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第1回 :Webサイトはブランディングに格好のメディア

Webサイトの役割

ウェブサイトとマスメディア比較

【図1】ウェブサイトとマスメディア比較

Webサイトの大きな役割としてマーケティングとブランディングがあります。他にも商品販売という機能もありますが、実際にはEC専門サイトなど一部のサイトを除き、サイトで直接販売される商品のウエイトはあまり高くありません。

マーケティングは主に商品やサービスをアピールすることを目的としますが、ブランディングの目的はそれらも含め、商品や企業に対するポジティブな知識体系を構築することにあります。Webサイトの最も大きな役割はマーケティングおよびブランディングにあると考えるのが多くの企業やそのユーザー行動の実態に即していると思います。

このコラムでは、ブランド戦略におけるWeb戦略にスポットをあてていきたいと思います。

Webサイトとマスメディア媒体

ブランディング、すなわち顧客を始めとするステークホルダーによる自社に対する知識体系を構築するためには、マスメディアを利用することが多くあります。これは大別して、広告とパブリシティという2つのアプローチがあります。

広告はものによりますが相当の出費を伴う反面、費用対効果が見づらいのが難点です。一方、パブリシティは原則として費用はかかりませんが、主体はあくまでメディアにあります。またこれらは情報量の制限があり、伝えたいことが伝えきれなかったり、企業側の意図とは異なったメッセージがこめられたりと、企業主導での情報発信がしづらいという面もあります。

これらのアプローチに対し、企業Webサイトは多くの広告媒体と比べて費用対効果の測定が比較的しやすく、また情報の取捨選択は企業側が主体性を持って行うことができるというメリットがあります。

ブランディング段階による使い分け

ブランディング段階によるメディア効果比較

【図2】ブランディング段階によるメディア効果比較

ブランディングにははいくつかの段階があります。

最初の段階は自社ブランドを認知してもらうことです。この段階ではテレビを始めとするリーチの大きな媒体が有利ですが、対象市場や予算によってはそぐわないことがあります。このようなときは、SEO対策がしっかり行われたWebサイトが認知を補完する手段となることがあります。ログ解析ではこうした効果を検証することができます。

ブランディングの次の段階はユーザーがブランドのイメージを形成するところです。ユーザーがブランドに関してより大きく、より深い知識体系を獲得すれば、それだけ好ましいブランドイメージが形成されることにつながります。Webサイトには、閲覧後にユーザーが自分のブランド知識体系を強化・更新する、という効果があります。ログ解析では検証が困難なため、どのように効果測定を行うか、が課題となります。

さらに、ブランディングから販売支援につなげるためには、コミュニケーション戦略の中でWebをいかに位置付けるか、ということも重要な課題となります。