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Brand Strategy journal ブランド戦略通信

実践!ブランド戦略

第103回 広告効果の測定は自社で

Q 広告効果のデータはいつも代理店が持って来てくれます。わざわざ費用をかけてまで自社で行う必要はありますか。
A 自社で検証するスタンスは崩すべきではないでしょう。

わが国では広告代理店経由で広告枠を購入することが多いのですが、しばしば多額の広告出稿を行うとその効果指標がセットでついてきます。

もっとも、代理店で提供できるデータは基本的にその会社があらかじめ契約しているものが中心で、わざわざ個別プロジェクトに合わせて新規取得するケースはそれほど多くありません。個別にデータを取るには費用がかかるので、それを無償奉仕してくれるわけではありません。もしそのようなデータがあったとしたら、その原価は必ずどこかにまぎれていると考えるのが妥当です。

加えて、代理店自身が広告効果を示すのは立場上微妙な問題があります。もちろん、事実と異なるデータを提示するようなことを良識ある代理店が行うとは思えませんが、立場上、どうまとめるか頭を悩ませていることは想像に難くありません。

マーケティング戦略の立案はあくまで自社で行い、代理店にはもっと彼らに得意なことをしてもらうのが望ましい役割分担と考えるなら、効果のモニタリングもその延長線上で捉えることができるでしょう。

しばしばこのような選択が行われない背景に、予算計画において効果測定の部分が十分に考慮されていないことが挙げられます。結果として実施するだけで精一杯となり、事後の検証にまで手が回らないということが起きます。マーケティングをどう会社の中で位置づけるかによりますが、より戦略的に行うには戦略立案そのものやそれを支える手段に全体のたとえば10~15%程度の資源配分を行うなどといった配慮と、それに沿ったビジネスサイクルを確立すべきであると考えられます。

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