの国際試合をはじめとするスポーツイベントやドラマの最終回などが挙げられます。中には視聴率が40%を超えるものもあります。このような番組は単独で高いリーチ(到達度)を稼ぐことができリーチメディアとしての広告媒体であるテレビの強みが最も発揮されるものといえます。しかし、近年のレギュラー番組の視聴率は10%台半ばもあればかなり高い部類に入ります。広告費は他の媒体と比べて突出して高額であるにも関わらず、単独では10%内外のユーザーにしかメッセージを届けることができません。

しかし、たとえ10%であっても、安定した視聴率を維持している番組には固定ユーザーがいます。テレビはその人たちに対して繰り返しメッセージを伝えるためのフリクエンシーメディアという捉え方ができます。リーチは幅広く認知度を獲得するために重要ですが、フリクエンシー(接触頻度)は好感度や購入意向を高め、購入を促す上で重要な役割を果たします。12回の連続ドラマを毎回視聴するユーザーに対しては、その12回分(×CM放送回数分)のメッセージを繰り返し届けられる可能性があります。

このような見方に立つと、レギュラー番組では毎分の視聴率に一喜一憂するのではなく、平均視聴率、あるいはほとんど注目されることのない最低視聴率が広告効果を最大化するために重要とわかります。購買層にメッセージを届けるためのターゲティングも重要です。フリクエンシーメディアという側面に着目すると、高視聴率が稀有な存在になりつつある状況下で、いかに安定した視聴者を維持するかがテレビのもう一つの媒体価値の源泉につながると考えられます。

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