ブランド戦略通信 │トライベック・ブランド戦略研究所

企業情報サイト調査結果分析2010

第3回:企業情報サイトの閲覧効果

企業情報サイトに取り組む本来の目的

マーケティングサイトとは異なり、企業情報サイトは第一義的には売上を追求するべきものではない。企業の社会性に鑑み、社会的にそれなりの位置付けにある企業が行うべき基本的活動としての情報開示が本来の目的である。

ひいては情報開示を通じて企業理解を促進し、企業に対する信頼感の醸成に結びつくことになれば、非常に望ましい姿であると考えられる。企業に対する信頼は社会との様々な接点でプラスに働くため、売上を支える要因ともなり得るが、これはあくまで副次的な効果として捉える方が企業情報の本質に近いと考えられる。

本調査では、このような考え方に基づき、企業情報サイト閲覧前後での企業信頼度の差を企業情報サイトの閲覧効果として測定している。

2008年からの推移を見ると、閲覧効果の平均値は2009年が9.2ポイントだったのに対し、2010年は8.5ポイントと、ほぼ横ばいといえるわずかな減少だったことがわかる(図1)。

 2008年:事前信頼度スコア66.4、事後信頼度スコア80.9、差(閲覧効果)14.5、 2009年:事前信頼度スコア69.6、事後信頼度スコア78.8、差(閲覧効果)9.2、 2010年:事前信頼度スコア71.2、事後信頼度スコア79.7、差(閲覧効果)8.5

【図1】企業情報サイトの閲覧効果(2008-2010)

第2回で見たように2010年度のCCサイト指数は前年に対してほとんど伸びが見られなかったが、閲覧効果の動向もこれと同じような傾向であった。

ここで留意すべき点は、閲覧前の企業信頼度が高い企業では、閲覧後に企業信頼度が上がりにくいということである。もともと企業信頼度が高い企業は認知度が高い傾向にある。そのため通り一遍の内容では期待はずれとなってしまって効果はほとんどないか、悪くすると下がってしまうことがある。このように、認知度が高い企業にはそれに見合った努力が求められる。

一方、認知度が低い企業の場合は閲覧前後で顕著に企業信頼度上昇することが多い。その典型例はBtoB企業である。認知者の企業イメージは決して悪いわけではないがいかんせん認知度が低いため閲覧前の企業信頼度が低い。このような企業ではマスメディアによる宣伝で認知度を上げることより、むしろ関心がある人にそのタイミングで見てもらえる企業情報サイトに力を入れる方が効率的といえる。もう一つの典型は過去の不祥事やマスコミのネガティブキャンペーンなどによってイメージが悪い企業である。たとえば雪印乳業は過去の失敗に学び徹底した品質管理の体制を確立してきた。しかし、このような良い情報をマスコミはなかなか取り上げないものである。報道されづらい、また宣伝にもなじみにくい自社の活動について地道に情報発信する媒体としてウェブサイトは非常に適しているといえよう。

注:企業信頼度の評価項目とウエイト値は下記の通りである。

  • とても信頼できる+2、まあ信頼できる+1、どちらともいえない0、あまり信頼できない-1、全く信頼できない-2
  • たとえば、100%の人が「まあ信頼できる」と回答した場合、企業信頼度スコアは100(=100×ウエイト値1)となる。
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